相撲 ロンドン公演,そして 英国の相撲事情
男性総合誌 ‘GQ’の 英国電子版,18 October 2025付け
“Sumo wrestling has taken over London. Could it be about to spread across the UK?”
「相撲がロンドンを席巻している。もしかしたら,英国全土に広がるかも?」
のタイトル記事を 下記,拙訳・転載します。
************************
The Grand Sumo Tournament at the Royal Albert Hall has been grabbing headlines and dominating feeds this week. But it's a sport getting bigger across the whole country, too
ロイヤル・アルバート・ホールで行われた大相撲は,今週,ニュースの見出しを飾り,ニュース・フィードを賑わせている。しかし,相撲は英国全土でも人気が高まっているスポーツだ。
ロイヤル・アルバート・ホールで開かれている大相撲二日目,三番目の取り組み,琴栄峰 央起は心理戦を繰り広げている。対戦相手の翔猿 正也の目をじっと見つめ,140kgの体重を右足に預け,左足を宙に突き上げ始める。「空飛ぶ猿(The Flying Monkey)」として知られる翔猿も,それを真似る。
力士が頭を下げ,体重を支えていない足を上げ,伸ばす動きを続けるにつれ,観客は熱狂に包まれる(rapturous)。ついには, 右足が6時の方向,頭が3時の方向に突き出ている状態,そして左足はまるで親指を紐で引っ張られているかのように10時半あたりに上を向いている状態と,左右対称の状態になる。
彼らは,取組前の儀式(ritual)を天井から吊るされた1.5トンの屋根の下の土俵(dohyō)で行う ― 土俵は11トンの土が敷かれており,土はケタリング(Kettering)近郊で採れた粘土質の土(soil – a particularly clay-heavy variety)で,日本の専門家と協議の上,英国全土からサンプルを採取した結果で選択され,土俵に成形されている(moulded)。
会場の舞台裏では,大会に向けて700kg以上の米,インスタント味噌汁1000袋,インスタントラーメン750袋,そして200kgの塩(食べるためではなく,試合前の儀式の一環として土俵に撒くためのもの)が備蓄されていた。また,耐荷重がわずか100kgだった舞台裏の椅子をすべて,より頑丈な椅子に交換し,会場のトイレも補強した。今週の大会に出場する力士の体重は最大190kgである。
2000年にわたるこのスポーツの歴史の中で,最高レベルのトーナメントが日本国外で開催されるのは今回が2度目だ(1度目は1991年,英国全土の日本フェスティバルの一環として,やはりロイヤル・アルバート・ホールで開催された)。そのため,クラシック音楽との結びつきが強い,華麗なビクトリア朝様式のコンサートホールを日本の国技館に全面的に改造することは、おそらく唯一の道だったのだろう。
しかし,本質的には相撲は非常にシンプルなスポーツである。相手を殴ったり,蹴ったり,髪を引っ張ったりすることはできないが,それ以外は基本的に,先に土俵から出たり,足の裏以外の体の一部が土に触れた人が負けというだけである。基本的な形態であれば,どこでも行うことができ,ジムや教会のホール,時には公園などでも行う人が増えている。
2017年,現英国相撲会長(British Sumo president)のスコット・フィンドレー(Scott Findlay)が相撲と関わるようになった(got involved)のは,Facebookグループからの招待を受け,故郷のコートブリッジ(グラスゴー郊外)から最寄りのイースト・ミッドランズにある相撲クラブまで足を運んだ時のことだった。
バスと電車を乗り継いで9時間にも及ぶリレー旅は,午前1時に到着し,凍えるような体育館で,古びたクッション・マットの上で,かなり古びたプラグ・イン・ラジエーターの横で一夜を明かすことで終わった。「夜中に火事にならなかったのが不思議だった。」と彼は言う。 「次の日,起きて数人の男たちとスパーリングをして,このスポーツに完全に夢中になった。」
フィンドレーは,複数の体重別階級で英国チャンピオンに何度も輝き,2023年には英国相撲協会を設立し,今年,国際相撲連盟(ISUMO:the International Sumo Federation)から英国相撲の統括団体(the national governing body)として認定された。フィンドレーが英国相撲協会を設立してから2年で,英国で活動するクラブの数は3つから14に増えた。
「私は生意気な(cocky)言い方をしたくない。他人が生意気な言い方をするのが嫌いなんだ。」と彼は言う。「しかし,この2年間で,この国の相撲を間違いなく変えた -下着姿の太った男2人が戦うという,かなり滑稽な(fairly comic)アクトから,体重別階級や女性や若者の参加など,あらゆる要素を備えた真剣なスポーツへと。とても誇りに思っている。」
「スコットが就任して以来,このスポーツは飛躍的に発展した(come on leaps and bounds)。」と,同じく英国チャンピオンのソニー・“リンガー”・ベル(Sonny “Ringer” Bell)は語る。彼は2年前,ドンカスターまで練習のために通う手間を省くため,ロンドン相撲クラブを設立。最近ではサウサンプトンの新クラブでコーチとして活動している。
「スコットが就任する前は,このスポーツを成長させようという明確なビジョンはなかったが,今ではブラジリアン柔術(Brazilian Ju-Jitsu),ラグビー,総合格闘技(MMA:Mixed Martial Arts),柔道,ムエタイ(Muay Thai)など,様々な新しいクラブが設立され,人々が参加している。とても楽しく刺激的なスポーツなので,皆夢中になり,自宅の近くにクラブを作りたいと思うようになっている。」
新しいクラブの一つは,英国と国際のアマチュア・チャンピオンに複数回 輝いたマンディープ・クンディ(Mandeep Kundi)によって設立された。4ヶ月前,彼はディープ相撲(Deep Sumo)を立ち上げ,日曜日にブルネル大学の体育館で運営している。「それまでは ただの情熱のようなものだったが,今はそれを目的にしようと努力している。」 とクンディ氏は言う。
フィンドレーによると,大相撲がロンドンで開催されて以来,ディープ相撲,そして英国の他の相撲への関心は急上昇しているそうである。ロイヤル・アルバート・ホールに集まった観衆の中には,将来の力士を目指す人々よりも,会社の名刺で顧客に印象づけようとしているシティの社員の方が多かったように思えたが,このスポーツ界のスターたちがロンドン中を観光する写真 ― 小さなパディントン・ベアのおもちゃを巨大な体に嬉しそうに 抱きしめたり,国会議事堂の前でホット・ドッグを食べたり,一連のライム・バイク(Lime Bikes)のサスペンションを限界までテストしたりなど ― は,このスポーツについて考える特別な理由が他にない大勢の英国人の心に相撲を植え付けた。
誰かの注目を集めたら,それをどうにかして活かす必要がある。まさにこの時,このスポーツ,そしてその華やかさ(fanfare),儀式(ritual),そして古来のシンプルさが真価を発揮する。場所二日目の休憩時間に,私はハーヴィーに会った。彼は格闘技愛好家(martial arts enthusiast)で,父親と一緒に いつもテレビで相撲を見ていた。子供の頃,1991年場所を観戦したのを覚えているという。チケット発売時に手に入れようとしたが,予算が足りなかったが,日本の航空会社が主催する抽選に応募し,見事当選したのだ。
(転載了)
***************
英国人の力士登場を期待しましょう。
下表は 最終日(5日)の取組結果(最終結果を含む)です。
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- ウィンブルドンの “All-White Dress Code”(2026.07.20)
- 中国/習の好感度の向上は 米国/トランプの反動?(2026.07.22)
- 信頼性において 習/中国が トランプ/米国を抜いた(?)(2026.07.19)








コメント