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2024年7月28日 (日)

トランプ銃撃に使われた ‘AR-15’ ライフルを書いたNONFICTION本が去年(2023年) 発行されていた。

The New York Times’ の Sept. 22, 2023付け,‘NONFICTION’ のカテゴリーで
How a Gun Made for Combat Found Its Way Into Millions of Homes
「戦闘用に作られた銃がいかにして何百万もの家庭に普及したか」
の見出し記事がありました。

Nonfiction BookAMERICAN GUN: The True Story of the AR-15by Cameron McWhirter and Zusha  Elinson - のreview 記事です。(By Mike Spies/銃による暴力に焦点を当てた非営利のニュースルーム ‘The Trace’ のシニア・スタッフ・ライター。)

AR-15’ の生い立ち,法律との関係,爆発的普及などが書かれています。

下記,拙訳・転載します。
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キャメロン・マクワーター(Cameron McWhirter)とズシャ・エリンソン(Zusha Elinson)による “American Gun” は,‘AR-15’ ライフルの動かしがたい(grim)歴史をありのままに(unvarnished)詳細に語っている。

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キャメロン・マクワーターとズシャ・エリンソンが “American Gunで語るように,悪名高い(infamous) ‘AR-15ライフルの物語はフランケンシュタインの物語であり,ユージン・ストーナー(Eugene Stoner)という名の天才発明家が怪物の創造者,ヴィクター・フランケンシュタインを演じている。

大学の学位を持たない「アマチュアのいじくり屋(amateur tinkerer)」だったストーナーは,飽くことのない想像力と工学に対する直感的な才能(intuitive gift)を持ち,レストランのテーブルクロスなど,あらゆるところにデザインをスケッチした。1920年代,カリフォルニア州コーチェラ・バレーで子供だった彼は,父親と一緒に狩りに出かけ,「あらゆる種類の発射物(projectiles of all kinds)」に夢中になった(obsessed)。

しかし,ストーナーは最終的に世界を変えるような兵器を思いついたものの,それがどのような結果をもたらすかは想像(fathom)もつかなかった。彼は,アメリカ兵に可能な限り最も効率的な銃,共産主義者の一団を素早く殺害できる銃を持たせたいと考えていた。彼の偉大な功績とその壊滅的な(devastating)結末(aftermath)の記述は,マクワーターとエリンソンの著書の核心をなしており,歴史物語(narrative history)と独自のルポルタージュの傑作となっている。

朝鮮戦争の頃まで,アメリカ兵は依然として,8発の弾丸を装填し,大きな弾丸を発射する精密兵器(precision weapon)である,非常に(brutally)重いM1ライフルを使用していた。1950年の初期の戦いで,アメリカ軍が北朝鮮の勢力に圧倒された後,このライフルではもはや役に立たないことが明らかになった。

第二次世界大戦中に海兵隊員として従軍したストーナーは,航空機用バルブを製造する企業に入社し,そこで設計エンジニアの指導を受け,一種の見習い制度(apprenticeship)を与えられた。正式な教育を受けていなかったため,訓練を受けた同僚たちよりも創造性が増し,頑固さ(hidebound)がなくなった。
自由時間には,ガレージで不格好な(clunkyM1を改良するミッションに乗り出した。1954年,狡猾な(wily)起業家との偶然の出会いが,「アーマライト(Armalite)」の設立につながった。「アーマライト」は,ストーナーの指揮の下,‘AR-15’ を製造し,軍に採用させようとした銃器メーカーだった。

この速射銃はアルミニウム,グラスファイバー,プラスチックでできており,弾丸を込めない状態で約5 ポンド(≒2.3kg)の重さだった。銃自体の高温ガスで作動する斬新なリロード・システムと,銃を標的に向け続けるための独自のストックを備えていた。半自動と全自動の設定を切り替える(toggle)ことができた。弾丸は小さく,高速で発射された。

著者は,弾丸が人体に当たると「速度が落ち,エネルギーを放出した」と書いている。M1 の大口径弾丸は人をまっすぐに貫通する傾向があったが,‘AR-15の弾丸は人体に着弾すると不安定になり,「竜巻のように人体を引き裂き,らせん状に回転しながら(spiraling and tipping)臓器,血管(blood vessels),骨を破壊した(obliterated)。」

この武器の明らかな凶暴性(ferocity)にもかかわらず,「アーマライト」は軍との大型契約を獲得できなかった。1959年,銃器メーカーの「コルト」がストーナーの ‘AR-15’ とガスシステムの製造およびサブライセンス権を獲得した。「コルト」は,軍がM16と呼んだ同型ライフルで幸運に恵まれた。この銃には20発の弾倉が装備されており,1966年に軍は兵士のために40万丁以上の銃を発注した。

