映画に100% の関税を課す? どうやって?
トランプ米大統領は5月4日,米国外で製作される全ての映画に100%の関税を課す方針を明らかにしました。他国が優遇措置を講じて米国の製作会社を誘致しているため,米映画産業が 「急速に死につつある」 ことを理由にしています。
「これは他国が申し合わせた取り組みで,国家安全保障上の脅威だ」 とトゥルース・ソーシャルに投稿。
その上で,商務省など関係政府機関に対し,海外で製作され米国に送られる全ての映画に100%の関税を課す手続きを直ちに開始する権限を与えると表明し,「米国で再び映画を作りたい!」と書き込みました。
何の価値に対して,どのように関税を課すのか 良く分らない話です。
‘CNN’ は May 6,2025付けで
“Trump’s Hollywood tariff threat is already unraveling”
「トランプ大統領のハリウッド関税の脅威がすでに解明されつつある」
の見出しで伝えています。
下記,拙訳・転載します。
***********************
New York CNN —
トランプ大統領の貿易戦争は,日曜の夜まで,自動車,おもちゃ,食品,衣料品など,私たちが仮想世界や現実世界のショッピング・カートに出し入れする実体のある商品を中心に展開していた。
しかし,これらの商品が米国経済の4分の1にも満たない割合を占めているに過ぎない。経済のパイの大部分を占めるのはサービス業である - Google,Netflix,Facebook,インターネットのインフラ,銀行,保険などを思い浮かべてみてください。そして,そう,ハリウッド映画産業で,トランプが今,救済すべきと考えているのは,まさにその通り,関税である!
見逃した方へ(ICYMI:in case you missed it):トランプは日曜遅くに ‘Truth Social’ に,政府に対し「外国(Foreign Lands)で制作され,我が国に輸入されるあらゆる(any and all)映画に100%の関税を課す手続きを直ちに開始する」よう指示したと投稿した。(宮崎駿さん,気をつけてください - 神秘的な奇想天外さと子供のような驚きで米国市場を席巻していた時代は終わった。(Watch out, Hayao Miyazaki — your days of flooding the American market with mystical whimsy and childlike wonderment are over.))
もちろん,ハリウッドのスタジオ(そして数秒以上考えた人なら誰でも)は,そのような税制がどう機能するのか頭を悩ませている。
トランプ2.0(2期目)の常套句だが,大統領が本気かどうかは定かではない。トランプのハリウッド・アンバサダーの一人であるジョン・ボイトは月曜日,最近 トランプと会談し,「業界を支援するための税制措置(tax provisions)について協議した - 拡張できるものもあれば,復活または導入できるものもある。」 と述べた。しかし,これは関税ではなく,主にインセンティブのようだ。つまり,ボイトがアメ(carrot)を推奨し,トランプがムチ(stick)を発表したということだ。
カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)は月曜日,より穏健なアプローチを好むとみられ,トランプに対し,カリフォルニア州と協力して映画・テレビ業界向けに75億ドルの連邦税額控除を創設するよう求めた。現在,税制優遇措置は もっぱら(exclusively)州と地方自治体の管轄となっている。
「強力な州による優遇措置がいかに効果的かを我々は証明した。今こそ,米国に再び映画産業を興す(Make America Film Again)ために,真の連邦政府との連携が必要な時だ。」と、ニューサムは Xの「@POTUS,実現させよう」という投稿で述べた。
ホワイト・ハウスは,トランプの投稿から数時間後,「最終決定はなされていない」 と発表し,その後 トランプは記者団に対し,映画業界関係者にこの案を検討(run the idea)してもらいたいと述べた。
しかし,もしトランプが外国映画への関税導入を真剣に考えているのであれば,勝つプランを持ってない戦争に新たな戦線を開くことになるだろう。そして,長年主張してきたように,関税への愛着は貿易不均衡への深い懸念からではなく,むしろ経済的な圧力(cudgel:棍棒)を振りかざし(wield)たいという願望から来ていることを世界に認めることになるだろう。
The Goods Place
おそらく トランプは40年以上前に形成した考えに対する知的拘りが強いため,世界の映画産業について考えるとき,VHSテープやコダクローム(Kodachrome)のリール(spools)を満載して 海を渡ってくるコンテナ船の姿を想像しているのかもしれない。
しかし,映画は港湾で輸送される商品ではなく,「サービス」経済に属する(fall under)知的財産である。映画に商品と同様に課税するには,政権は映画の価値を明確に定義し,海外での制作がどの程度「輸入」とみなされるかを判断する必要がある。(さらに,一部の哀れな脚本家は、『エミリー,パリへ行く』の次シーズンを『エミリー,アルバカーキへ行く』 という新しいタイトルで制作し始めなければならないだろう。)
商品とサービスの区別は極めて重要である。トランプは,米国が海外に売る商品よりも買う商品の方が多いという事実に憤慨しているが,実際には米国はサービスの輸出が輸入をはるかに上回っているからである。(これは「サービス黒字(services surplus)」,経済用語(econ jargon)で言う「田舎の陪審員(rural juror)」のことである。)
実際,米国は世界最大のサービス輸出国である。そのため,貿易相手国は米国に対して有利な立場に立つことができる。
「もしトランプが映画への関税導入を本気で考えているなら,非常に危険なエスカレーションだ。」と,経済学者のジャスティン・ウルファーズ(Justin Wolfers)は ‘Bluesky’ で指摘した。「サービス関連の報復措置に対して,我々は極めて攻撃されやすくなるだろう(vulnerable)。」
朗報なのは,大統領が本気ではないかもしれないということだ。「トランプの関税導入の伝統(Trumpian tariff tradition)」に倣い,彼は深夜のソーシャル・メディア投稿で,10代の若者のグループ・チャットで見かけるような大文字で,ほとんど詳細を明かさずに輸入税を発表した(「米国の映画産業は急速に衰退しつつある(The Movie Industry in America is DYING a very fast death)」と始まる)。
月曜午後の記者会見で関税について問われたトランプは,日曜夜ほど明確な答えを示さず,「業界と面会する予定だ:彼らが納得するかどうか(they’re happy about it)を確かめたい」と述べた。
大統領,ネタバレ注意(Spoiler alert, Mr. President):彼らは納得していない(They’re not happy)。CNNの取材に応じた映画スタジオやストリーミング業界の幹部数名は,私の同僚ブライアン・ステルターとジェイミー・ガンゲルの報告によると,激怒している(downright apoplectic)という。
Netflix,Disney,そして CNNの親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの株価は月曜日に下落した。
公平を期すために言うと(to be fair),トランプは ハリウッドを悩ませている(dogging)真の問題,「暴走する制作(runaway production)」に言及した。トロントやダブリンといった海外の都市は長年,映画・テレビスタジオに巨額の減税措置を講じてきた。これに対し,カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは,ハリウッドに制作スタジオを呼び戻すため,巨額の税額控除を提案した。
しかし,業界筋はブライアンとジェイミーに対し,関税を課す案は「事実上,制作を完全に停止させることを意味する … しかし,実際には,トランプにはこれを実行する権限(jurisdiction)がなく,実施も複雑すぎる。」と語った。
(転載了)
**********************
無知で 理屈の通らない権力者を祭り上げた結果です。
バランスある,知的な人間が 理屈で説得しようとしても 無理な状態になっている様が見えます,そのような人間が そばにいるかどうかはわかりませんが。
誰も 世の中の理屈を説明し,説得しようとしてないのでしょう。
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- Trump Says ‘I Love the Inflation’(2026.06.14)
- トランプのNBCとのインタビュー書き起こし(2026.06.12)


コメント