イーロン・マスク,ついに 国際的極右にー
‘The Guardian’,Nov.8,2025付け
“Elon Musk makes himself far-right fixture after White House departure”
「イーロン・マスク,ホワイト・ハウス退任後,極右の顔に」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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The Tesla CEO once hinted he was done with politics – but he’s been leaning further into the international far right
テスラCEOはかつて政治活動との関係を断つことを示唆していたが,国際的な極右活動への傾倒をさらに強めている
極右活動家のトミー・ロビンソンは今週,テロ容疑で無罪判決を受けて ロンドンの法廷から出てきた際,弁護費用を負担してくれた(bankrolled)という人物に感謝の意を表した。
「イーロン・マスク,永遠に感謝します。もし あなたが介入して私の法廷闘争に資金を提供してくれなかったら,私はおそらく刑務所に入っていただろう。」 とロビンソンは言った。「ありがとう,イーロン。」
マスクがホワイト・ハウスを去った直後,テスラのCEOは政治活動はもう うんざりだ(done with)と繰り返し示唆していた。事業への回帰を促していた投資家たちは,この発言に歓喜した。テスラの株価は上昇した。しかし,その後の数ヶ月は,マスクが政治的関心(preoccupations)を捨て去ることができなかったことを証明した。彼は 正反対の行動を取り,選挙陰謀論(election conspiracies)や極端な反移民政策(anti-immigration views)に傾倒していった(veering)。
トランプ政権を離れて以来,マスクは自身のソーシャル・メディア・プラットフォームをニューヨーク市長選(mayoral race)への影響力行使の場(pulpit)として活用したり(leveraging),AIで生成された右翼的なウィキペディアの模倣サイト(knockoff)を作成したりと,政治的な活動を展開してきた。インタビューでは,非営利団体による「ホームレスの産業複合体(homeless industrial complex)」がカリフォルニアを破滅させていると述べ,「白人のプライドを持つことは許されるべきだ」と訴えた。Xチャンネルでは,イギリスが内戦に陥り、西洋文明が崩壊すると断言した(proclaimed)。
ロビンソンが感謝の意を表した同じ日に,マスクは米国で「不法移民」が不正投票を行っていると主張する投稿をし,ビデオゲームが「目覚めた(woke)」状態になっていることへの不満をリツイートし,既存メディアを左翼の(leftist)プロパガンダと呼んだ。
世界一の富豪の政治的執着(political fixation)は,彼の事業に悪影響を及ぼしている(taken a toll)。先月発表されたイェール大学の研究によると,マスクの分断を煽る発言(divisive rhetoric)と極右政治への関与により,2022年のツイッター買収から今年4月までの間にテスラの販売台数が約100万台減少した(cost)ことが明らかになった。消費者調査によると,マスクの「政府効率化局(department of government efficiency)」が政府機関を解体し,専門家の予測では世界で約1,400万人の死者が出るとされる対外援助削減も含まれたため,テスラのブランド・ロイヤルティは2025年にかけて急落した(plummeted)。
複数の調査によると,マスクの支持率も今年,過去最低を記録している。8月のギャラップ社の世論調査によると,主要政治ニュースメーカー14人の中で,マスクの支持率は最低を記録し,国際刑事裁判所で戦争犯罪の罪に問われているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相より5ポイント低い。6月に実施された別のクイニピアック大学の世論調査(Quinnipiac poll)によると,米国では女性10人中わずか2人しかマスクに好意的な見方をしていない。
しかし,マスクの政治に対する社会的・経済的な反発にもかかわらず,極右思想への傾倒は収まらず(quelled),彼は持ち前の頑固さ(stubborn fashion)で,自身の所属をより公然と誇示する(flaunting)ようになり,人種差別主義者や過激派(extremist)というレッテルを貼られることはもはや自分にとって無意味だと示唆している。テスラの株主も引き続きマスク氏を支持している(endorse)。木曜日,株主は同社史上最大となる予定の1兆ドルの報酬パッケージに大差で賛成票を投じた。
大きな経済的影響から隔離され,自ら作り上げたオンライン・バブルの中で生きているマスクは,トランプ政権内での影響力が低下した後も,自らを国際極右の常連としての地位に据えている。
Backing the international far-right / 国際的な極右勢力を支援
マスクは長年にわたり,世界有数の極右指導者たちと友好的な関係を維持しており,今年は反移民政党「ドイツのための選択肢(Alternative for Germany party)」の選挙集会に出席して新年を迎えた。トランプ大統領就任式後に壇上でファシスト的な敬礼をしたと非難された数日後のこの演説で,マスクは聴衆に対し「ドイツは過去の罪にこだわりすぎており,我々はそこから脱却する必要がある。」と語り,ユダヤ人指導者たちから批判を浴びた。
ここ数ヶ月,マスクの親移民政治運動(pro-nativist political movements)への関与は既存の政党にとどまらず,長年反イスラム運動家として活動し,シリア難民の10代の少女を中傷した(libeling)として法廷侮辱罪で投獄されているX. ロビンソンを通じて,極右活動家やインフルエンサーと直接交流するようになり,特に注目を集めている。
「今こそ 英国民は,トミー・ロビンソンのような屈強な男たちと手を組み,生き残るために戦うべき時だ,さもなければ,彼らは必ず滅びるだろう。」と,マスクはXに,刺殺される男性の動画への反応として投稿した。彼は 「不法移民の流れを変えなければ,イングランド全土で同じことが起こるだろう。」と主張した。
