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2025年7月13日 (日)

Why Trump Doesn't Deserve the Nobel Peace Prize / トランプが ノーベル平和賞に値しない理由

トランプがノーベル平和賞を熱望しているのは 冗談ではないようです。

オーストラリアで2011年に創刊された,学術的な記事を一般向けに分かりやすく解説するオンライン・メディア ‘The Conversation’ が これに関する記事を掲載しています。。

THE CONVERSATION’,July 10,2025付け
Does Donald Trump deserve the Nobel Peace Prize? We asked 5 experts
「ドナルド・トランプはノーベル平和賞に値するのか? 5人の専門家に訊いた」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。

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Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu has formally nominated United States President Donald Trump for the Nobel Peace Prize. He says the president is “forging peace as we speak, in one country, in one region after the other”.
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は,ドナルド・トランプ米大統領をノーベル平和賞に正式に推薦した。ネタニヤフ首相は,トランプ大統領が「今まさに,一つの国,一つの地域,そして次々に各地域で平和を築いている。」と述べた。

長年にわたりノーベル平和賞の受賞を熱望してきた(craved)トランプは,イスラエルとイラン,ルワンダ,コンゴ民主共和国といった数々の紛争(a raft of conflicts)において,自らを世界的な平和推進者(global peacemaker)と位置づけている。

ガザ紛争が依然として激化する(raging)中,5人の専門家に,トランプは世界で最も権威のある平和賞を受賞できるのか,尋ねてみた。

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Emma Shortis
Adjunct Senior Fellow, School of Global, Urban and Social Studies, RMIT University

エマ・ショーティス
RMIT大学,グローバル・都市・社会学部 非常勤シニア・フェロー

No

Nominating Trump for the Nobel Peace Prize is like entering a hyena in a dog show.
トランプをノーベル平和賞に推薦することは,ドッグ・ショーにハイエナを出場させるようなものだ。

もちろん,トランプはそれに値しない。我々がこの問題を真剣に受け止めざるを得ない状況にあることは - まるで我々が必要としているかのように - 彼が我々の政治の条件を設定し,再設定する並外れた能力を持っていることの,もう一つの証である。

ガザには平和はない。たとえトランプが明日新たな停戦(ceasefire)を発表したとしても,それは長続きしないだろう。そして,真の平和と安全を築くこともないだろう。

トランプは,長期的な平和を築くために必要な興味も集中力も持ち合わせてない。彼の政権は,真に永続的な外交に伴うコストや投資を一切負担するつもりはない。そして,彼は反戦主義でもない。

イランには平和はない。トランプによるイラン爆撃は,2018年のテヘランとの核交渉を終結させるという彼の決断をさらに悪化させるだけだ。世界を核の大惨事から遠ざけるどころか,さらに近づけるだけである。

トランプ政権下で,中東に平和は訪れないだろう。米国政府とイスラエル政府双方の「安全保障」へのアプローチは,この地域を永続的な(perpetual)戦時体制(war footing)に置くものだ。このアプローチは,爆撃によって平和がもたらされることを前提としている。トランプとネタニヤフ双方にとって,この「平和」とは完全な支配と暴力的な抑圧を意味する。

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トランプ政権は,国際法と国内法の制度と原則を意図的に損なおうとしている。

彼は米国民に対して軍隊を派遣し,米国の伝統的な同盟国を貿易戦争と併合で脅している。ある調査によると,彼の政権によるUSAIDUS Agency for International Development/米国国際開発庁)の解体(dismantling)は,2030年までに450万人の子どもを含む1400万人の死をもたらすだろう。

トランプの恥ずべきトロフィー獲得への欲望を甘やかすことは,彼を一時的に満足させるかもしれない。しかし,それはノーベル平和賞の信頼性を完全に失わせ,トランプによる国際法の支配の破壊を容認することにもなるだろう。

What kind of peace is that?
それは一体どのような平和なのだろうか?

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Ali Mamouri
Research Fellow, Middle East Studies, Deakin University

アリ・マモウリ
ディーキン大学中東研究研究員

No

戦争犯罪の容疑(charges of war crimes)に直面しているドナルド・トランプをノーベル平和賞に推薦することは,前例のない,そして深く暗い皮肉であり,見過ごすことはできない。

トランプが仲介役を務めたアブラハム合意(the Abraham Accords)は,外交上の突破口として称賛された(hailed)。この合意は,イスラエルとアラブ首長国連邦,バーレーン,モロッコを含む複数のアラブ諸国との関係正常化につながった。
しかし,この成果は大きな代償を伴った。これらの合意は,長年地域の不安定性の核心と認識されてきたパレスチナ問題を意図的に脇に置き,二国家共存解決に関する数十年にわたる国際的なコンセンサスを無視した。

