スエズ運河通過の船は半減。
イランが支援するフーシ派勢力が紅海を通過するイスラエル関連の船舶を攻撃し始めたのは 2023年11月19日と言われています。
JETRO の今年(2024年)2月の「短信」フーシ派の攻撃により紅海航路から喜望峰迂回の動き拡大,IMF推計―によると
「イエメンの武装組織フーシ派による紅海を航行中の商船への攻撃が継続していることを受け,2月に入っても紅海航路を回避する動きが拡大している。IMFと英国オックスフォード大学が共同で開発し,衛星からの情報を基に船舶データを提供する『ポートウオッチ外部サイトへ,新しいウィンドウで開きます』によると,アラビア半島南西端とアフリカ大陸との間にあるバブ・エル・マンデブ海峡やスエズ運河を通過する船舶数が前年同時期に比べてさらに減少する一方,南アフリカ共和国の喜望峰を通過する船舶数が引き続き増加していることが明らかになった。」とのことです。
そして ‘Lloyd’s List’,07 Nov 2024 が現状を報せています。
下記,拙訳・転載します。
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“Suez Canal struggles with transits while Bab el Mandeb makes minor monthly gains”
「スエズ運河は通行量に苦戦、一方バブ・エル・マンデブ海峡は月間小幅増加」
エジプトは紅海のルート変更によりスエズ運河収入,推定60億ドル失った。
10月の交通量のわずかなプラス変動は、両方のチョークポイントを通過する交通量が時間の経過とともに徐々に減少していることを隠すことができない。
ロイズ・リスト・インテリジェンスのデータ(Lloyd’s List Intelligence data)によると,10月に877隻の貨物船がスエズ運河を通過した。
前月の868隻からわずかに増加しているが,累積総重量(載貨重量)で通過量を計算すると,前月比4%減の6550万重量トンとなった。
これは,6月に記録された6,750万重量トンを下回り,通過容量の過去最低記録となった。
エジプト外相は,フーシ派による紅海侵攻(aggression in the Red Sea)により,同国の経済は「相当な損失」を被り,スエズ運河から得られた収入が推定60億ドル減少したと述べた。
しかし、エジプトはフーシ派を公然と批判したり,攻撃を抑制するために外交的影響力を行使したりすることに消極的(reluctant)である。
「エジプト政府が行き詰まっているのには,多くの地政学的な理由(geopolitical reasons)がある」と,コンサルタント会社 IRコンシリウム(IR Consilium)のイアン・ラルビー最高経営責任者は説明する。
「最も顕著なのは,フーシ派がイスラエルに抗議しているという誤った主張を抱くことを許しているため,エジプトがフーシ派に対抗すれば,イスラエルを支援する行動とみなされる可能性があるためである。」
10月はバブ・エル・マンデブ海峡の通過数が876から948に8%増加し,より好調な月となった。
しかし,容量で測った通過量はわずか3%増の6250万トンで,2023年1月以来2番目に低い月間数値となった。
増加率の違いは,小型船舶が紅海にどのように配備されているかを反映している。
スエズ運河とバブ・エル・マンデブ海峡通過データは,紅海の交通に大きなプラスまたはマイナスの変化を示唆していない。
リスク・インテリジェンス(Risk Intelligence)社のシニア・アナリスト,ダーク・シーベルズは,その理由は,現地の状況に大きな変化がなかったためだと説明している。
「過去数ヶ月間,治安状況は変化しておらず,船舶運航業者が紅海航路に戻る理由はない。」とシーベルズは述べた。
「一方で,バブ・エル・マンデブ海峡を船舶で航行している企業にとっても状況はほぼ安定しており,突然アフリカを迂回したり,そもそも航路変更が不可能な地域貿易を単に停止したりする理由はない。」
8月から10月までの航行を5月から7月までと比較すると,紅海航行は量と総容量の点で非常にゆっくりと減少していることが分かる。
(転載了)
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物価の上昇に コンテナ船がスエズ運河通過をやめてアフリカ喜望峰回りとしていることが影響しているのでしょうか。
邦船大手3社(日本郵船,MOL,川崎汽船)が出資しているコンテナ船運航大手のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は12月19日,アジアと欧州や北米の間で運航している船舶に関し,紅海とスエズ運河を経由するルートの航海を当面の間,停止する方針を発表しています。
40年前,台湾のコンテナ船で紅海,スエズ運河を通過したことがあります。
地中海に入って 紅海通過時に白い上部構造に付着した赤い砂を 乗組員が洗い落としていました。紅海の意味がわかりました。
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