American Gunは,著者の徹底的な(exhaustive)調査が光る,冷静で正確な言葉で,‘AR-15の主な役割は敵をできるだけ迅速に(expeditiously)虐殺することだったと明確に述べている。この銃は民間向けには使用されていなかった。しかし,コルト社は,5発の弾倉を備えた半自動バージョン「スポーター(Sporter)」をハンター向けに販売した。この銃は人気が出ず,同社は年間数千丁しか生産しなかった。しかし,1977年にストーナーの特許が失効すると,状況は一変した。

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ウォール・ストリート・ジャーナルの記者,マクワーターとエリンソンは,記事の後半部分を見事なほどの抑制力(restraint)で展開する(unspool);冷酷で悲惨な事実が一つずつ明らかになり,緊張が高まるのがわかる。ドアが破られ,最初の便乗者が通り抜ける。彼らが思い描くのは,被害者ではなく,認識できないほど傷ついた遺体ではなく,金儲けだ。彼らの計算(calculus)には社会的責任は含まれておらず,安価で簡単に大量生産できる兵器のメカニックスだけを考えていた。

1980年代後半,‘AR-15はカリフォルニアのギャング抗争や警察との銃撃戦(shootouts)に登場した(showed up)。‘AR-15や類似の武器を禁止する全国的な動きが起こり(ensued),この銃器は広く世間の注目を集め,強力な政治的シンボルとなった。1994年,ビル・クリントン大統領は「アサルト・ウェポン禁止法(assault weapons ban)」に署名し,法律として成立させた。
この法律は 10発以上の弾丸を装填できるマガジンも禁止していたが,すでに流通している武器や付属品には適用されなかった。さらに,この法律には 10年間のサンセット条項(sunset clause)が含まれていたが,著者らは,法案の民主党の提案者が立法交渉が始まる前に愚かにもこの条項を追加したと明かしている。この法律は失敗する運命にあっただけでなく,事態を悪化させたことを本書は示している。

著者らのルポの偉業(feats)のひとつは,銃器メーカーの重役や起業家に記録に残る形で率直に(candidly)語ってもらうことだった,これはほとんど前例のない偉業だ。ある記者は,この禁止令についてこう述べた:「彼らがどんな条項を持っていても,私は回避策や対抗策を考え出すだろう」。銃器メーカーは,‘AR-15’ にわずかな改良を加え,銃の性能に影響を与えずに法律の文言を満たした。生産量と需要が急増し,利益も上がった。

Y2K が近づき,社会の崩壊と大混乱(mayhem)への恐怖が広がると,売上は急上昇した。銃器業界の幹部たちは,こうしたパラノイアは簡単に利用できる(exploitable)ことに気付いた:「パニックのときには大儲けできる」と,ある幹部はマクワーターとエリンソンに語った。
別の幹部は,著者らが「不安定な需要(erratic demand)」と呼ぶものを中心に会社の事業戦略を転換した。年間を通じて銃器を製造する代わりに,部品の製造を外注し,必要に応じて注文を調整した。「我々がしたのは組み立てだけだった。」と幹部は語った。「それは良いモデルだった。」

パラノイア市場は9/11以降拡大した。その後,イラクとアフガニスタンでの戦争により,‘AR-15’ はアメリカ人の想像力の中にさらに深く根付いた。これは英雄のライフルであり,銃器メーカーはそれをはっきりと連想させた。著者らは,禁止前の30年間に,業界は ‘AR-15’ スタイルのライフルを40万丁製造したと書いている。
10年間の禁止期間中,その数は90万丁近くにまで増加した。他の銃器の販売が低迷する中,このライフルには「なりたい要素(wannabe factor)」があったと,製造元「シグ・ザウアー(Sig Sauer)」の商業販売責任者は述べ,「人々は特殊部隊員(Special Forces guy)になりたがっている。」と付け加えた。

2004年に禁止令が解除されると,扉が一気に開いた。「プライベート・エクイティ(Private Equity」社の最高経営責任者だった銃愛好家(gun enthusiast)が市場に参入し,「フリーダム・グループ」という会社とともに,‘AR-15型の銃を国中に氾濫させた。

マクワーターとエリンソンは「フリーダム・グループ」から内部文書を入手した。その中には,暴力的なビデオゲームに同社の銃を登場させることを「これらのゲームを体験する次世代にブランドへの好意を植え付ける」ための手段として主張するマーケティング・チームの「極秘」メモが含まれていた。電子メールの中で,ある会社幹部は,この戦略がいかにうまく機能しているかに驚嘆した。

