世界の発電エネルギー源 最新情報
‘Pew Research Center’,July 20, 2026付け
“How global energy production is changing, in 6 charts”
「世界のエネルギー生産はどう変化しているのか― 6つのグラフで見る」
に見出し報告を 下記,拙訳・転載します。
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The world is using more electricity than ever, but where this energy comes from is changing. Renewable sources like wind and solar power are growing rapidly, especially in certain parts of the world.
世界における電力消費量はかつてないほど増加しているが,そのエネルギー源は変化しつつある。特に世界の特定の地域では,風力や太陽光といった再生可能エネルギーの利用が急速に拡大している。
ここでは,世界のエネルギー動向を専門とする独立系シンクタンク ‘Ember’のデータを基に、ピュー・リサーチ・センターが行った分析から,世界のエネルギー生産における長期的な傾向を詳しく見ていく。
1 電力の大部分は依然として化石燃料の燃焼によって生み出されているが,風力や太陽光による電力の割合も増加している。世界全体で見ると,2025年に発電された電力の57%は石炭やガスなどの化石燃料の燃焼によるものだったが,この割合は2000年の65%から低下している。
特に石炭は,過去10年間で減少傾向にある: 2025年には,世界の総電力供給の3分の1が石炭火力によるものだったが,これは2013年のピーク時の41%から低下している。
対照的に,風力や太陽光発電が世界の電力供給に占める割合は増加している。これら2つの電源を合わせると,2015年には5%未満だったが,2025年には世界の総電力供給の17%を占めるに至った。
2025年には,再生可能エネルギー(風力,太陽光,バイオエネルギー,水力(hydropower),地熱(geothermal),潮力・波力)が世界の電力生産に占める割合が,初めて石炭をわずかに上回った(34% 対 33%)。
一方,原子力発電は電力供給源としてのシェアを縮小させており,世界の総発電量に占める割合は2000年の17%から2025年には9%へと低下した。
ここで重要なのは,ここ数十年で世界の電力需要が急増しているという点である。その結果,特定のエネルギー源が総発電量に占める割合としては低下していても,絶対量としては利用が増加しているケースがある。例えば水力発電は,総電力供給に占める割合こそ低下しているが,現在生み出されている電力量は2000年当時よりもはるかに多くなっている。
2 近年,太陽光発電は特に急速な拡大を見せている。2025年には,世界の電力の9%が太陽光発電によるものだった。これは,2020年の3%や,21世紀初頭のわずか0.01%から大幅に増加している。
こうした増加の要因の一つとして,過去50年間で太陽光パネルの価格が劇的に低下したことが挙げられる。パネル1枚あたりの価格は,データが利用可能な直近の年である2024年にはわずか$0.26となり,1975年の平均価格である $128から99%以上も下落した。
3 欧州連合(EU)やその他の地域において,再生可能エネルギーは今や最大の電力源となっている。2025年時点で,EUの総電力供給のほぼ半分(48%)を再生可能エネルギーが占め,化石燃料は29%,原子力は23%だった。
ブラジルやカナダでは,以前から再生可能エネルギーが総発電量の大部分を占めてきた(2025年時点でそれぞれ87%と64%)。これは主に水力発電によるものだが,風力や太陽光発電の拡大も寄与している。
中国と米国はともに,過去25年間で再生可能エネルギーの利用を拡大し,電力供給における化石燃料への依存度を低下させてきた。現在,中国では電力の37%,米国では26%が再生可能エネルギー源から供給されている。
またパキスタンでは,2000年当時は電力の約4分の3が化石燃料由来だったが,近年,太陽光発電の導入が急拡大した結果,2025年時点では再生可能エネルギー源による発電量が化石燃料を上回るに至った。