トランプ政権は,違法な入植地の拡大やパレスチナ領土の併合提案など,国際法違反と広くみなされているイスラエルの政策を公然と支持した。

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ガザで深刻化する人道的大惨事(humanitarian catastrophe)に直面しながらも,彼が沈黙を守っていることも同様に意味深長だった。おそらく最も憂慮すべきは,パレスチナ人を近隣アラブ諸国に強制移住さるという提案を暗黙のうちに(tacit),あるいは明示的に(explicit)支持したことだろう。これは民族浄化(ethnic cleansing)を想起させ,正義,尊厳,そして国際法の原則を根本的に損なう姿勢である。

さらに,トランプは,地域全体におけるイスラエルの軍事作戦を無条件に支持しており,イランの民間,軍事,核インフラへの攻撃を承認した。これらの攻撃は明確な法的根拠を欠き,地域の不安定化を一層助長し,テヘランによれば1000人以上の民間人が死亡した。
国際規範を軽視した彼の行動は,第二次世界大戦後の数十年にわたる外交秩序を崩壊させ,紛争の継続と拡大のリスクを高めた。

トランプに対するノーベル平和賞受賞を真剣に検討することは,紛争の削減,人権の擁護,そして永続的な平和の促進に向けた努力を称えるという同賞の公言された使命と根本的に矛盾しているように思える。

トランプの在任期間中に如何なる短期的な外交的成果が得られたとしても,彼の行動がもたらした法的,倫理的,人道的影響によって帳消しになる(eclipsed)。

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Ian Parmeter
Research Scholar, Middle East Studies, Australian National University

イアン・パーメーター
オーストラリア国立大学中東研究所 研究員

No

ネタニヤフ首相がドナルド・トランプを世界で最も切望される賞の一つに推薦したのは,明らかに大統領へのご機嫌取りを狙ったものだ。

トランプは,前任者のバラク・オバマが就任1年目に獲得した栄誉を狙っているのは明らかだ。
オバマは2009年,核不拡散の推進(nuclear non-proliferation)と,特にイスラム世界への働きかけにおける国際関係の「新たな環境(new climate)」の醸成への貢献により,この賞を受賞した。

これらの野望がいずれも実を結ばなかったことを考えると,トランプは二期目の現段階でどのような主張をするのが妥当だろうか?

トランプは今年,2つの紛争の解決を自らの功績だと主張している:1つは,5月にパキスタンの武装勢力がカシミールでインド人観光客25人を殺害した後に勃発したインドとパキスタンの短期的な衝突;もう1つは,ルワンダとコンゴ民主共和国間の長期にわたる紛争である。

インドのナレンドラ・モディ首相は,トランプによる和平仲介に異議を唱えている。モディ首相は,この問題は両国軍間の交渉によって解決されたと主張している。

ルワンダ - コンゴ民主共和国紛争に関しては,両国は6月に大統領執務室で和平協定に署名した。しかし,批評家は,カタールが重要な役割を果たしたにもかかわらず,トランプ政権がそれを覆い隠した(airbrushed out)と主張している。

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トランプは,イスラエルとイランへの圧力によって6月の12日間の停戦を成立させたと正当に主張できる。
しかし,彼にとっての最大の試練はガザ紛争だ。トランプがこれをノーベル賞受賞の根拠に加えるには,停戦以上の成果が必要となるだろう。

バイデン政権は2度の停戦を仲介し,多数の人質の解放を可能にしたが,紛争の終結には至らなかった。

一時的な停戦以上の成果を上げるには,トランプがネタニヤフに対する疑う余地のない影響力を行使する必要がある。戦争を決定的に終結させ,イスラエル人人質全員の解放を実現させなければならない。
さらに,トランプがネタニヤフを説得し,二国家解決に向けた交渉に真剣に取り組むことができれば,それはまさにノーベル賞に値する功績となるだろう。

Trump isn’t there yet.
トランプはまだそこにはいない。

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Jasmine-Kim Westendorf
Associate Professor of Peace and Conflict and Co-Director of the Initiative for Peacebuilding, The University of Melbourne

ジャスミン=キム・ウェステンドルフ
メルボルン大学 平和・紛争学准教授,平和構築イニシアチブ共同ディレクター

No

The Nobel Peace Prize recognises outstanding contributions to peace globally.
ノーベル平和賞は,世界平和への卓越した貢献を表彰するものである。

物議を醸したり政治化されたりする賞は珍しくないが,受賞者は一般的に,様々な平和活動に多大な貢献をした個人または団体である。
これらの活動には,武力紛争の削減,国際協力の強化,そして平和に貢献する人権活動などが含まれる。

核拡散防止団体(anti-nuclear proliferation organisations)や,素晴らしい女性平和活動家たちの姿は,心に響く事例である。そして,ナディア・ムラド(Nadia Murad)とデニ・ムクウェゲ(Denis Mukwege)は 性暴力を戦争兵器として利用することを終わらせようと尽力した功績により,2011年に平和賞を授与された。