American Gunが必然的な結末に向かって突き進むにつれ,目をそらしたくなる。著者らは,2012年にコロラド州オーロラの映画館とサンディ・フック小学校(Sandy Hook Elementary School)で起きた銃乱射事件から,パークランド,ユバルデなど,頻度と致命度(deadliness)が増す銃乱射事件を詳しく述べている。サンディ・フックでは,警察官が小さなトイレに入ったが,自分が見ているものが理解(comprehend)できなかった。「しばらくして,彼はそれが山積みの上に横たわっている小さな男の子の顔だと気づいた。」と著者らは書いている。「何の山だ?彼は下を見た。彼が見ていたのは子供たちの山だった。」

サンディ・フック銃撃事件の葬儀が始まった日,「フリーダム・グループ」の取締役会は緊急会議を開き,同社の ‘AR-15’ ライフルの収益をさらに高める銃身(gun barrel)製造業者の買収を決議した。サンディ・フック銃撃事件は「ひどく恐ろしい大惨事(awful horrific huge tragedy)だった。」と「フリーダム・グループ」の最高経営責任者は後に証言で述べた。「しかし,それが事業の長期的な資本決定に及ぼした影響は,何ら要因ではなかった」

2021年末までに,米国人は2000万丁以上の ‘AR-15型銃を所有しており,わずか25年で50倍に増加した。“American Gunは,恐怖を利益に変える産業と 増え続ける民間人の死者が良心の呵責をほとんど感じさせない真実を,堂々と描き出している。政策立案者も一般市民も,この本から学ぶことは多い。

AMERICAN GUN: The True Story of the AR-15 | By Cameron McWhirter and Zusha Elinson | 473 pp. | Farrar, Straus & Giroux | $32

(転載了)
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戦闘用兵器として開発された 半自動銃 2,000万丁以上が 民間に存在する事実は 尋常とは言えません。

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2024年7月19日 (金)

ニューヨーク・タイムズが選んだ 2023年のベスト・ブックス 10冊

The New York TimesNov. 28, 2023付けで  “The 10 Best Books of 2023を発表しました。
選出はThe staff of The New York Times Book Review’ によるもので 2023年の 傑出した(standout)フィクションとノン・フィクションを5冊ずつ選んでいます。

下記,拙訳・転載します。
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毎年,春から数ヶ月かけて,我々は机に届く最も素晴らしい本について議論する。愛する家族,我々を夢中にさせるノンフィクションの物語,忘れられない架空の世界など。そのすべては,その年の最高の本を決めるという一つの目標に向かっている。

議論は白熱する。我々は議論し,説得し,そして(何よりも)最後の最後まで悩み(agonize),投票で10冊の本(フィクション5冊,ノンフィクション5冊)にたどり着く。

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Here they are, the 10 Best Books of 2023.
以下が2023年のベスト10冊である。

【FICTION】

The Bee Sting, by Paul Murray
「ビー・スティング」ポール・マレー著

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マレーは,危機に取り組む(grappling)アイルランドの家族を描いた悲喜劇(tragicomic tale) “The Bee Sting” で華々しく(triumphant)復帰を果たした。バーンズ家(ディッキー,イメルダ,キャス,PJ)は裕福なアイルランドの一族だが,2008年の金融危機以降,財産が急落し(plummet)始める。
しかし,この共通の苦難に加えて,4人全員がそれぞれに悪魔(demons)と戦っている:長く隠していた秘密の再浮上(re-emergence),脅迫(blackmail),過去の恋人の死,厄介な(vexing)友人同士の敵対関係(frenemy),心配な(worrisome)インターネットの文通相手などだ。この小説は,孤立を深めるバーンズ家の物語を織り合わせたものだが,マレーが織り成す全体的なタペストリーは,荒廃(desolation)ではなく希望だ。この本は,周囲の世界が崩壊する(crumbles)中でも,ある家族の信じられないほどの愛と回復力(resilience)を紹介する(showcases)本だ。

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Chain-Gang All-Stars, by Nana Kwame Adjei-Brenyah
「チェイン・ギャング・オール・スターズ」 ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著

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死刑囚たち(death-row inmates)が自由を得るためにテレビで決闘するというディストピア風刺(dystopian satire)の,アジェイ=ブレニャーのデビュー小説は,2018年の短編集 “Friday Black” に続くもので,読者を熱心な観客に引き込み,リングサイドに座る血に飢えた(bloodthirsty)ファンの共犯者(complicit)としてしまう。
「この本を読んで,私が嘲笑されていると認識している世界のこれらの部分について笑ったのと同じくらい,もっと認識を減らせばよかったとも思った。」と,ギリ・ネイサンはレビューで書いている。「『チェイン・ギャング・オールスターズ』の米国は,ばかげた(absurd)点まで鋭くなっているが,我々の米国と似ている」。お互いと自由のどちらかを選ばざるを得ない2人のトップ選手の悲痛なラブ・ストーリーの中で,格闘シーンは非常によく書かれており,これほど病んだ世界を受け入れるのがいかに簡単であるかを示している。

