トランプの一般教書演説に 真実はあったか?
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トランプ米大統領は2月24日,議会で一般教書演説を行った。昨年1月に大統領に返り咲いてからの経済実績を誇示し,「米国の黄金時代」を迎えていると主張。内外に課題を抱える中,自身の政策が順調に進んでいるという演出を展開した。
トランプは「わが国はかつてないほど大きく,より良く豊かで,より強くなって復活した」などと述べ,共和党議員が 「USA,USA」と連呼するシーンもあった。一方,民主党議員らの多くは演説をボイコットし,空席も目立った。
演説は1時間47分余り続き,米東部時間午後11時近くに終了。昨年に自身が記録した議会演説の最長記録を更新した。
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― と報道されていますが,早速,彼の演説の ‘Fact Check’ が行われています。
‘CNN’,Feb.24,2025付け
“Fact check: Trump makes false claims in State of the Union address”
「ファクト・チェック: トランプ,一般教書演説で虚偽の主張」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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President Donald Trump made false claims in his State of the Union address on Tuesday.
ドナルド・トランプ大統領は火曜日の一般教書演説で虚偽の主張をおこなった。
以下に トランプの発言の一部についての ファクト・チェックを示す。
Fact check: Trump falsely claims US has secured ‘$18 trillion’ in investments
ファクト・チェック:トランプ,米国は 「18兆ドル」 の投資を確保したと虚偽主張
トランプは,大統領就任以来,米国への投資18兆ドル確保したといういつもの虚偽の主張を繰り返し,「12ヶ月間で世界中から18兆ドル以上の投資コミットメントを確保した。」と述べた。
18兆ドルという数字は虚偽(fiction)である。トランプの演説が行われた夜の時点で,ホワイト・ハウスのウェブサイトは,トランプ政権における「主要投資発表(major investment announcements)」の数字を 「9.7兆ドル」としていたが,これは大幅な誇張(exaggeration)である;10月にCNNが詳細に報じたところによると,ホワイト・ハウスは 数兆ドルもの投資約束を曖昧なものにしていた。米国への投資ではなく 「二国間貿易(bilateral trade)」や 「経済交流(economic exchange)」に関する約束,そして約束のレベルにも達しない曖昧な発言(vague statements)だった。
Fact check: Trump’s misleading claims on gasoline prices
ファクト・チェック:ガソリン価格に関するトランプの誤解を招く主張
トランプは,ガソリン価格が 「現在,ほとんどの州で1ガロン $2.30を下回っており,一部の州では1ガロン$1.99に達している。」 と主張した。しかし,AAA(American Automobile Association)によると,火曜日の平均ガソリン価格が1ガロン $2.37を下回った州はなく,$2.50を下回ったのはわずか2州だった。また,1ガロン $2以下でガソリンを販売しているガソリン・スタンドもいくつかあるが,その数は少ない。ガスバディ(GasBuddy)社の石油分析責任者,パトリック・デ・ハーンは演説の中で,同社が追跡調査している約15万カ所のガソリン・スタンドのうち、1ガロン $2ドル以下(特別割引を除く)のスタンドは全国でわずか4ヶ所で,全体の約0.003%に過ぎないと述べた。
トランプは,今回の大統領就任以来,ガソリン価格が下落したと正当に主張できるだろう。 AAAによれば,ガソリン価格は2025年1月の就任式の日に1ガロン $3.12ドルだった全国平均が,火曜日には1ガロン $2.95ドルまで下がった。
さらにトランプは,「ほんの数週間前にアイオワ州を訪れた際には,ガソリンが1ガロンあたり $1.85という価格を目にした。」と主張した。トランプが何を見たのかは不明だが,1月27日の演説当日,全米自動車協会(AAA)が発表したデータによると,アイオワ州のレギュラーガソリン1ガロンあたりの平均価格は $2.57だった。また,ガスバディの石油分析責任者,パトリック・デ・ハーンは当時CNNに対し,同社が追跡調査している2,036ヶ所のガソリン・スタンドのうち,1ガロンあたり $1.97(特別割引を除く)でガソリンを販売しているスタンドはわずか4ヶ所で,全体の0.19%に過ぎないと語っている。