9月,マスクはロンドンで行われたロビンソンの集会の一つにライブストリーミングで参加し,英国政府の解散を訴え,移民が「英国の破壊(the destruction of Britain)」を引き起こしていると主張した。
否かに関わらず,暴力はあなた方に降りかかる。反撃するか,死ぬかだ。」とマスクは群衆に訴えた。その後,ダウニング街(Downing Street=首相官邸)は 暴力と脅迫を扇動する恐れがあるとマスクの発言を非難した。
2022年のマスクによるTwitter買収(acquisition)は,英国の極右にとって総じて追い風(boon)となっている。以前の所有者は,ヘイト・スピーチに関するポリシーに違反したとして,極右運動の指導者の多くをアカウント停止処分にしていた。マスクは,英国で最も著名なネオナチ団体の活動家を復帰させ(reinstated),イスラム教徒難民の大量送還を呼びかけた投稿後に削除されていたロビンソンのアカウントを復活させた。
マスクはまた,英国の非主流派政治運動(the fringe UK political movement)「リストア・ブリテン(Restore Britain)」の最も著名な支持者にもなっており,テキサスを拠点とする億万長者である同氏は,同運動のリーダーであるルパート・ロウについて肯定的なメッセージを投稿している。リストア・ブリテンは今年初め,113ページに及ぶ政策文書を発表し,すべての不法移民を大量送還する(mass deportation)計画を概説した。この計画では,出身国に関わらず,軍用機を使って数千人をルワンダへの送還便に乗せることを提案している。
マスクの英国政治への介入(meddling)の拡大は,労働党政権だけでなく,反ヘイト団体やその他の既成勢力の政治家からも批判を浴びている。
「イーロン・マスクは自らのプラットフォームを意図的に(deliberately)利用して,我が国の政治を毒し,国を分断しようとしている。」と,自由民主党(Liberal Democrats)のエド・デイビー党首は木曜日に投稿した。「政府は,彼が我が国にもたらす脅威に目を覚ますべき時だ。」
Creating a right wing bubble online / ネット上で右翼バブルを形成
マスクは国際政治に介入する一方で,自身の保守的な世界観を推し進めるオンライン・プラットフォームやツールの構築にも精力的に取り組んでいる。AIの出力が「政治的に正しく」,「意識が高すぎる」という懸念は,長年マスク氏を悩ませており,彼はしばしば未来的な思考実験(futuristic thought experiments)を用いて(indulged)自身の懸念を表明してきた。
「AIが 多様性(diverse)が必要だと宣言すれば,ストレートの白人男性は存在し得なくなり,あなたも私もAIに処刑される(executed)ことになる」と,マスクは先週ジョー・ローガンのポッドキャストで述べた。これは,AIがペーパークリップの製造のみを目的とするとすれば,人類を滅ぼして(decimate)ペーパークリップを作ろうとするだろうという,有名な「ペーパークリップ問題(paper clip problem)」を少しばかり訝しませたものだ。
マスクは,AIのアライメント問題に対する独自の解決策として,政府を去って以来,自身の注力分野となっている人工知能企業xAIを活用し,自身の理念により合致する製品を開発してきた。理論上は,人気サイトや製品の右翼的なコピーを,オリジナルと同じように機能する形で作成している。しかし実際には,それらは機能不全に陥っている(malfunctioned)。マスクがより保守的なAIモデルを作ろうとした試みは,ここ数ヶ月,xAIのGrokチャットボットが 「白人虐殺(white genocide)」に関する陰謀論(conspiracies)を吐き出し,「メカヒトラー(MechaHitler)」を名乗るといった事件を引き起こしている。
マスクは,自身と同調するオンライン上の仲間たちと対話するだけでなく,ソーシャル・メディアのプラットフォームを利用して,自身が反対する非営利団体や政治家を攻撃してきた。
先月,マスクは米国で最も著名なユダヤ人擁護団体であるADL(Anti-Defamation League:名誉毀損防止同盟)に対するキャンペーンの中心人物となった。ADLは,殺害された保守活動家チャーリー・カークの団体 「ターニング・ポイントUSA」と過激派とのつながりを記した記事を掲載したことで,右派からの激しい反発に直面した。マスクはADLが 「キリスト教徒を憎悪」し,殺人を奨励していると主張し,ADLを攻撃する右派インフルエンサーの投稿をシェアした。このキャンペーンの結果,ADLは過激主義に関する用語集全体を削除した。ADLは,過激派組織や運動に関する最も包括的な情報源と謳っていたこの用語集を,過激主義に関する用語集として全面的に削除した。
ニューヨーク市長選挙を前に,マスクは再び自身のプラットフォームを利用し,民主党候補のゾーラン・マムダニを攻撃する投稿のリーチを高めるために有料プロモーション機能を利用し,より多くのユーザーのフィードに彼のツイートを無理やり表示させた。選挙当日には,選挙制度を誤解し,投票に関する陰謀を示唆する一連のツイートをリポストした。
マスクが追求する代替情報エコシステム(alternative information ecosystem)の延長として,xAIは先月,“Grokipedia” と呼ばれるWikipediaの模倣サイトを立ち上げた。マスクはこれを優れたものであり,偏見がない(free of bias)と宣伝している。研究者らは,このサイトには著名人や出来事に関する大量の虚偽情報が含まれており,一部の項目はWikipediaからほぼ逐語的にコピーされており,奴隷制,移民,トランスジェンダーの権利に関する右翼的な言説を強調していることを発見した。
Wikipediaで 「ネオ・ファシスト政党」と評されている 「ブリテン・ファースト」に関する記事では,同組織を「愛国政党(patriotic political party)」と呼んでいた。
(転載了)
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