米国 250年の民主主義は トランプの猛攻に耐えられるか?
‘THE ECONOMIC TIMES’,Feb 24, 2025付け
“All Hail King Trump: Is America’s 250-year-old democracy, the world's oldest, turning into a monarchy?”
「トランプ王万歳:米国の250年続く,世界最古の民主主義は君主制に変わりつつあるのか?」
の見出し記事を 下記,拙訳・点射します。
*******************
Synopsis / 概要
ドナルド・トランプ米大統領は2期目に行政権の強化(consolidate)に力を入れており,憲法上の限界をめぐる懸念が高まっている。彼の政権による大統領令の積極的な使用,連邦政府機関への補助金の大幅な削減,官僚機構(bureaucracy)の再編におけるイーロン・マスクとの提携は,法廷闘争(legal battles)や国民の抗議を引き起こしている。共和党が多数を占める議会は概ね支持的だが,批評家はトランプが統治の限界を試しているのではないかと懸念している。裁判所が介入するなか,憲法上のガードレールが維持されるかどうかという疑問が浮上している。
50年前,ウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領が特別検察官(Special Prosecutor)アーチボルド・コックス(Archibald Cox)を解任しようとした時,米国は憲法上の危機に直面した。ドナルド・トランプがかつてないほど行政権を誇示する中,このフレーズは今日再び現出している。
多くの民主党員が警鐘を鳴らしている。「マスクと 彼の ITならず者(goons)がとった行動は違法だ。」とショーン・カステン下院議員(イリノイ州民主党)は述べ,トランプ政権の動きに対する幅広い懸念を反映している。すでに選挙結果を覆そうと試みたトランプは,裁判所の命令に逆らうことをためらわないだろうと懸念する人もいる。
一方,共和党は、ほとんど気にしていない(unbothered)。下院議長のマイク・ジョンソンは,懸念をきっぱりと(outright)否定した:「『これについて不快ではないのか?』 と何度も訊かれたが,いや、そうではない」。共和党員の多くは,トランプによる政府機関の再編を積極的に支持しており,それはずっと前から必要だったと考えている。
The Power Struggle: Courts vs. The Executive Branch
権力闘争:裁判所 対 行政府
CBSニュースの報道によると,全米憲法センター(the National Constitution Center)のジェフリー・ローゼン所長は,憲法危機(constitutional crisis)とは「大統領が最高裁の権威ある意見の実施を拒否した場合」に起こると定義し,「米国の歴史上,このようなことはかつてなかった。」と述べた。
これまでのところ,トランプは裁判所の命令に完全に逆らったわけではないが,限界を超えていることは確かだ。彼の弁護団は,政権を制約する判決に対して積極的に控訴しており,多くの訴訟が最高裁に持ち込まれると予想されている。
CBS の取材に対し,コロンビア大学の憲法学教授で元司法省職員のジリアン・メッツガー(Gillian Metzger),は,トランプが大統領権力の限界を試していると考えている。「いくつかのガードレールがある;裁判所だ。」と彼は指摘。「今のところ,裁判所は持ちこたえている。しかし,本当に法律違反を企てる政権であれば,裁判所だけでは不十分だ - 議会,州,そして国民が立ち上がることが必要だ。」
A Congress in Retreat / 後退する議会
民主党の懸念にもかかわらず,共和党が支配する議会はトランプに異議を唱える意欲をほとんど示していない。トランプの包括的な(sweeping)大統領令は,USAID(U.S. Agency for International Development:米国国際開発庁)を含む連邦政府機関を削減し(slashed),支出に関する議会の権限を回避した。
トランプの最も物議を醸した動きは? イーロン・マスクの政府効率化局(DoGE:Department of Government Efficiency)と協力して,連邦政府職員を大量に解雇することだ。その正当化は? 肥大化した(bloated),説明責任のない(unaccountable)「第4の政府機関(fourth branch of government)」だ。行政管理予算局長(head of the Office of Management and Budget)ラッセル・ボートは,「官僚にトラウマを与えること(traumatically affected)を望んでいる。」と明言している。
The “King” Rhetoric and the Rise of Authoritarianism
「王」レトリックと権威主義の台頭
トランプは全能の(all-powerful)リーダーというイメージを公然と受け入れている(embraced)。最近,王冠をかぶった自身の写真に「王よ,永遠なれ(Long Live the King)」というキャプションを付けた雑誌の表紙を加工して投稿した。また,ナポレオンを題材にした映画のセリフを引用した:「国を救う者はいかなる法も犯さない(He who saves a nation violates no law)。」
このレトリックは多くの法律専門家を不安にさせた(unsettled)。メッツガー(Metzger)は「正直に言って,トランプやマスク,その他の人物がソーシャル・メディアで発信する内容(stuff)の一部について,どう解釈したらよいのか本当に分からない。何らかの衝撃を与えることを狙っているようだ。」と認めた。
しかし,トランプの元ホワイト・ハウス顧問であるドン・マクガーン(Don McGahn)は,危機はないと主張する。「彼は確かに限界に挑戦している。」と同氏は認めた。「しかし,多くの人が認識しているよりはるかに確固とした(solid)法的権限(legal authority)を彼は持っている。」
The Courts: The Last Line of Defence?
裁判所:最後の防衛線?