トランプは、この件について,彼が言及したアイオワ州での演説の出席者から事実確認を受けた。現場にいたCNN記者スティーブ・コントルノによると,トランプがアイオワ州のガソリン価格が1ガロン $1.95か$1.85ドルだと発言した際,群衆の誰かが 「いや,$2.63だ。」と叫んだという。コントルノは,トランプが演説した会場のすぐ外にあるガソリン・スタンドが1ガロン $2.69で販売されているのを目撃した。
Fact check: Trump falsely claims he inherited record inflation
ファクト・チェック:トランプ,記録的なインフレを引き継いだと虚偽主張
トランプは,昨年初めに議会で前回の演説を行った際,「記録的なインフレを引き継いだばかりだ。」と虚偽の主張をした。その後,ジョー・バイデン前大統領とその議会同盟が 「我が国史上最悪のインフレを引き起こした。」と付け加えた。
トランプは米国史上最悪のインフレを引き継いだわけではなく,バイデンも米国史上最悪のインフレを経験したことは無い。バイデンの最後の任期満了月である2024年12月の前年比インフレ率は2.9%,トランプが途中で政権を引き継いだ2025年1月の前年比インフレ率は3.0% だった。直近の2026年1月のインフレ率は2.4%である。 2022年6月には40年ぶりの高水準となる9.1% を記録したが、これは1920年に記録された史上最高の23.7%には遠く及ばない。しかし,バイデン大統領の在任期間の最後の2年半で,この割合は急激に低下した。
Fact check: Trump’s baseless claim about the economy
ファクト・チェック:トランプの経済に関する根拠のない主張
トランプは,バイデン政権から「停滞した経済(stagnant economy)」を引き継いだと主張し,現在は「かつてないほど活況を呈している(roaring)」と主張した。「停滞」や「活況」の明確な定義は存在しないものの,2025年1月の大統領復帰以来,トランプが大規模な経済ブームを主導してきた(presided)という主張を裏付ける(corroborate)事実はない。
2025年の米国経済成長率は2.2%で,これはバイデン政権のどの年よりも低い数字だった; 2024年には2.8%の成長だった。(2025年秋の政府閉鎖により,2025年後半には成長率が低下した可能性が高い。)一方,失業率は2025年1月の4.0%から2026年1月には4.3%に上昇した。
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)の前年比インフレ率は,2025年1月の3.0%から2026年1月には2.4%に低下した。トランプは確かに他にも肯定的なデータを挙げている。しかし,経済を衰退(deceased)から活況(scorching)へと転換させるという彼の主張は,全体的な数字によって裏付けられていない。
Fact check: Trump’s claim he passed largest tax cuts in American history
ファクト・チェック:トランプが 米国史上最大の減税を成立させたという主張
トランプは,昨夏に署名して成立させた包括的な国内政策には,米国史上最大の減税が含まれていると改めて主張した。しかし,実際にはそうではない。
いわゆる 「ビッグ・ビューティフル・ビル(大きくて美しい法案)」は,チップや残業代への課税撤廃,高齢者や子育て中の親への追加的な税制優遇措置,企業による特定の投資の早期控除など,税制に恒久的および一時的な変更を多数加えた。今月初めに発表された議会予算局の最新の分析によると,この減税額は10年間で4兆8000億ドル,つまり国内総生産(GDP)の1.3%に上る。
しかし,専門家によると,この法案は史上最大の減税ではないという。超党派の監視団体 「責任ある連邦予算委員会(Committee for a Responsible Federal Budget)」の政策ディレクター,クリス・タウナーによると,この減税法案は1918年以降,GDPに占める割合で7位にランクされている。最大の減税は,ロナルド・レーガン元大統領が1981年に実施した減税で,4年間で GDPの2.9%を占めた。(歳入の変動をGDPに占める割合で見ることは,減税の規模を評価する一般的な方法である。なぜなら,これは経済規模に対する相対的な変化を示すからである。例えば,インフレや人口の変動があっても,時系列での比較が可能である。)同様に,右派系シンクタンクである ‘Tax Foundation’ は,この減税法案がGDPに占める割合で1940年以降で6番目に大きな減税であると発表した。
Fact check: Trump falsely claims that Biden allowed ‘11,888 murderers’ to enter US as migrants
ファクト・チェック:トランプ,バイデン政権が 「11,888人の殺人者」を移民として米国に入国させたと虚偽の主張
バイデン政権の国境政策を批判する一方で,トランプはバイデン政権が11,888人の殺人者を移民として米国に入国させたといういつもの主張を繰り返し,「彼らは殺人者だった。11,888人の殺人者だ。彼らは我が国にやって来たのだ。」と述べた。
