トランプが 米国を愚かな国に向かわせている方法。
‘Newsweek’,Apr 30, 2025付け
“Donald Trump Is Making America Dumber—On Purpose | Opinion”
「ドナルド・トランプは意図的に アメリカを愚かにしている | オピニオン」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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By Matt Robison
Podcast Host and Former Congressional Staffer
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それほど昔のことではないが,不安やうつ病(depression),あるいはむら気(moodiness)に苦しんでいる患者に対し,医師たちは脳の一部を切除するのが良い考えだと考えていた。その治療法は病気そのものよりもはるかに(staggeringly)悪くなる可能性もあった - 患者は混乱し,思考力を失い,さらには強硬症(catatonic)に陥る可能性もあった(映画 『カッコーの巣の上で(One Flew Over the Cuckoo's Nest)』 で印象的に描かれたように) - しかし,少なくともあの厄介な(pesky)不安から解放されるのだ。もちろん,やがて医療界はこのアプローチを恥ずべき(embarrassing)過ちと見做すようになった。
ドナルド・トランプ大統領は,これを第二期目の土台(cornerstone) としている。
トランプは米国にロボトミー手術しようとしている。彼は,自らの空想的な(quixotic)目的を達成するために,私たちの集合的な脳の機能を直接的に,そして意図的に攻撃している。それは,不法移民,米国の製造業の衰退,多様性・公平性・包摂性(DEI)プログラムといった,現実の,あるいは想像上の様々な問題との闘いを隠れ蓑にしている: そして政府の非効率性(inefficiency) - トランプ政権は米国の知性(intelligence)に対し,多方面にわたる戦いを開始した。この戦いは勝利を収めているだけでなく,永続的な敗走(rout),ひいては私たちの知的能力の,世代を超えた劣化をもたらしている。
その戦術は,ワン・ツー・パンチに集約される:あらゆる反対派の知性を削ぐ(eroding)ための攻撃,そして繊細な思考を圧倒する,低レベルな(dumbed-down)戯言(blather)の強烈な一撃(haymakers)だ。
まず,政府内部で攻撃(jabs)が始まった,専門家,オタク(nerds),そして数学やテクノロジーの操作方法を知っている人々が追い出された(hounded out)(もしくは,行政管理予算局長(Office of Management and Budget head)ラッセル・ヴォートの言い方を借りれば,「トラウマを植え付けられて(traumatized)」辞職させられたのだ)。
ほんの少し例を挙げると,急速な技術開発を担う国防総省の国防デジタルサービス(Defense Digital Service)の専門家が一斉に(en masse)辞職した(resigned); 核兵器を監視する国家核安全保障局(the National Nuclear Security Administration)の主要職員や,鳥インフルエンザと闘う農務省(the Agriculture Department)の科学者が解雇された;最先端の生物医学研究に注力する米国の保健機関の専門家が(科学的背景のないDOGE(Department of Government Efficiency:米政府効率化省)職員によって)解雇された(axed)。そして,薬物使用から教育,妊産婦死亡率に至るまでの問題に関するデータを収集する専門家は解雇され,オフィスは閉鎖された(どうやら,ニューロンを切断するだけでは不十分で,目と前頭葉(frontal lobes)も切り離さなければならないようだ)。
政府以外では,医学,法学,科学,そしてあらゆる種類の高度な研究など,高度な学位を必要とする分野でMAGAの猛烈な(withering)攻撃を受けていないものを見つけるのは難しい。
米国の科学機関は粉砕され(shattered),子供たちの世代の経済的繁栄と幸福の源泉である研究は断たれた。先週,文字通り地球外生命体を発見したかもしれない(実際のところ)のに,DOGEの削減により,いまだにそれを確認できていない。
エビデンスに基づく医療は禁じられている(verboten):ワクチンと公衆衛生を監督していた医師は,ロバート・F・ケネディ・ジュニア(Robert F. Kennedy Jr.)保健福祉長官(Health and Human Services Secretary)の嘘の洪水(flood of lies)によって職を追われた(tapped out)一方で,無免許医療行為で処罰されたワクチン懐疑論者(vaccine skeptic)が新たに起用された(tapped in)。
法制度(legal edifice)の最前線は分断され,支配下に置かれた。一流法律事務所は屈服し(knuckling),おとなしく黙ってトランプのために働くことを約束する一方,最高裁判所は対決を避けるため慎重に手加減している(pulls its punches)。そして政権はあらゆるレベルの教育を攻撃している: トップクラスの大学への資金提供を打ち切り,嫌がらせ(harassing)やいじめ(bullying)を行い,小学校の運営を支える助成金,融資,そしてデータまでも削除している。
こうしたあらゆる分野を破壊しようとしながら,関税という鉄槌(tariff sledgehammer)を下して最も旧式の製造業を活性化(pump up)させようとするトランプは,文字通り,思考と発明を必要とする分野から,組立ラインで部品をねじ込む仕事へと米国民を追いやろうとしているように見える。これは,知識人や科学者を信用しなかった毛沢東(Mao Zedong)が,国の優秀な人材を単純労働(menial labor)に追いやった文化大革命とは全く異なる。しかし,その影響(echo)は確かにある。
そして,その攻撃が私たちの知的防御を組織的に切り裂く一方で,MAGA の代弁者たち(mouthpieces)から噴出する(erupting)灰色の粘液の強烈な攻撃(haymakers)は私たちの頭に突き刺さり,私たちを混乱させている(woozy)。
トランプ大統領の馬鹿げた(absurd)関税計画は,彼の政権から1度ならず3度も,互いに明らかに矛盾する,真実を含む主張を突きつけられた(注:関税による財源確保,世界的な関税引き下げ,国内製造業の育成を同時に実現することはできない)。しかし,彼らは 「ドペラー効果(Dopeler effect)」,つまり愚かなアイデアが突如として現れたとき,より賢明に聞こえるという効果で事なきを得ているようだ。
(*‘Doppler effect’ではなく ‘Dopeler effect’:The tendency of stupid ideas to seem smarter.)
