トランプ関税の合法性,連邦最高裁での口頭弁論始まる
‘BBC’,Nov.6,2025付け
“Conservative justices sharply question Trump tariffs in high-stakes hearing”
「保守派判事,重要公聴会でトランプ関税に厳しい質問」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
**********************
President Donald Trump's use of sweeping tariffs faced sharp questioning at the Supreme Court on Wednesday, in a case with major implications for the president's agenda and the global economy.
ドナルド・トランプ大統領による広範囲な関税措置の行使は,水曜日(11月5日)に最高裁判所で厳しい追及を受けた。この訴訟は,大統領の政策と世界経済に大きな影響を与える。
保守派を含む判事の過半数は,大統領がアメリカの製造業基盤の回復と貿易不均衡の是正に必要だと述べている輸入関税(import duties)について,ホワイト・ハウスの正当性に疑問を呈した。
この措置は,事実上の税金である関税(levies)の導入は大統領の権限を逸脱している(overstepped)として,多くの中小企業と一部の州から異議が申し立てられている。
米国の最高裁判所は,保守派が6対3で多数を占めており,通常,重要な決定を下すのに数ヶ月かかるが,今回の訴訟ではより迅速な判断が下されると予想する声が多い。この訴訟は,トランプ政権による大統領権限拡大の試みが初めて試される局面とも見られている。
「では,防衛と産業基盤への脅威があるため,すべての国に関税を課す必要があったという主張なのか?つまり,スペイン? フランス?」と,トランプ大統領によって最高裁に任命されたエイミー・コニー・バレット(Amy Coney Barrett)判事は尋ねた。
「一部の国については理解できるが,なぜこれほど多くの国が相互関税政策(the reciprocal tariff policy)の対象になる必要があるのか説明してください。」
数十億ドルの関税支払いが危機に瀕している(at stake)。トランプ政権が敗訴した場合,政府は徴収した数十億ドルの一部を返還しなければならない可能性があり,バレットはその手続きが 「完全な混乱(complete mess)」 になる可能性があると指摘した。
ホワイト・ハウスは,スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官(Treasury Secretary),ハワード・ラトニック(Howard Lutnick)商務長官(Commerce Secretary),ジェイミーソン・グリア(Jamieson Greer)通商代表部(US Trade Representative)を公聴会に派遣したが,最高裁が有利な判決を下さなければ,他の関税当局(tariff authorities)に頼る(turn)意向を示している。
「ホワイト・ハウスは常に プランBを用意している。」と,ホワイト・ハウス報道官のキャロライン・リービット(Karoline Leavitt)は公聴会に先立ち述べた。
水曜日の公聴会後,トランプはFOXニュースに出演し,公聴会はうまくいったと考えていると述べた。
さらに,政権がこの訴訟に敗訴すれば国にとって 「壊滅的(devastating)」な結果になると述べ,この訴訟を「我が国の歴史上最も重要な訴訟の一つ」と呼んだ。
Arguing over 'country-killing' crises
「国家を滅ぼす」危機をめぐる議論
この訴訟は,1977年の法律である国際緊急経済権限法(IEEPA:the International Emergency Economic Powers Act)をめぐって争われている。この法律は,緊急事態に対応して大統領に貿易を 「規制する(regulate)」権限を与えている。
トランプは,2月,中国,メキシコ,カナダからの麻薬密売(drug trafficking)が緊急事態に該当する(constituted)として,IEEPAを初めて発動し,これらの国からの製品に課税した。
トランプは4月に再びIEEPAを発動し,世界のほぼすべての国からの製品に10%から50%の関税を課すよう命じた。今回は,米国の貿易赤字(trade deficit)(輸入が輸出を上回る)が 「並外れた,異例の脅威(extraordinary and unusual threat)」をもたらしていると述べた。
これらの関税は,米国が各国に「合意(deals)」を迫る中で,今夏,断続的に(in fits and starts)発動された。
トランプ政権は,規制権限には関税を課す権限も含まれており,米国は「国家を破滅させ,持続不可能な(country-killing and not sustainable)」特殊な危機に直面しており,大統領による緊急措置が必要だったと主張している。
政権を擁護するジョン・ザウアー(John Sauer)法務次官(Solicitor General)は,トランプ大統領の関税権限(tariff powers)が違法と判断されれば,米国は 「容赦ない貿易報復(ruthless trade retaliation)」にさらされ,「経済と国家安全保障に破滅的な結果(ruinous economic and national security consequences)」をもたらすだろうと警告した。
Implications of the case / 訴訟の影響
判事たちの質問は,政権に有利な判決が将来にどのような影響を与えるかについて,彼らが苦慮している(wrestling with)ことを示唆していた。
ジョン・ロバーツ(John Roberts)最高裁判所長官は,「この正当化根拠(justification)は,いかなる国からのいかなる製品に対しても,いかなる量でも,いかなる期間でも関税を課す権限を行使するために利用されている。」 と述べた。
アメリカ合衆国建国の法文書(legal document)である憲法の下では,課税権は大統領ではなく議会にあり,裁判所は伝統的にその権限を移譲できる範囲を制限してきた。
もし最高裁がこの事件でトランプに有利な判決を下した場合,同じく保守派のニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)判事は,「議会が外国貿易を規制する責任をすべて放棄すること(abdicating)を,何が禁じるのだろうか」と疑問を呈した。
ゴーサッチ判事は,ザウアーの主張を受け入れる理由を見つけるのに「苦労している(struggling)」と付け加えた。
「気候変動という,海外からの異例かつ異常な脅威に対処するため,大統領はガソリン車と自動車部品に50%の関税を課すことができるだろうか?」と彼は尋ねた。
Tariffs v taxes / 関税 vs 税金
・最高裁がトランプ大統領の「相互」関税を違法と判断した場合,何が起こるか?