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Eastbound, by Maylis de Kerangal
「イーストバウンド」 メイリス・ド・ケランガル著

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デ・ケランガルの短く叙情的な小説は,2012年にフランスで初版が出版され,ジェシカ・ムーアが新たに翻訳したもので,アリオチャ(Aliocha)という名の若いロシア人徴集兵(conscript)が他の兵士たちと一緒にシベリア横断列車に乗る様子を描いている。雰囲気は暗い(grim)。乱闘(brawl)の後,周囲の状況に動揺したアリオチャは脱走(desert)を決意し,そうすることで,民間人の乗客であるフランス人女性と不安定な同盟を結ぶことになる。
​​彼らの荒涼とした環境デ・ケランガルはシベリアの風景を「手袋が裏返しになったような,生々しく,荒々しく,空虚な(raw, wild, empty)世界」と表現しているは,危険度をさらに高めるだけだ。「この広大な土地と列車内での存在の不安定さは,人間のつながりの重要性を強調する」と,私たちの評論家ケン・カルフスは書いている。「戦時中,このつながりは解放(liberation)と救済(salvation)をもたらすかもしれない。」

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The Fraud, by Zadie Smith
「ザ・フラウド」 ゼイディー・スミス著

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被告(defendant)が貴族(nobleman)を装った(impersonating)として告発された19世紀の有名な(celebrated)刑事裁判を基にしたスミスの小説は,ロンドンとイギリスの田舎の広大で鋭い一面(panoply)を描き,時代の社会的論争を少数の登場人物にうまく位置づけている。その中でも特に重要なのは,裁判を熱心に(avidly)追う未亡人のスコットランド人家政婦と,原告(claimant)の代理として証言する(testifies)元奴隷のジャマイカ人使用人だ。
スミスは小説家であると同時に有能な批評家でもあり,家政婦の雇い主である,かつては人気作家でディケンズの良きライバルだった人物を通じて,誰の物語が語られ、誰の物語が無視されているかを振り返りながら、当時の文学文化を風刺する機会を十分に見つけている。「いつものように,時が経つにつれてロンドンそのものとつながっていく(contiguous)ゼイディー・スミスの心の中にいるのは楽しいことだ。」とカラン・マハジャン(Karan Mahajan)はレビューで書いている。「ディケンズは死んだかもしれないが,ありがたいことにスミスは生きている。」

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North Woods, by Daniel Mason
「ノース・ウッズ」 ダニエル・メイソン著

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メイソンの野心的で万華鏡のような(kaleidoscopic)小説は,読者をマサチューセッツ州西部の荒野にある家の入口(threshold)に導き,300年,400ページ近くにわたってその世界に先導する(ushers)。手紙,詩,歌詞,日記,医療記録,不動産物件リスト,ビンテージ植物イラスト,そして通常は小説のページには綴じられないさまざまな一時的な資料が散りばめられた(interspersed)セクションで,植民地時代から現代に至るまで,その地の住民を知ることができる。
リンゴ農家,奴隷制度廃止論者(abolitionist),裕福な製造業者がいる。甲虫のつがい。風景画家。幽霊。彼らの人生 (と死) は,一時的に交差するが,大部分はまばゆいばかりのデコパージュで重なり合っている。その間ずっと,自然界は,長い間苦しみ,時には破壊的な存在として見守っている。メイソンは,あなたが好きなだけ滞在し、好きなように過ごすことを勧めてくれる、最高に(consummate)親切なホストである。

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NONFICTION

The Best Minds, by Jonathan Rosen
「ベスト・マインズ」 ジョナサン・ローゼン著

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本書は,著者とマイケル・ラウダー(Michael Laudor)の長年の友情を,ソファに釘付けにするような形で詳細に再現したものである。ラウダーは,最初はイェール大学ロー・スクールの卒業生として統合失調症(schizophrenia)の偏見をなくした(destigmatizing)ことで話題となり,その後,妊娠中の恋人を包丁で刺殺したことで話題となり,その後,厳重警備の精神病院に送られた。

