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2025年10月13日 (月)

ノーベル平和賞発表の前日にオスロ平和研究所所長が投稿した,トランプの授賞がありそうにない理由

10月10日のノーベル平和賞発表前日,‘TIME’誌 電子版 Oct.9,2025付けで
Why Trump Is Unlikely to Win the Nobel Peace Prize
「トランプのノーベル平和賞受賞が ありそうにない理由」
の寄稿がありました。

By Nina Græger / ニーナ・グレーガー
Contributor / 寄稿者
Director of the Peace Research Institute Oslo /
オスロ平和研究所所長

下記,拙訳・転載します。
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ノーベル平和賞ほど多くの関心(intrigue)を集める賞はそう多くない。今年も例外ではない。ドナルド・トランプ米大統領は,数々の和平合意の仲介役を務めたことを例に挙げ,自らを「世界の平和推進者(global peacemaker-in-chief)」と位置づけ,受賞者(laureates)の一人にふさわしい人物だと提言している。

平和の条件(conditions for peace)に関する最先端の研究を行うオスロ平和研究所(the Peace Research Institute Oslo)の所長として,私はしばしば,このような主張に信憑性がある(hold weight)かどうか尋ねられる。私の見解では,ノルウェー・ノーベル委員会が金曜日にトランプに平和賞を授与する可能性は依然として低い。

理由は政治的偏り(political bias)ではない。委員会はアルフレッド・ノーベルの遺志に基づく独立機関であり,平和,軍縮,そして国際協力を推進する人々を称えることが求められている。この基準から見ると,トランプ大統領の経歴は複雑な様相(complex picture)を呈している。

国際協力に関して,トランプ政権は際立って(markedly)孤立主義的な(isolationist)アプローチを取っている。今年初め,トランプ大統領は世界保健機関(WHO),パリ協定(the Paris climate accord),そして国際租税協定(international tax agreements)からの離脱を定める大統領令に署名した。これらの決定は多国間関与(multilateral engagement)からの転換を反映しており,アルフレッド・ノーベルのビジョンとは対照的である。

ノーベルは遺言の中で,「国家間の友愛(fraternity between nations)」の促進を強調した。これは後に,特に国連を通じた国際協力への支援と解釈され,国連機関は長年にわたり数々の平和賞を受賞している。

トランプ政権はまた,米国の対外援助活動(foreign assistance efforts)を大幅に削減し,米国国際開発庁(USIDU.S. Agency for International Development)を解体した。スーダンの飢餓救済からサハラ以南のアフリカにおけるワクチン接種キャンペーンに至るまで,数十億ドル規模のプログラムが不確かになっている。

ランセット誌(The Lancet)に掲載された研究は,この結果,2030年までに5歳未満の子供400万人を含む最大1,400万人が新たに死亡​​する可能性があると警告している。このような行為は,国家間の友愛と協力を促進しようとするアルフレッド・ノーベルの意志の精神に反するものである。

軍縮(disarmament)に関して,トランプ大統領のアプローチは伝統的な軍備管理の取り組みとは大きく異なっている(diverged)。例えば,最初の任期中,政権は冷戦時代から続くロシアとの核軍縮条約(nuclear arms control treaty)から離脱した。一方,アルフレッド・ノーベルの軍縮ビジョンは,軍備の段階的な削減と国家間の相互信頼の構築を重視している。

平和に関しては,トランプ大統領は和平イニシアチブを支援するために目に見える措置を講じてきた。イスラエルとハマスは,トランプ大統領のガザ和平計画の第一段階に合意しており,これは有望な成果である。20項目からなるこの計画には,停戦,人道支援の受け入れ、そしてイスラエル人人質とパレスチナ人捕虜の解放が含まれている。
しかし,この計画はパレスチナ人を交渉から除外し,紛争の根本原因(the root causes)に適切に対処していないという批判に直面している。アルフレッド・ノーベルが目指したような,永続的で持続的な平和の実現は,まだ見通せていない。

国内においては,トランプ大統領の政策の多くは秩序と安全保障を重視しており,時には対話や地方自治体の参加(inclusion)を犠牲にしてきた。コロンビア特別区,カリフォルニア州,テネシー州などでは,騒乱を鎮圧する(quell)ために州兵を派遣し,米国の大学で親パレスチナ・デモを弾圧した。

ノーベル委員会がアルフレッド・ノーベルのビジョンを体現する候補者を探しているのであれば,他の候補者に目を向けるかもしれない。当研究所の伝統に従い,私は最近,そのような候補者5名を所長名簿に載せた。このリストは,当研究所の研究と使命の中核を成す,今日の平和に向けた主要な課題を浮き彫りにしている。

これらの候補者には,紛争下で人道支援を行う地域主導の草の根活動であるスーダン緊急対応室;報道の自由を擁護し,敵対的な環境におけるジャーナリストへの攻撃や殺害を記録するジャーナリスト保護委会員(the Committee to Protect Journalists)などが含まれる。そして,軍縮と平和構築における女性の重要な役割を訴えることで平和を推進してきた、100年の歴史を持つ運動である国際平和自由女性連盟(WILFthe Women’s International League for Peace and Freedom)である。

これらの候補者の活動は静かで控えめかもしれないが,アルフレッド・ノーベルがノーベル賞によって称えようとした,平和,軍縮,そして国際協力のための懸命で継続的な努力を体現している。

当然のことながら,トランプ大統領の候補としての立場を強調するロビー活動が行われており,イスラエル,パキスタン,アルメニア,アゼルバイジャンなど,複数の国際的指導者が公然と支持している。しかし,ノルウェー・ノーベル委員会は強力な制度的保護体制(institutional safeguards)を有している:委員会の審議は50年間秘密にされ,その任務はアルフレッド・ノーベルの遺言によって定められ,委員は賞の公正性を守るために選出されている。外部からの圧力が,今年の結果を含め,委員会の決定に影響を与える可能性は低いだろう。

ノーベル平和賞は,アルフレッド・ノーベルの遺言によれば,「前年に人類に最も大きな貢献をした人々」に毎年授与される5つの賞の一つである。平和賞は,人気や将来性,権力を測るものではなく,平和,軍縮,そして協力への永続的な貢献を測るものである。

確かに,この賞はこれまでにも物議を醸した受賞者を出したことがある。1973年には,ヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger)がベトナム戦争の停戦交渉への尽力により受賞者の一人となった。この受賞に抗議し,ノーベル委員会の委員2名が辞任した。

より最近の2009年にバラク・オバマが受賞した際には,就任から1年も経っておらず,平和促進への取り組みが不十分だと委員会は批判にさらされた。ノーベル平和賞事務局長のゲイル・ルンデスタッド(Geir Lundestad)は後に,オバマ氏の平和賞受賞を遺憾に思う(regretted)と述べた。

トランプ大統領はいくつかの分野で注目すべき努力を行ってきたものの,現段階での全体的な実績は,アルフレッド・ノーベルが示した基準に完全には合致していない。ガザ紛争終結に向けた取り組みなど,彼の取り組みが永続的な成功を収めれば,来年の今頃は状況が大きく変わっている可能性がある。

(転載了)
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「彼の取り組みが永続的な成功を収めれば,・・・」とありますが,彼の 数々のマイナス要素を埋めることは可能でしょうか?

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