トランプの行政権の積極的な使用は,複数の戦線(multiple fronts)で法廷闘争を引き起こしている。しかし,これまでのところ,政権は裁判所の判決を守っている(abided)。ただし,J・D・ヴァンス(JD Vance)副大統領のような一部の同盟者は,判決を完全に無視することを提案している。「将軍に戦争の進め方を指図しようとする裁判所がないように,裁判所には行政府の『正当な(legitimate)』権力を抑制する(curb)権利はない。」 とヴァンス副大統領はツイートした。
これは危険な可能性(dangerous possibility)を示唆している:トランプが不利な(unfavourable)最高裁の判決に従うことを拒否したらどうなるのか?
今のところ,ホワイト・ハウスは法の範囲内で行動していると主張している。「トランプ政権は憲法を忠実に(to a T)守っている」 とホワイト・ハウス報道官のハリソン・フィールズ(Harrison Fields)は述べた。「抵抗勢力は試みることはできるが,憲法改正の追求は失敗し続けるだろう」
The Bigger Picture: America’s Authoritarian Drift
全体像:アメリカの権威主義的傾向
トランプ政権(governance)への懸念は,真空中で起こっているわけではない。歴史家 アン・アップルバウム(Anne Applebaum)が著書 ‘Autocracy Inc.’ で明らかにしているように,世界中の独裁政権(authoritarian regimes)は結束して民主主義制度を解体(dismantle)しようとしている。その戦略(playbook)は不気味なほどに(eerily)よく似ている:メディアを攻撃し,選挙への信頼を損ない,政府機関を粛清し(purge),権力を強化するのだ(consolidate)。
たとえば,トランプ氏が USAIDを標的にしたのは,ロシアと中国が独立機関の正当性を失わせるために使った戦術とよく似ている。最近 広まった誤報キャンペーンでは,USAID が反トランプのプロパガンダを広めるために ‘Politico’ に数百万ドルを支払ったという虚偽の情報が飛び交った。この主張が誤りだと証明された(debunked)後も,トランプはそれを批判的なメディアへの政府購読料削減を正当化するために利用した。
これは,より広範な偽情報のパターンの一部である。アップルバウムは,ロシアと中国のプロパガンダが,ウクライナにある,米国が資金提供したバイオ研究所に関する話を捏造したことを回想する:この主張は後に米国の極右メディアを通じて広まり,‘Fox News’ のタッカー・カールソン(Tucker Carlson)によっても繰り返された。
The Future of American Democracy
米国民主主義の未来
トランプ政権の2期目は,米国の民主主義の回復力(resilience)を試す場になりそうだ。トランプ政権はすでに,大統領の権限を制限したウォーターゲート事件後の改革を撤回(undo)しようと試みている。最高裁判事の任命は司法(judiciary)をトランプに有利に傾けた。トランプの同盟者は,反対派への報復(retribution)を公然と議論している。
しかし,これは米国が憲法危機に陥っていることを意味するのだろうか?まだそうではない。マクガーン(McGahn)が言うように,「これはプロセスであり,大量の書類,大量の大統領令,大量の誇大宣伝(hype)だ。裁判所が解決する(sort it out)だろう。議会は解決を手助けできる」。
本当の疑問は:裁判所と議会が実際にそうするかどうかだ?それとも,トランプの無拘束大統領(unbound presidency)のビジョンが新たな常態になるのか?
米国は岐路(crossroads)に立っている。今後数ヶ月で,米国の民主主義制度がトランプの猛攻撃(onslaught)に耐えられるほど強いのか,それとも,おそらく永久に彼に屈するのかが明らかになるだろう。
(転載了)
***************
「トランプの誕生日を国民の祝日にする」,「ラシュモア山にトランプの顔を彫る」,「ワシントン D.C. の空港(ダレス)をトランプ空港に改名する」などの法案が共和党議員から提案されているようです。やりたい放題です。
トランプをジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンと並ぶ歴史上の人物に位置付けるような,まさかの法案で,ジョークとしか思えないのですが 真面目に議論するのでしょうか?もし ラシュモア山のワシントンの横にトランプの顔を彫ったなら,何年後かに その彫り物をダイナマイトで爆破する法案が きっと通過します。
【英語の勉強】
‘The Trump administration is following the Constitution to a T.’
の中に 初めて見る “to a T” がありました。
英和辞典にはー
“to a T”
〈古〉〔適合性などが〕完全に,完璧に,ぴったり
・This dress fits me to a T [tee, tittle] and the color is my favorite. : このドレスは大きさもぴったりだし、色も好みだ。
・You described me to a [tee, tittle]. : それはまさに私のことです。◆【場面】体験談などを聞いて自分にそっくりだと感じた。◆【直訳】あなたは私を正確に描写した。 ⇒ 相手の身の上話だが,自分についての話としてそのまま通用する。◆【参考】to a T
語源は はっきりしないようですが もっとも正しいと言われているのはー
「“T” は ‘tittle’ の略」
tittleは “i” や “j” といったスペリングの “・” の部分のような 「小さな点」を示します。発展し 「ごくわずかな量・細部」という意味にもなります。
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- 大谷翔平,MLB 300本塁打 達成(2026.07.10)
- UEFA Statement:“FIFA crossed a Red Line”(2026.07.08)


コメント