彼らはまた,「四つ足は善,二本足は悪」的な,単純なアイデアの繰り返しも大好きだ(big on)。
キルマー・アブレゴ・ガルシア事件(裁判所命令があったにもかかわらず政権が誤って男性を外国の強制収容所に送致した事件)において,最高裁が誤りを認め,明らかに敗訴したことを受けて,ホワイト・ハウス報道官は,別の不法移民に娘を殺害された悲しみに暮れる母親を招いてブリーフィングを開いた。
これらの事件に真の関連性はないのだろうか?とにかく,繰り返し言ってください:移民の味方か,そうでないかのどちらかだ。「実に単純な話だ。」と,ホワイト・ハウスの対テロ専門家(counterterror czar)セバスチャン・ゴルカは述べた。「大統領や閣僚,政府機関の長官のように,米国を愛し,米国民を守りたいと願う人々がいる。そして,もう一方の側,つまり麻薬カルテルの構成員,不法移民の味方もいるのだ。」
トランプ陣営は,こうした陳腐な(insipid)論理の欠陥(logic lemons)をばら撒くだけでなく,それを広めるために協力的なサクラを雇い入れ(shills),細かい点を指摘しようとするメディアを攻撃している。ABCニュースはトランプの疑わしい名誉毀損訴訟報道を鎮静化し,‘60 Minutes’の長年のプロデューサーは辞任し,CBSも同様の法的脅威に怯え始めた。こうして主流メディアは巧みに牙を抜かれている(defanged)一方で,右翼工作員(threat—right-wing operatives)は,最も曖昧な(dimmest)トランプ主義(Trumpisms)でさえも,喜んで増幅させる絶好の機会を得ている。
なぜトランプはこんなことをしているのだろうか?簡単に言えば それはシンプルだ(The simple version is, well, simple): 政府のデータを排除すれば,彼の政策の破滅的な影響が見えにくくなり,政府の専門家を排除すれば,彼のイデオロギー的な議論を止めるのが難しくなり,世界を愚かなレトリックで溺れさせることは,カール・サンドバーグ(Carl Sandburg)の次の言葉を思い起こさせる: 「事実があなたに不利なら,法律を主張せよ; 法律があなたに不利なら,事実を主張せよ; 法律と事実があなたに不利なら,テーブルを叩いて,怒鳴り散らせ。」 (“If the facts are against you, argue the law; if the law is against you, argue the facts; if the law and the facts are against you, pound the table and yell like hell.”)
しかし,陰鬱な(sinister)側面もある。1985年にリバイバル放送された ‘The Twilight Zone’ のエピソード「試験日(Examination Day)」では,12歳の少年が政府から義務付けられた知能テストを受ける。ディストピア的なひねり(dystopian twist)は,このテストが下限(floor)ではなく上限(ceiling)を見つけるためのものだということだ。法定IQの上限を超えると,少年は処刑される。
トランプは,米国愚民化政策(great American dumb-down)でこれほど露骨なこと(explicit)は計画していないかもしれない。しかし,彼は自身の現実に関する主張をあらゆる政治問題の基礎とし,客観的な現実と競合させたくないのは確かだ。ケリーアン・コンウェイ(Kellyanne Conway)が 「オルタナティブ・ファクト(alternative facts)」などが存在すると主張した悪名高い(infamous)発言は、氷山の一角に過ぎなかった。ウィンストン・スミス(Winston Smith)が,1984年に悟ったように,「自由とは,2+2=4だと言える自由である」。 トランプの目標は,少なくとも 「2+2=5だ」 という命題を議論の余地なくすることだ。知識人の反論さえなければ,彼はあらゆる答えを提示できる。
確かに,私たちはそのような明白な専制政治(tyranny)からは程遠い(long way)。しかし,たとえトランプのような独裁政治(Trumpian autocracy)にはならずに済んだとしても,米国的な「バカ民主主義(idiocracy)」へと向かっているのかもしれない。
(*idiocracy:2006年にアメリカで製作されたSFコメディ映画(邦題:26世紀青年)。冬眠実験に参加した主人公が500年後の未来に目覚め,知能レベルが著しく低下した社会で最も知的な人間として扱われる。原語 “Idiocracy” は,‘Idiot(バカ)’ と ‘Democracy’を組み合わせた造語。
(転載了)
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知性ある米国人が トランプとは議論できないと逃げていれば 米国が “idiocracy” になる日は遠くないかも知れません。
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