米国の原子力発電所事情,世論は?
‘Pew Research Center’,Oct.16,2025付け
“Support for expanding nuclear power is up in both parties since 2020”
「2020年以降,両党とも原子力発電の拡大への支持が高まっている」
の見出し調査報告を 下記,拙訳・転載します。
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ピュー・リサーチ・センターが4月と5月に実施した調査によると,米国の成人の約6割が,原子力発電所の増設に賛成していると回答した。これは2020年の43% から増加しており,共和党と民主党双方の支持拡大が原動力となっている。
トランプ政権と議会における民主党と共和党は,原子力発電の拡大を支持している。第2期 トランプ政権は,米国の原子力発電能力を劇的に増強することを目指した4つの大統領令(executive orders)を発令した。また,ドナルド・トランプ大統領が2025年7月に署名した主要な法律は,原子力発電に対する多くの税制優遇措置(tax incentives)を維持するものである。
米国人は依然として,太陽光発電(77%)と風力発電(68%)の拡大を支持する傾向が,原子力発電(59%)よりも強い。しかし,太陽光発電と風力発電への支持は2020年以降2桁(double digits)減少しており(主に共和党支持の低下が要因),原子力発電を支持する人の割合は16ポイント増加している。
Views by gender / 性別による見解
原子力発電に対する考え方は,長年にわたり性別によって異なってきた。
4月~5月の調査では,米国では,発電のための原子力発電所の拡張を支持する割合は,依然として男性が女性をはるかに上回っている(74% 対 44%)。この傾向は、両党派の成人に共通しています。
2019年秋から2020年春にかけて実施されたセンターの調査によると,世界的にも原子力に対する考え方は性別によって異なる。調査対象となった20ヶ国のうち18ヶ国では,国内のエネルギー源として原子力発電の利用拡大を支持する割合が、男性の方が女性よりも高かった。
Views by party / 政党による見解
米国における電力発電のための原子力発電の拡大を支持する傾向は,共和党支持者の方が民主党支持者よりも強い。共和党支持者および共和党寄りの無党派層の約7割(69%)がこれに賛成しているのに対し,民主党支持者および民主党寄りの無党派層の賛成派は約半数(52%)である。
2016年以降,この質問を行うたびに,共和党支持者は民主党支持者を上回って原子力発電を支持している。
原子力発電への支持(support for nuclear power)における党派間の差(17% ポイント)は,沖合石油・ガス掘削(52% ポイント)や石炭採掘(50% ポイント)といった化石燃料源を含む他のエネルギー源への支持の差よりも小さい。
米国では,両党派の支持者が,この10年初期よりも原子力発電に好意的に捉えている。原子力発電の拡大を支持する民主党員の割合は,2020年以降15ポイント増加し,共和党員の支持率は16ポイント増加した。
若い共和党員は,年配の共和党員よりも国内の再生可能エネルギー源の拡大を支持する傾向があるが,原子力発電に関してはこの傾向が逆転している。例えば,30歳未満の共和党員は,65歳以上の共和党員よりも太陽光発電所の増設を支持する傾向が高い(69% 対53%)。しかし,原子力発電の拡大を支持する傾向は,最年長の共和党員に比べて14ポイント低くなっている(61% 対75%)。
Why Americans favor or oppose expanding nuclear power in their own words
米国人が原子力発電の拡大に賛成または反対する理由(自身の言葉で)
私たちはまた,米国人に原子力発電の拡大に賛成または反対する主な理由を自身の言葉で尋ねた。
原子力発電の拡大に賛成する回答者の中で,最も多かった理由は,クリーンまたは低炭素のエネルギー生産方法であるというものだった(40%)。2人の回答者は次のように述べている。
「原子力発電所は現在,気象条件に左右されることなく,大量の電力を効率的に生産できる唯一の炭素排出ゼロの発電手段である。」
「原子力発電所は,投資した資金と時間に対して膨大な量のエネルギーを生産できるクリーンなエネルギー源である。」
原子力発電の導入を支持する人の中には,効率性(20%)や安全性(13%)を理由に挙げる人もいる:
「原子力発電によって安全性を維持する方法を学んだ。(潜水艦や航空母艦といった軍事利用を考えてみてください。)原子力はクリーンで,廃棄物も安全に処理できる。」
原子力発電を支持する理由として,他には経済的メリット(13%),信頼性(10%),より多様なエネルギー源の必要性(9%)などが挙げられている。
原子力発電の拡大に反対する人々の中で,安全性への懸念が最も多い理由(44%)である。これには,原子力発電は一般的に安全ではないと述べる回答者や,大惨事のリスク,そして人体への健康リスクを挙げる回答者も含まれる。
「何か問題が起きれば,壊滅的な事態になりかねない。」
「原子力発電所は危険であり,人間が必要な安全対策を講じる責任感を持っているとは信じない。」
原子力発電に反対するその他の理由としては,環境への影響に関する一般的な懸念(14%)や,有害廃棄物に関する具体的な懸念(14%)が挙げられる。例えば,ある回答者は次のように書いている。
「原子力発電所は放射線を放出しやすく,環境を破壊する。」
A look at U.S. nuclear power reactors
米国の原子力発電所の概要
米国には現在,昨年ジョージア州に開設された原子炉を含め,94基の原子炉が存在する。米国エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)の予備データによると,2024年にはこれらの原子炉が米国の実用規模施設から供給される全電力の18.2% を発電することになる。
米国の原子炉の約半分(48基)は南部に,約4分の1(22基)は中西部にある。国際原子力機関(IAEA:the International Atomic Energy Agency)のデータによると,北東部には18基,西部には6基の原子炉がある。
米国の原子炉の数は,1990年のピーク時の111基以降減少している。ニューヨーク州スクリバにあるナイン・マイル・ポイント1号炉は,現在も稼働している米国で最も古い原子炉である。この原子炉が初めて電力網に接続されたのは1969年11月である。
IAEAのデータによると,現在稼働中の94基の原子炉の大半は1970年代(41基)または1980年代(44基)に稼働を開始している。(IAEAは,原子炉を電力網への最初の接続日から永久停止日まで「稼働中」と分類している。)
過去10年間で8基の原子炉が停止し,新たに発電設備に加わったのはわずか3基である。
ここ数十年で原子力発電プロジェクトが縮小した(dwindled)多くの理由の一つは,米国および海外で発生した原子炉事故を受けて,原子力発電の危険性が認識されたことにあると考えられる。例えば、2011年の福島第一原子力発電所の事故は,日本政府をはじめとする各国に原子力発電計画の見直しを迫った。建設コストの高さと放射性廃棄物の貯蔵も,原子力開発の障壁としてしばしば挙げられる。
それでも,原子力発電は発電による排出量削減の鍵となると多くの支持者が主張している。テクノロジー企業も最近,ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所やアイオワ州のデュアン・アーノルド原子力発電所など,閉鎖された原子力発電所を再生し,AIに特化した大規模データセンターに電力を供給することに関心を示している。2022年に閉鎖されたミシガン州のパリセーズ原子力発電所は,今年中に再稼働する最初の原子炉となる可能性がある。
(転載了)
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参考にー
日本の原子力発電所の現状は 下表のとおりです。
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