切り抜き(clips),裁判所や警察の記録,法律や医学の研究,インタビュー,日記,ラウダーの熱のこもった文章(自身の本の企画書を含む)を参考に,ローゼンは,才気と狂気の間の曖昧な(porous)境界線,施設からの退所(deinstitutionalization)によって生じる複雑な政策上の問題,そしてコミュニティの倫理的義務(ethical obligations)について検証している。“The Best Minds” は,長い治療の苦労(slog)よりも利益,手っ取り早い解決策,ハッピーエンドを優先する社会に対する、思慮深く構成され、豊富な情報源に基づいた告発(indictment)である。

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Bottoms Up and the Devil Laughs, by Kerry Howley
「ボトムズ・アップ・アンド・デビル・ラフ」 ケリー・ハウリー著

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国家安全保障国家(the national security state)とそれに巻き込まれた(entangled)人々についてのハウリーの記述には,作り話家(fabulists),真実を語る人,戦闘員,内部告発者(whistle-blowers)などが含まれている。中心にいるのは,国家安全保障局(the National Security Agency)の契約労働者で,スパイ法(the Espionage Act)に基づき,‘The Intercept’ に機密情報を漏らした罪で有罪判決を受け,63ヶ月の懲役刑を宣告されたリアリティ・ウィナー (Reality Winner)「本名だが,今は忘れよう」) である。
プライバシーとデジタル監視に関するハウリーの探求は,最終的に陰謀論者(conspiracy theorists)と ‘QAnonの荒地へと彼女を導く。それは驚くべき、そして必然的なストーリー展開である;もちろん,闇の国家(deep state)を巡る旅は,彼女をウサギの穴へと導くだろう。その結果,この本は,心を奪われる,ダークなユーモアがあり,あらゆる意味で分類不能な(unclassifiable)本になった。

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Fire Weather, by John Vaillant
「ファイア・ウェザー」 ジョン・ヴァイヤン著

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2016年,カナダのアルバータ州フォート・マクマレー(Fort McMurray)で猛烈な山火事が発生。時宜を得た “Fire Weather” で,ヴァイヤンは,火災がどのように始まり,どのように拡大し,どのような被害をもたらしたか,そしてこの大惨事につながった一連の要因について詳しく述べている。消防士,石油労働者,気象学者,保険査定士などが紹介されている。
しかし,ここでの真の主人公(protagonist)は,手に負えない恐ろしい力であり,飽くなき欲望を持つ火災そのものである。この本は,現実のスリラーであると同時に,何が起こったのか,そして気候が変化しても人間は変化しないのに,なぜ火災が何度も繰り返し起こるのかを瞬間ごとに記録したものである。

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Master Slave Husband Wife, by Ilyon Woo
「マスター・スレイブ・ハズバンド・ワイフ」 イリョン・ウー著

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1848年,ジョージア州の奴隷夫婦,エレンとウィリアム・クラフトは,病弱な若い白人農園主とその男性奴隷に変装して(disguised)北へ大胆に逃亡した。エレンは裕福な御曹司(scion)に変装し,ストーブパイプ帽をかぶり,濃い緑色の眼鏡をかけ,読み書きができない(illiteracy)のを隠すために右腕を吊っていた。あり得ないことだが,危機一髪(close calls)の場面や断固たる(determined)奴隷捕獲者たちにもかかわらず,クラフト夫妻は逃亡に成功し,イギリスで奴隷制度廃止論者の講演会を回り,旅の記録を一般向けに執筆した。
米国の有力な奴隷制度廃止論者が「この国の歴史上最もスリリングなものの1つ」と評した彼らの物語は,それだけでも注目に値する。しかし,クラフト夫妻の逃亡を小説のような詳細さで描き出す(conjures)ウーの没入感あふれる(immersive)描写は,調査,物語の話術(storytelling),共感、洞察力(insight)の功績(feat)でもある。

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Some People Need Killing, by Patricia Evangelista
「サム・ピープル・ニード・キリング」 パトリシア・エヴァンジェリスタ著

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この力強い本は,主にロドリゴ・ドゥテルテがフィリピン大統領を務め、超法規的殺人(略してEJKextrajudicial killings)という殺人キャンペーンを展開した2016年から2022年までの年を扱っている。このような殺人が頻繁に行われるようになったため,当時 独立系ニュースサイト「ラップラー(Rappler)」の記者だったエヴァンジェリスタのようなジャーナリストは,コンピューターにフォルダーを保存し,日付ではなく死亡時刻で整理していた。
エヴァンジェリスタは,回想録の親密な暴露とフィリピンの歴史のより大きな文脈を提供しながら,言語にも細心の注意を払っている。それは彼女が作家だからというだけではない。言語は,コミュニケーション,否定,脅迫,甘言(cajole)に使用できる。言語は嘘を広めることもできるが,真実を語ることもできる。