トランプは「最も誇るべき功績は,平和の担い手であり,人々を一つにまとめる存在(unifier)になることだ。」と宣言した。しかし,彼はどちらでもない(But he is neither.)。
大統領は,世界中で不安の高まり,暴力的な紛争,人権侵害を助長し,平和のための国際協力を積極的に阻害してきた。これには,国際刑事裁判所の制裁措置の決定も含まれる。

ノーベル平和賞を,功績を称えるのではなく,特定の政治的方向性を勧めるために利用するという懸念すべき傾向が見られる。
バラク・オバマが2008年に受賞したノーベル平和賞は,ジョージ・W・ブッシュ政権後のオバマの外交と協力への動きを後押しした。

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エチオピアのアビィ・アハメド(Abiy Ahmed)首相は,2018年にエリトリアとの20年にわたる戦争の解決に向けた尽力に対して平和賞を授与された。この平和賞は,アハメド首相が2020年に民主的な選挙を実施するという公約を果たすよう促すきっかけとなった。しかし,恥ずべきことに(embarrassingly),アハメド首相は1年も経たないうちに内戦を引き起こし,60万人以上が死亡し,300万人以上が避難を余儀なくされた。

今週の推薦は,世界の指導者たちがトランプのご機嫌を得ようと,彼に媚びへつらおうとしたことを受けてのものである。
こうした動機こそが,ネタニヤフ首相がノーベル委員会にトランプ氏の名前を推薦した理由を物語っている。停戦交渉においてトランプの継続的な支持を確保することが,ネタニヤフ首相の政治的存続にとって極めて重要であるまさにその時に,推薦が行われたのだ。

トランプはパキスタン政府や共和党の有力者からも推薦されている。トランプにとって,お世辞(flattery)はまさに武器である。これらの指名は,嘆いてきた大統領の期待に応えるものだ。

彼らは決して私にノーベル平和賞を授与しないだろう […] 残念だ。私は受賞に値するのに,彼らは決して私に授与しないだろう。

真の平和推進者に与えられる賞は,彼らの活動と影響力を増幅させる。
1984年の受賞者であるデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)はこう言った:「ある日,誰も耳を傾けていなかった。次の日,私は賢人(oracle)になった。」ノーベル賞は平和のための強力な力となり得る。

Trump is no peacemaker, he doesn’t deserve one.
トランプは平和推進者ではない。彼は平和推進者に値しない。

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Shahram Akbarzadeh
Director, Middle East Studies Forum (MESF), Deakin University

シャーラム・アクバルザデ
ディーキン大学 中東研究フォーラム(MESF)ディレクター

No

Benjamin Netanyahu would have us believe Donald Trump is a peacemaker.
ベンヤミン・ネタニヤフは,ドナルド・トランプが平和主義者だと信じ込ませようとしている。

全くの真実からかけ離れている。彼の経歴は血と悲惨(blood and misery)に染まっている。トランプ自身がノーベル平和賞に値すると信じているという事実は,圧倒的な反証の中で,彼の誇大妄想(illusions of grandeur)を裏付けているに過ぎない。

ガザ紛争は20ヶ月目に突入した。トランプが自らの力でこの無意味な戦争を終結させようとしなかったからだ。
ガザでの実際の死者数は10万人と推定されており,その数は今も増え続けている。彼らは,イスラエルが人口密集地帯に投下した米国製の爆弾によって;イスラエルがガザ地区を封鎖し,国連の食糧支援を米国の支援を得て阻止したことによる飢餓によって;そして米国の民間警備員が設置した食糧配給センターへの銃撃によって,殺されたのだ。

すべてトランプの監視下で起きている。

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トランプはこれに対し何らかの対策を講じるべきだ。イスラエルは米国援助の最大の受益国であり,その大半は軍事支援である。
イスラエルが2023107日にハマスのテロへの報復としてガザ攻撃を開始して以来,この援助は倍増している。トランプは,イスラエルに米軍装備品の移転を承認したが,それが窮地に陥り無力な住民に対する攻撃に使われていることを重々承知している。

This is not the act of a peacemaker.
これは平和推進者の行為ではない。

イスラエル政府は現在,ガザ地区の住民を他国に「移送」することを「促進」しようと計画している-これは民族浄化(ethnic cleansing)の婉曲表現(euphemism)である。
これはジェノサイドの教科書的な定義:つまり意図的かつ組織的な殺害または迫害そのものである。トランプはガザのリビエラ(Gaza Riviera)を約束することで,良識(decency)と国際法の茶番劇(travesty)を正当化した。

トランプの突飛な(outlandish)思想は,もしその結果がこれほど壊滅的なもの(devastating)でなければ,笑いものになるだろう。

核交渉の最中にイスラエルがイランを攻撃した際,トランプは一瞬の沈黙の後,ネタニヤフ首相を援護するためにイランを爆撃した。そして,自らの行動が平和への道を切り開いた(paved)と主張した。

Trump’s idea of peace is the peace of the graveyard.
トランプの考える平和とは,墓場の平和だ。

(転載了)
********************
さて,ノルウェー・ノーベル委員会 の判断は?
No way ・・・ 

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