‘Team Boat’, ‘Horse Boat’ あるいは ‘Horse Ferry’ とは?
NHK BS 10月12日,ドキュメンタリー番組 「沈没船クエスト/第3回 世界が激変! 湖に眠る謎」 を観ました。
番組紹介は「世界最古の蒸気船。その水中調査に密着。訪れたのは、19世紀 米国の発展の礎となった湖,シャンプレーン湖(Lake Champlain)。この湖で蒸気船が大発展しアメリカの物流革命へとつながった。調査するのは水中考古学者の山舩晃太郎博士。フォトグラメトリと呼ばれる3D解析で,19世紀に蒸気エンジンを船に搭載した開発者たちの思いに迫る。」 とありました。
シャンプレーン湖は米国北部 バーモント州にある南北に細長い湖です。
湖底に沈む大型の豪華蒸気船(クルーズ船)の紹介がメインでしたが,幅の狭い湖を横断した ‘Horse Ferry’ の紹介がありました。
‘Horse Ferry’ とは馬を運ぶフェリーではなく,馬の動力で外輪を回転させて進むフェリーです。
この種類の船の存在を初めて知りました。
英文Wikipedia に ‘Team boat’ のタイトルで解説がありました。
下記,拙訳・転載します。
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‘team boat’, ‘horse boat’ あるいは ‘horse ferry’ は,馬またはラバで駆動する水上船であり,通常は馬のエンジンとして機能する ‘treadmill’(ベルト あるいは回転盤に馬を乗せ,歩かせ回転させる装置)を使用する。 ‘team boat’ は 1810年代半ばから1850年代にかけて米国でフェリーとして ポピュラーだった。
Types
米国で最初に記録に残る馬の動力の(horse-powered)船は,1791年にジョン・フィッチによってデラウェア川(the Delaware River)で建造された。
‘team boat’ には 3つのタイプがある。1つは,円形の踏み車(circular treadwheel)に 4頭または 5頭の馬をボートの両側に配置し,後世の舷側輪式蒸気船(side wheel steamboat)のように配置した外輪(paddle wheels)を,外輪の軸にある歯車と連結した歯車と伝動装置で回転させる。馬は丈夫な丸太に繋がれ,足を前に動かすと,馬が乗っている踏み車が回転し,歯車が作動する。
別のタイプの ‘team boat’ は,‘horse mill’ の一種である "horse whim"(馬力巻き上げ機)を使用する。中央に大きな回転ホイールがあり,‘whim’(または ‘horse capstan’)と呼ばれる中央の支柱がある。"horse whim" に取り付けられた馬が 円を描いて歩き,ホイールまたはキャプスタンが回転し,次にギアが回転して ‘paddles’ あるいは ‘bucket wheels’ を回転させる。
このスタイルの ‘team boat’ は,デッキまたはブリッジで結合された 2つの完結した船体で構成されていたが,その間は ‘paddle wheel’ を設置できるほど十分に離れていた。両端は尖っていて,同じように簡単に前後に推進できる。
3つ目の ‘team boat’ のデザインは,1819年にバーナバス・ラングドンによって開発された。ラングドンのターンテーブル・デザインにより,馬は円を描くのではなく,まっすぐ前に進むことができた。「ラングドンは,船のデッキよりわずかに低いレベルに回転するターンテーブルを設置した。馬はデッキの大きなスロット(slot:細長の孔)からターンテーブルの上に立ち,その場で歩くことで ‘wheel’ を後方に動かした。このデザインにより,馬の負担が軽減され,貴重なデッキ・スペースが解放され,フェリーを 1つの船体上に構築できるようになった。」
6頭の馬を使ったターンテーブル型の ‘team boat’ の説明には,「両側の ‘treadmills’ は,常に同じ方向を向いた 3 頭の馬によって踏まれた(trod)。外輪を逆に回すには,馬を 1分間停止させ,ギアを逆にするドロップ・ピンを引き抜くだけだった。」とある。
The Experiment/エクスペリメント
1807年から 1810年頃に建造された「エクスペリメント」は,初期の馬力フェリー・ボート(horse-powered ferry boat)だった。長さ約100 ft,幅 20 ftで,喫水 数ftの 12トンの 3本マストのボートだった。その駆動機構である水中スクリューは,1801年にデイビッド・グリーブによって発明された。
このボートは,情報源によって異なるが,デイビッド・ウィルキンソン (一部の情報源ではヴァーナムと名乗っている) によって 1807年から 1810年にかけて建造された。このボートは,水面にある外輪ではなく,水中にある ‘goose-foot paddle’ という大型の機械式スクリュー・プロペラによって推進された。グリーブとウィルキンソンによって考案された新しい技術は,‘treadmill’ 上の 8頭の馬によって駆動された。
船を上流に進める ‘horse boat’ 技術は,もともとデイビッド・グリーブによって発明され,1801年2月24日に「川を遡る船(Boats to ascend rivers)」の特許カテゴリで特許を取得した。記録された特許の全体は,1836年の米国特許庁の火災で失われた。水中の大きな機械式スクリューを使用して船を上流に進めるという斬新なアイデアは,現在ではエリクソンのプロペラ(Ericsson’s propeller)と呼ばれている。
(以下略)
(転載了)
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馬を動力とする船の存在を初めて知りました。
馬を歩かせる方法は? 人参を鼻先にぶら下げる,鞭を使う,・・・ 何かきっかけが無ければ馬は歩かないと思いますが ・・・ 。
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