(転載了)
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日本語に翻訳された本はないようです。

この記事を読んで 最も感じたことは 使われている単語に 私には 馴染みのない,難しいものが多いこと,おそらく教養に関係しているのでしょう。

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2024年5月 3日 (金)

有名な小説の書き出しは-

GQ UK’ の ‘Culture’,Mar.5,2024付けに
First impressions count – these opening lines are the best in literary history
「第一印象は重要これらの書き出しは文学史上最高」
のタイトル記事がありました。

人生の折り返しは とっくに過ぎていますが,後学のため読んでみました。
下記,拙訳・転載します。
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サリー・ルーニー(Sally Rooney)の次の小説の冒頭は外れたしかし,それは偉大な小説に匹敵するか?

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第一印象は非常に重要である。この意味では,芸術も人生と何ら変わらない-小説における最高の書き出しは,読むのを止めさせることなく 読者の注意を引きつける。場合によっては,すぐに小説の雰囲気に引き込まれてしまうことがある。時には予期せぬ角度から開始することもある。そしてそれらのいくつかは,あらゆる文学の中で最も有名な引用にある。

しかし,この書き出しはどうだろうか? 「この若者は魅力的に見えなかった。葬儀の時のあのスーツ。歯に矯正器具を付けていて,思春期の若者のこの上ない不快感を覚える。(Didn’t seem fair on the young lad. That suit at the funeral. With the braces on his teeth, the supreme discomfort of the adolescent.)」 これらは,サリー・ルーニーの 4 作目の小説 “Intermezzo” からのものである。彼女の本の周りではそのような過剰表現(hype)があり,彼女の出版社は,まるで映画の予告編のように書き出しから最後までからかっていた(teased)。

ページに掲載されるかどうかを確認するには,9 月にリリースされるまで待つ必要がある。なぜなら,それが素晴らしい冒頭のセリフのもう一つの特徴だからだ:つまり,そこから生まれる期待は,その後の展開によって満たされなければならない。ここではその中から最高のものをいくつか紹介する。

Mrs Dalloway by Virginia Woolf
ダロウェイ夫人/ヴァージニア・ウルフ

Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.
ダロウェイ夫人は自分で花を買うと言った。

For Lucy had her work cut out for her. The doors would be taken off their hinges; Rumpelmayer's men were coming. And then, thought Clarissa Dalloway, what a morning – fresh as if issued to children on a beach.
なしにろ,ルーシーは,あれもこれもで手いっぱいなのだから。ドアは蝶番から外されるだろう;ランペルメイアーの男達が直しにやって来るから。それにしても,とクラリッサ・ダロウェイは思った,なんとすてきな朝だろう―まるで浜辺にいる子供らに降り注ぐように新鮮だ。
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ヴァージニア・ウルフのモダニズムの傑作は,裕福な(well-to-do)ロンドンの主婦が主催する盛大なパーティーの日に続く。 オープニングでは,ウルフが登場人物たちの頭の中をくねくねと進み(wriggles),彼らの意識の流れが思考から思考へとどのように流れていく(darts)かを示す様子がすぐに確立される。

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A Tale of Two Cities by Charles Dickens
二都物語/チャールズ・ディケンズ

It was the best of times, it was the worst of times, it was the age of wisdom, it was the age of foolishness, it was the epoch of belief, it was the epoch of incredulity, it was the season of Light, it was the season of Darkness, it was the spring of hope, it was the winter of despair, we had everything before us, we had nothing before us, we were all going direct to Heaven, we were all going direct the other way – in short, the period was so far like the present period, that some of its noisiest authorities insisted on its being received, for good or for evil, in the superlative degree of comparison only.
それは最高の時代であり,最悪の時代だった。知恵の時代であり,愚かさの時代だった。信念の時代であり,不信の時代だった。光の季節であり,暗闇の季節だった。希望の春であり,絶望の冬だった。我々の前に全てがあり,我々の前に何もなかった。我々は皆,真っすぐに天国を目指しており,また一路その逆を歩んでいるかのようだった ― 要するに,この時代は現代とあまりにも似ており,最もうるさい権威者の一部は,良くも悪くも,この時代を最上級の比較においてのみ受け入れようと主張した。

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非常に分厚い(chunky)小説の非常に分厚い書き出しの文。チャールズ・ディケンズは決して内気で隠居しているわけではないが,『二都物語』の冒頭 ― フランス革命時の二都市はロンドンとパリだった -を見れば,この広範囲に広がった(sprawling)本が大文字Ecapital-E)のすべてについての物語であることが明らかだ。

