BBCの会長と ニュース部門CEOが辞任,偏向報道の批判でー
‘The Guardian’,Nov.9,2025付け
“Tim Davie resigns as BBC director general after accusations of ‘serious and systemic’ bias in coverage”
「ティム・デイビーがBBCの会長を辞任。『深刻かつ組織的な』 偏向報道の疑いが浮上」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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デイビーは,辞任は「私自身の決断」だと述べ,ニュース部門責任者も辞任。関係者は「放送局の敵対者によるクーデターのような感じだ」と述べている。
BBC bias row: how a week of hostile headlines from rightwing media led to resignations
BBCの偏向報道をめぐる論争(bias row):右翼メディアによる1週間にわたる敵対的な見出し(hostile headlines)により いかにして辞任に至ったのか
BBCのティム・デイビー(Tim Davie)会長とBBCニュースの責任者が辞任した。元顧問が,ドナルド・トランプ,ガザ地区,トランス・ジェンダーの権利といった問題に関する報道において 「深刻かつ組織的な(serious and systemic)」偏向があったと非難したことによる。
社内に衝撃を与えた発表の中で,デイビーは,辞任は「完全に私の決断」だと述べた。これは,BBCがトランプの演説の編集方法について謝罪する準備を進めている中での発表となった。
BBCニュースの責任者であるデボラ・ターネス(Deborah Turness)も辞任した。同部門の関係筋は,ターネスの辞任に落胆の声が上がっていると伝えた。「まるでクーデター(coup)だ。」とある関係者は語った。「これはBBCの政敵によるキャンペーンの結果だ。」
BBCにとって,将来と資金調達をめぐって政府との重要な協議に臨む中で,これは重大な局面である。英国メディアにおける2つの重要なポストの人事が今,動き出している。
下院文化(The Commons culture)・メディア・スポーツ特別委員会は,BBCに対し,編集方針・基準委員会の元独立外部顧問(independent external adviser)マイケル・プレスコットの主張に対する回答期限を月曜日に設定していた。プレスコットは今夏,その職を退任している。
プレスコットは,2021年1月6日に行われたトランプ大統領の演説の映像をつなぎ合わせた「パノラマ」の編集を批判した。編集内容は,トランプが聴衆に向かって 「我々は議事堂まで歩いて行く。私は君たちと共にいる,そして我々は戦う。我々は地獄のように戦う。」と述べたかのようだった。
これらの発言は,ほぼ1時間の演説から 間隔を置いて引用された。この事件を受け,トランプの報道官キャロライン・リービットはBBCを批判し,今週末,同局を 「100%フェイク・ニュース」であり 「プロパガンダ機関」と評した。
昨夜,リーヴィットは 辞任を祝福するかのように振る舞い,XでBBCによる米国大統領演説の扱いに対する自身の不満に触れた。
トランプは自身のプラットフォーム ‘Truth Social’ に,「非常に不誠実な人々」が 「大統領選挙の天秤に乗ろうとした」と投稿し,「何よりも,彼らは外国から来た。しかも,多くの人が我々の一番の同盟国と見なしている国だ。民主主義にとってなんと恐ろしいことか!」と付け加えた。
デイビーは職員へのメモの中で,BBC取締役会(board)とサミール・シャー(Samir Shah)議長の「揺るぎない全会一致の支持(unswerving and unanimous support)」を一貫して保ってきたと述べた。しかし,今回の非難が今回の決断に影響を与えたとも述べた。
「他の公的機関と同様に,BBCも完璧ではない。我々は常にオープンで透明性を保ち,説明責任を果たしていなければならない。」と彼は述べた。
「BBCニュースをめぐる現在の議論が唯一の理由ではないが,当然のことながら(understandably),私の決断に影響を与えた。BBCは全体として優れたサービスを提供しているが,いくつかの誤りも犯しており,会長として最終的な責任を負わなければならない。」
デイビーの辞任は,BBCが元司会者ゲイリー・リネカー(Gary Lineker)の発言,ラップ・パンク・デュオ,ボブ・ヴィラン(Bob Vylan)のグラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury festival)でのパフォーマンスのライブ・ストリーミング,そしてガザに関するドキュメンタリーへの批判などで批判を浴びた激動の一年の後に行われた。
デイビーとターネスの辞任は,プレスコットがBBCの取締役会に宛てた書簡で行った批判を受けて,BBCをさらなる攻撃から守るための試みであるように思われる。
シャーは,デイビーの辞任はBBCにとって「悲しい日」だと述べた。「彼は私と取締役会から全面的な支援を受けてきた。」とシャーは述べた。「しかし,個人としても職業的にも,彼が今日この決断を下すに至った継続的なプレッシャーを理解している。取締役会全体が彼の決断とその理由を尊重する。」
デイリー・テレグラフ紙に提出されたプレスコットの書簡は,反ユダヤ主義的な見解を表明した寄稿者(contributor)をBBCアラビア語で起用したことを非難している。書簡には,以前オンラインで 「ヒトラーがしたように」 ユダヤ人は火あぶりにされるべきだと発言した寄稿者の意見も含まれていた。BBCは以前,この寄稿者をあのような形で起用すべきではなかったと述べている。
別の寄稿者は,オンラインでユダヤ人を 「悪魔」 と表現していた。BBCは5月,この人物が今後 寄稿者になることを禁じたと発表した。
リサ・ナンディ(contributor)文化大臣は,シャーとデイビーが 「この件に求められる真摯な対応」 をしていると確信していると述べた。
ターネスはスタッフへの辞任通知の中で,「トランプ大統領に関する『パノラマ』 をめぐる論争は,私が愛するBBCに損害を与えるまでに至っている。
「BBCニュースおよび時事問題のCEOとして,責任(buck)は私にある。公職に就くリーダーは,完全な説明責任を負わなければならない。だからこそ,私は辞任する。」と述べた。
しかし,彼女は辞任声明の中で,プレスコットのBBC全体に偏向があるの主張(allegations)に反論した。「確かに間違いはあったが,BBCニュースが組織的に(institutionally)偏向しているという最近の主張は誤りであることを,私は明確にしておきたい。」と彼女は述べた。
自由民主党のエド・デイビー(Ed Davey)党首は,BBCは「心機一転する(to turn a new leaf)」必要があると述べ,保守党のケミ・バデノック(Kemi Badenoch)党首は 「トップからボトムまで」の改革を求め,改革派UK(Reform UK)のナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)党首は,これがBBCにとって「最後のチャンス」だと述べた。
多くのBBC関係者は,プレスコットの書簡はいくつかの真の誤りを指摘していると考えているが,政敵によって利用されているのではないかとの懸念も持っている。
BBC関係者の中には,ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)政権時代にまで遡る,BBCを政治的に方向転換させようとする動きがあると指摘する者もいる。ガーディアン紙は,プレスコットの外部顧問就任をBBC取締役のロビー・ギブ(Robbie Gibb)が推進したと報じている。ギブはテリーザ・メイ(Theresa May)政権下で広報部長(communications chief)を務め,右派系放送局GB Newsの設立にも尽力した人物だ。
ギブが初めてBBC取締役に就任したのはジョンソン政権時代だった。ギブとプレスコットは以前,友人関係にあると報じられていた。ギブはプレスコットを任命した4人からなる面接委員会のメンバーだった。
ジョンソンはガーディアン紙に対し,BBCを弱体化(undermine)させようとする試みは「全くのナンセンス(complete and utter bollocks)」だと述べた。プレスコットは書簡の中で,自身の批判には 「いかなる政治的意図も含まれていない(do not come with any political agenda)。」と述べている。
(転載了)
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世界は右傾化?
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