トランプは連邦政府のデータについて不正確な説明をしている。国土安全保障省と独立専門家は、トランプが 「11,888」で言及していたと思われる数値は,バイデン政権下だけでなく,トランプ自身の第一次政権時代を含む数十年にわたって米国に入国した外国人の数を指していると指摘している。
彼らは,通常は米国到着後に殺人罪で有罪判決を受けており,移民関税執行局(ICE:Immigration and Customs Enforcement)の「非拘留者リスト(non-detained docket)」に登録されたまま現在も米国に滞在している。このリストには,現在服役中の者も含まれており,トランプが主張するように自由に行動しているわけではない。
Fact check: Trump falsely claims foreign countries are paying his tariffs
ファクト・チェック:トランプは関税を外国が負担していると虚偽の主張
トランプは,関税は「外国が負担している」といういつもの虚偽の主張を繰り返した。実際には,関税の支払いは外国ではなく米国の輸入業者によって行われ,これらの輸入業者はコストの一部を消費者に転嫁することが多い。外国の輸出業者は製品の競争力を維持するために価格を下げることがあるが,様々な分析によると,トランプが今期課した関税のコストの圧倒的大部分は,米国企業と米国消費者によって負担されていることが分かっている。
ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)の当局者は2月に発表した分析で,「関税による経済的負担のほぼ90%が米国企業と消費者にかかっていることが判明した。」と述べている。超党派の連邦議会予算局(Congressional Budget Office)は2月の報告書で,「関税の正味の影響は,関税対象製品を輸入している米国企業の値上げと,関税のために外国との競争が減っている米国企業の値上げの組み合わせにより,国内で負担する関税コストの全額(95%)分だけ米国の消費者物価が上昇することだ。」と記している。
Fact check: Trump’s unproven claim on fraud in Minnesota
ファクト・チェック:ミネソタ州における詐欺に関するトランプの未証明の主張
トランプは,ミネソタ州在住のソマリア人が190億ドルの詐欺行為を行ったという主張を繰り返し,「ミネソタ州ほど驚くべき事例はない。ソマリア人コミュニティのメンバーが米国の納税者から推定190億ドルを横領したのだ。我々はあらゆる情報を入手しており,実際にはその額ははるかに大きい。」と述べた。
この「190億ドル」という数字が真実であることが証明される可能性はあるが,これまでのところ,その数字に近いものは何も証明されていない。
12月,連邦検察官のジョセフ・トンプソンは,ミネソタ州で詐欺リスクが高いと判断され,現在ティム・ウォルツ知事の指示により第三者監査を受けている14のメディケイド・サービスが請求した180億ドルの連邦資金のうち,「半分以上」が詐欺の可能性があると主張した。
しかし,90億ドルは190億ドルではない。トンプソンは,不正行為のすべてがソマリア人住民によるものだとは言っておらず,ウォルツ政権はトンプソンの主張に異議を唱えた。
ウォルツ政権のある当局者は12月,「現時点で数千万ドルの不正行為の証拠がある。」と述べ,90億ドルとは言わなかった。ウォルツ自身も,「1ドルとか,その数字が何であれ,同じように憤慨すべきなのに,彼らは裏付けのない数字を使っている。」と述べた。そして,1月にICE職員によるレネー・グッド射殺事件への対応をめぐり トランプ政権との緊張が高まる中,辞任したトンプソンは当時,「半分以上」という発言は初期の推定値であり,確定した数字ではないことを明確にしていた。
Fact check: Trump’s multiple false claims about US elections
ファクト・チェック:トランプの米国選挙に関する複数の虚偽主張
トランプは,米国選挙に関する虚偽の主張を矢継ぎ早に(rapid-fire series)展開し,投票登録時に有権者の身分証明書と市民権の証明を義務付ける法案を議会が可決するよう求めた。
トランプは 「我が国の選挙では不正(cheating)が横行している(rampant)。本当に横行している。」と虚偽の主張をした。しかし,これは全くの誤りである;あらゆる証拠が,不正行為は投票全体のごくわずかな割合を占めていることを示している。トランプは「不正な郵便投票」に言及した。郵便投票における不正行為の発生率もごくわずかだが,専門家によると対面投票よりもわずかに高いとのことで,これを「不正」と一概に表現する根拠はない。さらにトランプは,「彼らは不正行為を行っており,彼らの政策はあまりにもひどいため,彼らが当選する唯一の方法は不正行為をすることだ。」と述べた。これは嘘だ。民主党も共和党と同様に,自由で公正な米国選挙で常に選出されているからである。
Fact check: Trump’s claim that more Americans are working today than ever
ファクト・チェック:米国で働く人は過去最多だというトランプ氏の主張