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Anna Karenina by Leo Tolstoy
アンナ・カレーニア/レフ・トルストイ

Happy families are all alike; every unhappy family is unhappy in its own way.
幸福な家庭は みな似ている;不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである

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最も有名な書き出しの 1つであるこの一文は,社会理論を提示しているが,同時に約束も提供している:これから我々は,非常に不幸な - そして非常に特異な不幸な - 家族についての物語を読み始める。 その後に起こるのは,アンナ・カレーニナとヴロンスキー伯爵の間のもつれた(tangled),運命の愛の関係である。

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Midnight’s Children by Salman Rushdie
真夜中の子供たち/サルマン・ラシュディ

I was born in the city of Bombay… once upon a time. No, that won’t do, there’s no getting away from the date: I was born in Doctor Narlikar’s Nursing Home on August 15th, 1947. And the time? The time matters, too. Well then: at night. No, it’s important to be more… On the stroke of midnight, as a matter of fact. Clock-hands joined palms in respectful greeting as I came. Oh, spell it out, spell it out: at the precise instant of India’s arrival at independence, I tumbled forth into the world.
私はボンベイ市で生まれた ・・・ 昔々のこと。いやそれじゃだめだ,日付から逃れるわけにはいかない:ナルリカル医師の産院で 1947815日に生まれた。何時に? 時間も重要だ。そう:夜だ。いや,もっと正確であることが重要だ ・・・ えー,実は真夜中かっきりだった。時計の針が恭しく手を合わせて私の誕生を迎えてくれた。ほう、もっと書くなら:つまり,まさにインド独立達成の瞬間に,私は世界に転げ落ちた。

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『真夜中の子供たち』は,現存する英国で最も偉大な作家の一人であるサルマン・ラシュディの最高の小説かもしれない - 2008年に,ブッカー賞の最初の40年間で最高のブッカー賞受賞作に選ばれた。書き出しの段落ですぐに,サリーム・シナイの声が我々を惹きつける。サリーム・シナイはとりとめのない(meandering)語り手で,英国からインドが独立して最初の1時間に生まれた他のすべての子供たちと同様、テレパシー能力を持っている。

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Pride and Prejudice by Jane Austen
高慢と偏見/ジェイン・オースティン

It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune, must be in want of a wife.
裕福で独身の男が,妻を望んでいるにちがいない,というのは 普遍的に認められる真実である。

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非常に有名で,オンラインでもよく取りざたされているが,史上最高の古典ロマンスの 1つである『高慢と偏見』をまさに期待するだろう。この広く認められた真実に続くことは,全体的により複雑で イライラさせる(nail-biting)が,最終的にはすべてうまくいく。

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Trainspotting by Irvine Welsh
トレインスポッティング/アーヴィン・ウェルシュ

The sweat wis lashing oafay Sick Boy; he wis trembling. Ah wis jist sitting thair, focusing oan the telly, tryin no tae notice the cunt. He wis bringing me doon. Ah tried tae keep ma attention oan the Jean–Claude Van Damme video.
シック・ボーイの額から,汗が滝のように流れ落ちていた;震えている。俺はひたすらテレビを見つめ,やつに気づかないふりをした。こいつにはうんざりだ。俺は,ジャン=クロード・ヴァン・ダムのビデオのことだけに注意を向けようとした。

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罵り(swearing),ヘロインの禁断症状(withdrawal symptoms),そして強烈なスコットランド訛り - 初めて見たときから,『トレインスポッティング』がどのようなものかを正確に知る。 顔を殴り,これらのページに正確に何が含まれるかを明確な言葉で教えてくれる書き出しの1つ。映画化では違う方向に進んだが,同様に良かった。

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Moby-Dick by Herman Melville
白鯨/ハーマン・メルヴィル

Call me Ishmael.
私をイシュマエルと呼びなさい。

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最初の文はわずか 3単語だが,『白鯨』は大きい:大きな魚 (ここで話しているのがマッコウクジラ(sperm whale)なので,厳密には哺乳類) を題材とした壮大な小説である。我々のナレーターであるイシュマエルは,名ばかりの(titular)鯨とその不倶戴天の敵(sworn enemy)であるエイハブ船長よりも脇役だが,途中でいくつかの哲学的な脱線(digressions)を伴いながら,物語を語るのは彼である。

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Invisible Man by Ralph Ellison
見えない人間/ラルフ・エリソン

