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2025年11月 2日 (日)

英国の悩み,“Great” とは?

総合誌 ‘GQ’の英国電子版,Sept.17,2025付け
Britain is crumbling. It’s time to reconsider the word ‘Great’
「英国は崩壊しつつある。 ‘Great’ という言葉の意味を再考すべき時」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。

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With patriotism in the news, and our history now a battleground, politicians on both the left and right argue over Britain's greatness. The reality, says acclaimed filmmaker Adam Curtis, is that the rhetoric is a facade, hiding a bleaker truth
愛国心がニュースで取り上げられ,歴史が戦場となる今,左派と右派の政治家たちが英国の‘greatness’さをめぐって論争を繰り広げている。著名な映画監督アダム・カーティスは,現実はこうしたレトリックは見せかけであり、より暗い真実を隠しているのだと言う。

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greatという言葉は,‘Britain’ に関して使われると,非常に重い意味を持つ(loaded)。良識ある(right-thinking)人々があまり語りたがらないような,多くの連想を伴う。権力(power),服従(subjugation),栄光(glory),支配(control)。もともとは単なる描写的な意味合いだった:ある説によると,ギリシャ・ローマ時代の地理学者(control)プトレマイオス(Ptolemy)は,この大きな島を「メガ・ブリテン(Mega-Britain」,現在のアイルランドを 「リトル・ブリテン(Little Britain)」と呼んだと言われている。

中世では(in medieval times),‘Little Britain’ は現在のブルターニュ地方(Brittany)を指していた。しかし,1707年,イングランド,スコットランド,ウェールズはグレート・ブリテン王国(the Kingdom of Great Britain)となった(アイルランドは1801年に併合されたが,“Great” とは認められなかった)。そして,そこは巨大な帝国(gigantic empire)の中心地となった。私たちに‘great’ を実感させた。しかし,今ではそのすべてが終わり,多くの人々が,それが良かったのか悪かったのかを議論することに多くの時間を費やしている。おそらく,未来について考えるのを避けるためだろう。

しかし,我々が得意とする(great at)のは、依然として‘Great’ であろうと努めることである。

ここ20年,イギリス(Britain)の主要都市では奇妙な(weird)動きが広がっている。それは 「ファサード主義(façadism)」と呼ばれるものである。不動産開発業者が古い建物を取り壊そうとするたびに,元のファサードを残すことを強制される。それ以外のものはすべてその裏に取り壊され(scooped out),近代的な金融・テクノロジー・メディア複合施設として再建され,現代の権力システム(system of power)の一部となる。

一方で,古くて壮大な外観は,この近代的な箱に付け加えられている(tacked onto)。これは遺産の保存と称されているが,全く保存(preservation)ではない。建物のファサードだけを保存することは,その建物の現実を保存することにはならない。むしろ,建物を舞台装置(stage set),つまり現代世界の暗い(bleak)現実を覆い隠し(disguises),イギリスがまだ偉大だった時代の偽りの姿(false front)を演出する,可愛らしいおもちゃに変えてしまうのである。

It feels like their real aim is to plaster Britain with a cultural façade of Greatness.
彼らの真の狙いは,英国に 「偉大さ(Greatness)」という文化的仮面をまとわせることにあるように思える。

ファサード主義(Façadism)は建物だけに当てはまるのではなく,政治をも支配する(taking over)力となっている。崩壊した(shattered)保守党(Tory partythe British Conservative Party)の残骸から現れた新右翼(the new right)の姿を見れば,それが見て取れる。彼らを率いるのはロバート・ジェンリック(Robert Jenrick)で,彼は「現在の不況(our present malaise)」 の 「破滅を叱責し(rebuke the doom)」,英国(UK)を 「さらに偉大な国(greater still)」にすると公約している。そして,どういうわけか,その鍵は移民管理にあるようだ。

新右翼は,英国の偉大さ(Britain’s greatness)を取り戻す鍵の一つは,強い文化的アイデンティティを再構築することにあるという考えに突き動かされている。あまり議論されていないのは,彼らが人々の権力機構(the levers of power)との繋がり,例えば,ますます制御不能になっている金融システムとの繋がりを回復させようとしているかどうかだ。

彼らの真の目的は,英国(Britain)を偉大さ(Greatness)という文化的仮面(cultural façade)で塗りたくることであり,その背後にあるものを一切変えようとはしていないように思える。彼らは誰にとってもより良い「偉大な(great)」社会を夢見ていない。むしろ,彼らを突き動かしているのは怒りと恐怖だ。建物の正面の背後に安住している真の権力は,揺るぎないままである(remains unchallenged)。

彼らの反対派もまた,偉大になる(being Great)という夢に囚われている。キア・スターマー(Keir Starmer)もまた,債務搾取(debt extraction)の金融・テクノロジーシステムに挑戦し,解体することができない,あるいは興味がないように見える。その代わりに,彼は国際舞台で大きな役割を演じることに専念している。おそらく,自らの国内での無力さを紛らわす(distraction)ためだろう。

彼は12隻の新型原子力攻撃型潜水艦を建造し,新型核弾頭の製造に150億ポンドを費やすと約束している。しかし,これらは本当に英国(Britain)を再び大国(great power)にするのだろうか?それとも,失われた世界という奇妙な夢が生み出した見せかけ(façade)に過ぎないのだろうか?

しかし,偉大な夢(dreams of greatness)は,リベラル左派の一部が抱くようになった,英国の未来に対する終末的な悪夢(apocalyptic nightmares)とも相反する。過去20年間,この国の気候変動運動には非常に奇妙なことが起こっているようだ。他の国々と同様に,この運動は,あまりにも危険な状態にある社会と経済の構造そのものを変え,より良い新しい社会を築くことを目指す,急進的な政治運動として始まった。

ところが,英国では,その一部が,大規模な終末(apocalypse)というビジョンを推進する派閥(factions)に乗っ取られてしまったようだ。未来はあまりにも悲観的に描かれているため,物事を変えようとするあらゆる試みは絶望的に感じられる。代替となる進歩的な可能性は徐々に排除されてきている(squeezed out)。

まさにこれこそが,闇の壮大さだ(grandeur of darkness)。新右翼のノスタルジックな夢を映し出す ‘black mirror’ のような壮大なビジョンだ。ある階級全体が、自分たちこそが世界の終わりを目撃する特権を得るのだと信じ込むようになるのは,非常に奇妙で,おそらくは傲慢な行為(arrogant)と言えるだろう。

この状況を的確に表す言葉を聞いたことがある:「ブルジョア終末論(bourgeois eschatology)」だ。しかし,彼らの集合的無意識(collective unconscious)の奥底にある社会史的な(socio-historical)レベルでは,彼らは自分が偉大だ(Great)​​と感じているのではないかと思う。先頭に立てないなら,最後になることに栄光を見出す。暗い見せかけだ(dark façade)。

謙虚に(humbly)団結し,人々に新しい社会,新しい世界を築くよう促すことで,深刻な地球規模の問題に取り組むこととは正反対である。

(転載了)
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United Kingdomof Great Britain and Northern Ireland’ と ‘Great Britain’ の 違いは下図のとおりです。

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