ドーピング選手出場可の競技会 “Enhanced Games” をどう訳すか?
‘BBC’,May 24, 2026付け
“It's like the Olympics - except steroids are allowed”
「オリンピックみたいなもの - ステロイドの使用許可を除けば」
の見出し記事を 下記,拙訳・転載します。
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Under the blazing Vegas sun, giant billboards advertise "Live Enhanced" as the baritone voice of a sports announcer pretends to introduce British swimmer Ben Proud and other athletes.灼熱のラスベガスの太陽の下,巨大な看板には「ライブ・エンハンスド(Live Enhanced)」の広告が掲げられ,スポーツ・アナウンサーのバリトン・ボイスが,イギリスの水泳選手ベン・プラウド(Ben Proud)をはじめとするアスリートたちを紹介するふりをしている。
アナウンサーは,近年のスポーツ史において最も物議を醸す(controversial)イベントの一つ,「エンハンスド・ゲームズ(the Enhanced Games)」が開催される新しい屋外アリーナで練習している。
文字通り,ステロイドを使ったオリンピックを想像してみてほしい。
日曜日に開催される(inaugural)この記念すべき第1回大会では,数十人のエリート・アスリートが運動能力を高める(performance-enhancing)ドラッグを使用し,陸上競技,重量挙げ,水泳の世界記録更新を目指す。
賞金総額は約2500万ドル(約1860万ポンド)で,優勝者には賞金が贈られる(up for grabs)。米国の短距離走選手フレッド・カーリー(Fred Kerley)などが狙う(eyed up)特定の種目では,世界記録更新者に100万ドル(約74万ポンド)のボーナスが支払われる。
使用する薬物は合法であり,米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の承認を受けているものでなければならない。しかし,世界アンチ・ドーピング機構によって禁止されているテストステロン(testosterone)やヒト成長ホルモン(human growth hormone)といった物質は,ここでは称賛されるだけでなく,奨励され,販売されている。
このプロジェクトは,起業家のアロン・デソウザとマクシミリアン・マーティンによって2023年に設立され,億万長者のピーター・ティールやドナルド・トランプ・ジュニアといった著名な投資家からの支援を集めている。
健康専門家は,アナボリック・ステロイド(anabolic steroids)や成長ホルモンは,脳卒中(strokes)や心血管系の障害(cardiovascular damage)など,様々なリスクを引き起こす可能性があると警告している。
イベント主催者は,‘Enhanced’が人間のパフォーマンスの限界を押し上げると主張しているが,特にオリンピック運動の関係者からは,競技スポーツ(competitive sport)の精神と創設理念(founding principles)に対する侮辱(affront)だと批判されている。
'We're being up front and honest'
「我々は率直に正直に話している」
「最高の選手になるために,プレッシャーを感じたり,薬物を使用したりする必要はない。」と,米国アンチ・ドーピング機関(USADA:US Anti Doping Agency)のCEO,トラビス・タイガート(Travis Tygart)は述べている。
BBCの取材に対し,オリンピックのアンチ・ドーピング・プロトコルには明らかな不備があるものの,解決策はドーピングではなく,制度改革にあると語った。
タイガートは,選手たちはオリンピックがクリーンであり,不正行為(cheats)は容認されないという確信を持つ必要があると述べている。
「18歳や20歳の若者が,『オリンピックのメダルを獲得するためには,潜在的に危険な薬物を毎日お尻(rear end)に注射しなければならない。』と言わなければならないような状況を望まない。」
しかし,大会を主催する ‘Enhanced’は,多くの選手が密かに不正行為を行い,パフォーマンス向上薬(performance-enhancing drugs)を使用しているという現状(undercurrent)を,明らかにしたと主張している。
リゾート・ワールド・カジノの宴会場に詰めかけた強化選手たち(Enhanced athletes)は,2時間にわたりメディアの質問に答えたが,使用している薬物を明かしたのは,自身のデッドリフト記録510kg(1,124.4ポンド)の更新を目指すストロングマンのハフソー・ビョルンソン(Hafthor Bjornsson)ただ一人だった。他の選手たちは口を閉ざしていた(tight lipped)。
ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」でマウンテン役を演じたビョルンソン(Bjornsson)は,プロのストロングマンの世界ではステロイドの使用が容認されているため,自身の使用を公言していると語った。
アメリカの短距離走選手シャニア・コリンズ(Shania Collins)は,大会参加者がドーピングを認めているという事実自体が,不正行為者(cheaters)よりも高い誠実さ(integrity)を示していると述べた。
「我々は最初から率直で正直,透明性のある姿勢で臨んでいる。」と彼女はBBCに語った。「情報を包み隠さず公開している(forthright with)のに、どうして私たちの誠実さを疑うことができるのだろうか?」
一部の競技統括団体(sporting governing bodies)は,選手たちがこの大会への出場を選択したことを公に非難した(rebuked)。