トランプは,米国で働く人は過去最多だという いつもの主張を繰り返した。これは事実だが,この主張には文脈が必要だ。米国の人口は時間の経過とともに増加する傾向があるため,働く人の数も時間とともに増加する傾向がある。経済学者たちは,労働市場の健全性を測る,よりはるかに優れた指標があると指摘している。
就業人口比率(就業人口の割合)は,トランプが大統領に復帰した2025年1月の60.1%から,2026年1月には59.8%へと,今期の大統領任期中はわずかに低下している。失業率は上昇し,2025年1月の4.0%から2026年1月には4.3%へと上昇した。11月には4年ぶりの高水準となる4.5%を記録した後,低下した。就業中または積極的に仕事を探している人口の割合を測る労働力参加率(labor force participation rate)は,2025年1月の62.6% から2026年1月には62.5%に低下し,ほぼ横ばいとなっている。
Fact check: Trump falsely claims he ended eight wars
ファクト・チェック:トランプは8つの戦争を終結させたと虚偽の主張
トランプは外交における自身の役割について,お決まりの(familiar)虚偽の主張を繰り返した:「就任後10ヶ月で8つの戦争を終結させた。」 確かにトランプは(少なくとも一時的には)いくつかの紛争の解決に貢献したが,「8」という数字は明らかに誇張である。
トランプは演説の中で,終結させたとされる戦争のリストにはエジプトとエチオピア間の戦争も含まれていると説明したが,これは実際には戦争ではなく,ナイル川の支流におけるエチオピアの大規模ダム建設計画をめぐる長年の外交紛争である。トランプのリストには,実際には大統領在任中に起こっていないセルビアとコソボ間の戦争も含まれていた。(トランプ氏は時折,これら2つの勢力間の新たな戦争の勃発を阻止したと主張したが,ほとんど詳細を明かさなかった。しかし,それは実際の戦争を解決したこととは異なる。)また,彼のリストにはコンゴ民主共和国とルワンダ間の戦争も含まれていたが,この戦争はトランプ政権が2025年に仲介した和平合意にもかかわらず継続している。この和平合意は,戦闘を行っている主要な反政府勢力によって署名されることはなかった。
トランプのリストには,タイとカンボジア間の武力紛争も含まれていた。この紛争では,トランプ政権が2025年初頭に仲介した和平合意にもかかわらず,12月に一時的に戦闘が再開された。
トランプがリストに挙げた他の紛争の終結に果たした役割の重要性については議論の余地がある。あるいは,実際に終結した紛争があるのかどうか疑問視する向きもあるだろう。例えば,10月のイスラエルとハマスの停戦合意後もガザ地区での殺戮は続いており,トランプは演説で「ガザ地区での戦争は非常に低レベルで進行しており,まさに終結に近づいている。」と述べた。いずれにせよ,トランプの「8」という数字は明らかに大きすぎる。
Fact check: Trump falsely claims he achieved no tax on Social Security
ファクト・チェック:トランプ,社会保障税ゼロを実現したと虚偽主張
トランプは,2024年の主要選挙公約の一つである社会保障税を廃止したと,再び虚偽の主張を行った。
「この素晴らしい 『ビッグ・ビューティフル・ビル』により,チップ税,残業税,そして社会保障税をゼロにした。」と,火曜日の一般教書演説で述べた。
トランプが昨夏に署名した大規模な国内政策パッケージは,65歳以上の個人に対し,年間 $6,000の一時的な税額控除(年収 $75,000以上の個人には,より少額の控除)を新たに創設した。しかし,ホワイト・ハウス自身が暗黙のうちに認めているように,65歳以上の何百万人もの社会保障受給者は,引き続き給付金に対して税金を支払うことになる。そして,2028年に期限切れとなるこの新しい控除は,65歳未満の社会保障受給者には適用されない。
Fact check: Trump’s false claim on balancing the federal budget by ending fraud
ファクト・チェック:不正行為をなくせば連邦予算が均衡するというトランプの虚偽の主張
トランプは,連邦政府のプログラムにおける不正行為をなくせば連邦予算が均衡すると根拠なく主張し,「十分な数の不正行為を発見できれば,一夜にして均衡予算が実現するだろう。あっという間に均衡するだろう。」と述べた。
年間の予算赤字は,連邦政府が毎年不正行為で失う推定額をはるかに上回っている。
連邦政府監査院(federal Government Accountability Office)が2024年に発表した初めての推計によると,不正行為による損失は年間2,330億ドルから5,210億ドルに上る。しかし,財務省によると,9月に終了した直近の会計年度の連邦予算赤字は1兆8,000億ドル弱で,これは不正行為の推定の過去最高総額の3倍以上である。
(転載了)
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いかにも 悪徳商人出身の大統領というところでしょうか。
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