グリーンランド関税への欧州の対応,バズーカの発射はあるか?
‘BBC’,Jan.19,2026付け
“How could Europe respond to Trump's Greenland tariffs?”
「トランプのグリーンランド関税にヨーロッパはどう対応するか?」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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ドナルド・トランプによる土曜日(1月17日)の,グリーンランド購入計画を支持しなければ欧州8ヶ国に関税を課すとの脅迫(threat)は,衝撃的だった。
米国大統領は,2月1日から米国への輸入品に10%の関税を導入し,合意に至らない場合は夏から25%に引き上げると述べた。これらの関税が既存の関税に追加されるかどうかは不明である。
英国,デンマーク,ノルウェー,スウェーデン,オランダ,フィンランドを含む8ヶ国グループのうち,フランスとドイツは,トランプによる関税導入の強行に対して,欧州連合(EU)は対応の準備を整えておくべきだと述べている。
しかし,欧州は米国に対応すべきどのような選択肢を持っているのだろうか?
Could Europe hit back with tariffs?
欧州は関税で反撃できるのか?
わずか6ヶ月前,米国とEUは大西洋横断貿易(transatlantic trade)の安定化と企業と消費者への確実性提供を目的とした協定に合意した。
欧州委員会(European Commission)のフォン・デア・ライエン委員長(President Ursula von der Leyen)は,スコットランドにあるゴルフ・コースで トランプ大統領の,EUが米国に輸出するすべての製品に15%の関税を課す通告を受けて帰った - これは,米国が脅迫していた30% を大幅に下回るものだった。
その過程で,ブリュッセルは米国との合意に至らなかった場合に発動する関税パッケージも準備していた。
これには,家畜(livestock)から航空機部品,ウイスキーまで,米国がEUに輸出するあらゆる製品に課される関税が含まれており,総額930億ユーロ(800億ポンド,1080億ドル)相当に上る。
高レベル合意により,これらの関税は詳細が詰められるまで一時停止され,欧州議会は来週,EUと米国の貿易協定を批准する(ratify)予定だった。
しかし,トランプの脅しから数時間以内に,影響力のあるドイツの欧州議会議員(MEP)マンフレート・ウェーバー氏は「現段階では承認は不可能だ」と述べた。
EUが昨年の合意に署名するか,関税の一時停止を延長しない限り,数十億ユーロ相当の米国製品への関税は2月7日に発動される。
これは,欧州に輸出する企業から米国内でトランプに対する政治的反発を招くリスクがある。
EU加盟国の一部にのみ関税を課すというトランプの脅しについては,欧州委員会は,技術的には可能だが,米国に輸出されるまでにEUの国境を通過する回数を考えると,実施は非常に困難だと述べた。
欧州委員会のオロフ・ギル報道官は,EUは 「EUの経済的利益を守るために必要なあらゆる措置」を講じると述べたが,最終的には関税は大西洋両岸の企業と消費者に損害を与えるだけだという。
What is the EU's 'trade bazooka' ?
EUの「貿易バズーカ」とは何か?
いわゆる「貿易バズーカ」,正式名称は反強制措置(ACI:the Anti-Coercion Instrument)は,EUが非EU加盟国からの経済的脅迫(economic blackmail)に対抗できる法律である。
非加盟国がEUまたはその加盟国に自らの意志を押し付けようとした場合,非常に厳しい結果を招くと警告している。
具体的には,EUまたはその加盟国の 「正当かつ主権に基づく選択(legitimate, sovereign choices)」に干渉しているとみなされる国による貿易・投資措置を対象としている。
この対抗措置には,関税,輸出入制限,サービス貿易の制限,銀行・資本市場へのアクセス制限など,幅広い貿易措置が含まれる。
最終的に,EUは既存の国際条約を無視しながら,単一市場の大部分へのアクセスを遮断することが可能になる。
しかし,これはまさに核兵器の選択肢(nuclear option)である。
「バズーカ」の真の目的は,他国を交渉のテーブルに着かせることである。実際に使用すればEU自体に深刻な経済的損害を与える可能性があるため,あくまでも最終手段(last resort)とみなされている。
また,迅速な対応策でもない。
現行の規則では,欧州委員会は,あらゆる強制行為の疑い(alleged coercion)について最大4ヶ月間調査を行うことができる。さらに6ヶ月間は,当該国との交渉を行い,報復措置(retaliation)の是非を判断することができる。
その後,EU加盟国は最大10週間以内に何らかの措置を承認する必要がある。
したがって,たとえ委員会が今引き金を引いたとしても,実際にバズーカが発射されるまでには1年かかる可能性がある。
What about the UK?
英国はどうだろうか?
スターマー首相(Prime Minister Sir Keir Starmer)は,トランプとの貿易戦争を回避したい考えを明確にし,月曜日の演説で米国に対する即時の報復関税(retaliatory tariffs)発動をほぼ否定した(ruling out)。
トランプが「同盟国に対して」貿易税の脅しを「このように」使うべきではないと述べる一方で,「関税戦争は誰の利益にもならない」とも述べた。
さらに,「我々はまだその段階に達していない。したがって,私はそのような段階に至らないようにすることに注力している。」と述べた。
英国,EU,米国がグリーンランド問題で合意(accord)に至らない場合,政府が活用できる手段(levers)は他にもある。
例えば,英国はデジタル・サービス税を引き上げる可能性がある。これは,‘Amazon’や‘Instagram’,WhatsApp,Facebookを所有する‘Meta’といった,米国有数のテクノロジー企業に影響を与える可能性がある。
税率は現在2%で,全世界で5億ポンド,英国で2,500万ポンドの売上高を持つ巨大テクノロジー企業に課せられている。
しかし現段階では,トランプが課した関税の合法性を含め,多くの点が不明確である。
米国最高裁判所は,大統領が国際緊急経済権限法(IEPA:the International Emergency Economic Powers Act)を用いて課税することで権限を逸脱したかどうかについて判決を下す(set to rule)予定である。
これには,トランプが昨年導入した,いわゆる「報復的(retaliatory)」関税も含まれる。この関税では,米国企業が英国製品を輸入する際に,米国に到着した際に10%の税金を支払うことになる。
(転載了)
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