・関税をめぐる混乱の中,インドと米国が10年間の防衛協定に署名
・トランプ,習近平との 「素晴らしい(amazing)」会談を称賛するも,正式な貿易協定は未締結
異議を申し立てた州や民間団体の弁護士は,この法律には 「関税(tariffs)」という言葉は使われておらず,議会は大統領に既存の貿易協定や関税規則を「無制限に破棄する」権限を与える意図はなかったと主張している。
民間企業側の弁護人であるニール・カティアル(Neil Katyal)は,この法律は大統領に禁輸措置(embargo)や割当制(quota)によって貿易を遮断する権限を与えているものの,増収目的の関税は行き過ぎ(step too far)だと述べた。
最高裁は,還付(refunds)や大統領の緊急事態宣言(emergency declarations)の正当性に関する問題については,比較的短い時間しか議論しなかった。
代わりに彼らはIEEPAの文言とその歴史に焦点を当てた。歴代大統領は制裁措置にIEEPAを頻繁に利用してきたが,関税賦課にIEEPAを適用したのはトランプが初めてである。
ザウアー法務次官は,関税は税金ではなく,法律に基づいて大統領に付与された他の権限の自然な延長であると理解するよう判事らに促した。
「このことは強調して し過ぎることはない ― これは規制関税(regulatory tariff)であり,税金ではない。」とザウアーは述べた。
また別の論点では,大統領が関税による歳入増を頻繁に自慢しているにもかかわらず,ザウアーは歳入増の権限は 「付随的なものに過ぎない(only incidental)。」と主張した。
関税と税金の区別は,多くの判事にとって障壁となっているようだ。
「関税は税金ではないと言いたいようだが,まさに税金なのだ。」とソニア・ソトマイヨール(Sonia Sotomayor)判事は述べた。
他の判事は,特に国家安全保障と外交政策の関係において,制限を設けることへの疑問を表明した。
ブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)判事は,大統領に貿易阻止の権限を与えながら,1%の関税を課さないというのは「常識」とは思えないと述べた。
Reaction from a full house / 満員の聴衆からの反応
ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)のアナリストによると,この訴訟は既に支払われた推定900億ドル相当の輸入税に影響を与える可能性がある。これは,米国が今年9月までに徴収した関税収入の約半分に相当する。トランプ政権の関係者は,最高裁の判決が6月までかかる場合,この金額は1兆ドルに膨れ上がる可能性があると警告している。
公聴会は満員の傍聴者を集め,判事が公式に割り当てた弁論時間を大幅に上回る3時間近く続いた。
最高裁の多数派がトランプに有利な判決を下した場合,既に政権に不利な判決を下した3つの下級裁判所の判決が覆されることになる。
サラ・ウェルズ・バッグズ(Sarah Wells Bags)のCEO兼創業者であるサラ・ウェルズ(Sarah Wells)は,他の中小企業経営者たちと共に裁判所の外の階段に座り,弁論を聞いていた。
彼女の会社は、海外で製造する搾乳器などの製品用のバッグをデザインしているが,今年初めに予期せぬ関税で約2万ドルを支払い,その後,サプライ・チェーンの切り替えを試みるため,輸入を停止した。彼女は在庫を売り切り,製品開発を中止し,一部の従業員を解雇した。
しかし,彼女は耳にした話に勇気づけられたと語った。
「大統領が IEEPAの下で行ったと私が考える,行き過ぎ(overreach)を,彼らは本当に理解していたと思う。」と彼女は言った。「彼らは,これを抑制(reined in)しなければならないという認識を持っていると感じた。」
(転載了)
*******************
さて プランBの出番はあるでしょうか?
| 固定リンク | 0
「ニュース」カテゴリの記事
- ウィンブルドンの “All-White Dress Code”(2026.07.20)
- 信頼性において 習/中国が トランプ/米国を抜いた(?)(2026.07.19)


コメント