電力源としての原子力の利用状況は,国によって大きく異なる。例えば日本は,2011年の福島第一原子力発電所事故を受けて大半の原子力発電所を停止させたが,近年は再生可能エネルギーの利用拡大と並行して,原子力発電への回帰を順次進めている。
オーストラリアは1998年以来,原子力発電を厳格に禁止している。石油・天然ガスの主要生産国であるサウジアラビアも原子力発電を行っておらず,2025年時点では電力のほぼすべて(98%)が化石燃料由来だった。同国は「ビジョン2030」計画の一環として,化石燃料への依存低減を目指し,民生用原子力発電プログラムの開発を計画している。
4 中国は,総発電量において他国を圧倒しているだけでなく,太陽光および風力エネルギーの発電量でも世界をリードしている。2025年の総発電量を見ると,中国の太陽光・風力発電量は,経済協力開発機構(OECD)加盟38ヶ国の合計を上回った。なお,同年の原子力および天然ガスによる発電量では,米国が世界首位だった。
中国における太陽光・風力発電量は,近年急増している。2020年以降,太陽光発電量は毎年,前年比で少なくとも25%増加している。2025年にはその増加幅が拡大し,年間発電量は336 TWh上積みされた。これは言い換えれば,中国が2025年に太陽光発電で新たに生み出した電力量が,英国の全電源を合わせた年間総発電量を上回ったことを意味する。
風力エネルギーについても同様の傾向が見られるが,成長のペースはそれより緩やかである。2020年以降,中国の風力発電量は毎年,前年より少なくとも100 TWh 多くなっている。
水力,バイオエネルギー,その他の再生可能エネルギーによる増加分を合わせると,中国の2025年の再生可能エネルギー発電量は前年より500 TWh以上増加した。これは2024年も同様だった。
こうした分野の発展に伴い,中国は太陽光パネル,風力タービン、バッテリー,電気自動車(EV)を含むクリーン・エネルギー技術の製造および輸出において,世界を圧倒する存在となっている。
5 アフリカと北米では,発電の主要なエネルギー源として,石炭に代わり天然ガスが広く利用されるようになった。現在,両大陸において天然ガスによる発電量は石炭を大きく上回っているが,2000年当時は状況が異なっていた。
アフリカのいくつかの国では,近年,岩盤から石油や天然ガスを抽出する掘削技術である ‘fracking’(水圧破砕法)のためのインフラを拡充しており,これに伴い,総発電量に占める天然ガス発電の割合が急増している。アフリカにおける天然ガス発電量は,2000年の92 TWhから2025年には 419 TWhへと増加した一方,石炭火力発電量の増加はわずかなものにとどまった。
北米でも,石炭の生産量が減少する一方で,天然ガスの生産量は増加している。北米の総発電量に占める天然ガスの割合は,2000年の15%から2025年には37%へと上昇した。対照的に,石炭の割合は2000年の47%から2025年には15%へと低下した。
中東地域でも天然ガスへの依存度が高まっている。2025年には同地域の電力の4分の3近く(73%)が天然ガスによって供給されたが,これは2000年当時の約半分という水準から大きく上昇したものである。
しかし,他の地域では,発電に占める石炭の割合が増加している。その好例が東南アジアである。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国全体で見ると,石炭火力発電への依存度は2000年から2025年の間に2倍以上に拡大した(20%から45%へ)。
6 世界の総発電量は2000年以降,アジアでの大幅な増加などに牽引され、2倍以上に増大した。2025年の世界全体の発電量は,2000年と比較して108%増加した。
同期間中,アジアの発電量は298%増加した。この伸びの大部分は中国によるもので,同国の2025年の発電量は21世紀初頭と比べて680%増加した。インドの発電量も同期間に264%増加している。
実際,過去25年間におけるアジアの発電量の増加は,世界全体の需要増加分の76%を占めた。2000年から2025年の間に,中国単独で世界全体の需要増加の半分以上(56%)を占めたことになる。
アジア全域で発電能力が拡大したわけではない。日本では2000年以降,発電量が緩やかに減少している(同国は福島での事故後,電源構成の大幅な見直しを余儀なくされた)。
(転載了)
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