英国陸上競技連盟のジャック・バックナー最高経営責任者(CEO)は,元英国代表短距離選手のリース・プレスコッド(Reece Prescod)が1月に出場登録したことが明らかになった際,「愕然とした(appalled)」と述べた。英国アンチ・ドーピング機構(UKAD)はこの大会を「無謀な試み(reckless venture)」と批判している。
一方,英国水泳連盟は,ベン・プラウド(Ben Proud)選手が強化版大会(the Enhanced Games)に出場した場合,英国オリンピック代表チームには二度と選出されないと表明した。
Big money involved / 巨額の賞金が絡む
2024年パリ五輪50m自由形で銀メダルを獲得したプラウド選手は,日曜日にドーピング(performance-enhancing drugs)を用いて世界記録を更新し,100万ドルの賞金を獲得しようと目論んでいる。
もしレースに勝利しても世界記録を更新できなかった場合でも,25万ドル(約18万5000ポンド)の賞金が支払われる。
「スポーツにはお金がない」とプラウド選手は大会前にBBCに語った。「私は30歳で,銀メダルを獲得したばかりだ。これからどんな道を歩めばいいのだろうか?」
強化競技大会への参加で広く非難されているプラウド選手は,この賞金を得るには世界選手権で13年間優勝し続けなければならないと述べている。
強化競技大会は,日曜日の大会に先立って開催されたトライアルの一つで,ドーピングを行った(doped up)水泳選手に記録更新の報酬として既に100万ドルを支払っている。
日曜日に開催される強化競技大会に出場する42人の選手のうち,ほとんどがテストステロン(testosterone)を使用しており,中にはヒト成長ホルモン(human growth hormone)やアデロール(Adderall)などを使用する選手もいる。
しかし、全員がドーピングをするわけではない,中にはクリーンな状態で競技に臨む選手もいる。
米国の競泳選手ハンター・アームストロング(Hunter Armstrong)は,試合でドーピングをするつもりは「絶対にない」と明言し,「生まれ持った才能(natural God-given talent)で できる限り上を目指すことに誇りを持っている。」と述べている。
彼は賞金獲得を目指してクリーンな状態で競技に臨み,その後2028年のロサンゼルス・オリンピックへの出場を目指している。しかし,選考を担当する多くのスポーツ団体からの強い反発(outcry)を考えると,それが実現するかどうかは不透明である。
一方,米国アンチ・ドーピング機関(USADA)のタイガートはBBCに対し,オリンピック出場資格を得るためのドーピング検査に合格すれば,ドーピングの観点から出場を妨げるものは何もないと述べている。しかし,世界水泳連盟(WAA)は既に,強化競技大会(the Enhanced Games)に出場する選手を追放する(ban)と警告していると指摘している。
Wider worries for society? / 社会への懸念は?
今月初め,この競技会を主催するエンハンスド・グループ(the Enhanced Group)がニューヨーク証券取引所(the New York Stock Exchange)に上場した(began trading on)。
そして,この競技会はエンハンスド社がパフォーマンス向上薬やサプリメントをオンラインで販売する機会として利用されているようである。
規制されていないペプチドの販売促進や、特定の体型(people to look a certain way)へのプレッシャーがソーシャル・メディアに溢れている(awash with)今,こうした状況は一部の人々の間でより広範な懸念を引き起こしている(sparks broader concerns)。
健康・ウェルネス業界を分析する ‘Fitt Insider’の創設者,ジョー・ヴェナーレ(Joe Vennare)は,パフォーマンス向上薬(performance-enhancing drugs)の常態化(normalising)は,健康面と文化面で未知の影響をもたらすだろうと懸念している。
彼は,人々には合法的な医療介入(medical interventions)を受ける権利があるとしながらも,一部の人々が健康や健康的な食生活を犠牲にしてまでそうした介入を行っていることを懸念している。
「子どもたちはソーシャル・メディアのフィルターを使ったり,ボトックス注射を受けたりしている。」と彼はBBCに語った。「身体醜形障害(body dysmorphia)を抱えている子どもたち,特に若い男性の間では,そのケースが記録的な数に達している」。
ヴェンナーレは,強化競技大会(the Enhanced Games)はこうした問題を反映しているが,問題を生み出したわけではないと述べている。
「これは親や文化,そして社会全体が取り組むべき問題だ」。
強化アスリートのジェームズ・マグヌッセン(James Magnussen)も同意見だ。オーストラリアの水泳選手である彼は,親は子供たちが何を見るかをコントロールし,個人的な責任を負う必要があると述べる一方で,“Enhanced” は「子供向け(targeted at children)ではない」と断言する。
「これは,長寿(longevity)と人間のパフォーマンス向上に関心のある人々を対象としたエンターテイメント企業であり,製品だ。」
“Enhanced Games” に対するこうした批判は,すぐには消えそうにない。
参加アスリートも,ラスベガスに招待された観客も,こうした批判にひるむ(deterred)様子はない。
この辺りを歩いていると,「バイオハッキング(biohacking)」,「人間最適化(human optimisation)」,そして身体を自然の限界を超えて追い込むといった言葉をよく耳にする。
つまり,ここで起きていることは,単なるニッチなスポーツ・イベント以上のものになるかもしれない。スポーツが,より大きな文化的変化の実験場になりつつあるのかどうか,という問題である。
(転載了)
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薬で どこまで人間の運動能力が どれだけ向上するかの実験として意義がある?
被験者が納得しているので 問題はないでしょう。
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