I am an invisible man. No, I am not a spook like those who haunted Edgar Allan Poe; nor am I one of your Hollywood-movie ectoplasms. I am a man of substance, of flesh and bone, fiber and liquids – and I might even be said to possess a mind. I am invisible, understand, simply because people refuse to see me.
私は目に見えない人間だ。いや,私はエドガー・アラン・ポーにつきまとった人々のような幽霊ではない; 私はハリウッド映画の心霊体の一人でもない。私は物質,肉と骨、繊維と液体を持つ人間であり,精神を持っているとさえ言えるかもしれない。私が目に見えないのは,単に人々が私を見ることを拒否しているからと理解している。

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『見えない人間』は 20世紀の偉大な小説の 1つであり,米国黒人体験を微妙に実験的に扱った作品である。その書き出しでは,人々があなたの存在を受け入れることを拒否した場合,あなたは物理的には見えるが,社会的には見えなくなるという中心的な前提(premise)が提示されている。これらの最初の文は,その後に続く物語を反映している:ファンタジー色を帯びているが,非常に政治的である。

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Bridget Jones’s Diary by Helen Fielding
ブリジット・ジョーンズの日記/ヘレン・フィールディング

January: An Exceptionally Bad Start. Sunday 1 January. 129 lbs (but post-Christmas), alcohol units 14 (but effectively covers 2 days as 4 hours of party was on New Year), cigarettes 22, calories 5424.
1月:非常に悪いスタート。 11日 日曜日。 体重129ポンド(ただしクリスマス後),アルコール単位 14(ただし,新年はパーティー4時間だったので実質2日分),タバコ22本,カロリー 5424

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1996年,ヘレン・フィールディングは,神経質で(neurotic)独身の 30代のブリジット・ジョーンズを世界に紹介した。彼女は生活と愛における功績をひるむことなく詳細に記録している。最初の日記の書き出しで,彼女はこれからも続けようと思っていることを始める。

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The Bell Jar by Sylvia Plath
ベル・ジャー/シルヴィア・プラス

It was a queer, sultry summer, the summer they electrocuted the Rosenbergs, and I didn’t know what I was doing in New York.
奇妙で蒸し暑い夏,彼らがローゼンバーグ一家を感電死させた夏で,私はニューヨークで何をしていたのかわからなかった。

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シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』の書き出しは,うだるような(oppressive)暑さ,早すぎる死,そして目的のなさといった深い不安感を即座に引き起こす。小説が進むにつれて,この最初の文はますます意味を帯びてくる。

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Metamorphosis by Franz Kafka
変身/フランツ・カフカ

As Gregor Samsa awoke one morning from uneasy dreams he found himself transformed in his bed into a gigantic insect.
ある朝,グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさまし,自分がベッドの中で 巨大な虫に変わっていることに気付いた。

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フランツ・カフカの不穏な短編小説の最初の一行は,パロディの題材になるほどよく知られているが,文脈を踏まえて読むと,本当に心に響く。人間が虫になるという要点を的確に捉えていると同時に,適切に説明されることのない「不安な夢(uneasy dreams)」についての少しぞっとするような言及も加え,物語の不気味な(uncanny)謎の雰囲気を保っている。

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Fear and Loathing in Las Vegas by Hunter S Thompson
ラスベガスをやっつけろ/ハンター・S・トンプソン

We were somewhere around Barstow on the edge of the desert when the drugs began to take hold. I remember saying something like “I feel a bit lightheaded; maybe you should drive…” And suddenly there was a terrible roar all around us and the sky was full of what looked like huge bats, all swooping and screeching and diving around the car, which was going about a hundred miles an hour with the top down to Las Vegas. And a voice was screaming “Holy Jesus! What are these goddamn animals?”
麻薬が蔓延し始めたとき,私たちは砂漠の端にあるバーストーあたりのどこかにいた。「ちょっと頭がくらくらする;車に乗ったほうがいいかもしれない」みたいなことを言ったのを覚えている。 そして突然,私たちの周りで恐ろしい轟音が鳴り響き,空は巨大なコウモリのようなものでいっぱいになり,すべてが急降下し,金切り声を上げ,ラスベガスまでトップで 時速約100マイルで走っている車の周りに飛び込んだ。そして声が「聖なるイエスよ!このいまいましい動物は何ですか?」と叫んでいた。

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ハンター・S・トンプソンの気の狂った(gonzo)小説は,作者と同じくらい突飛な(outlandish)作品であるが,恐るべき薬物摂取の描写がトンプソン自身をモデルにしていることを考えると,何の驚きもない。これは最初の段落で紹介されたテーマである:幻覚によるコウモリが急降下し始めると,我々はとんでもない事態に陥ることがわかる。

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(転載了)
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アーヴィン・ウェルシュの『トレインスポッティング』は スコットランド訛りそのままの文章なので 翻訳不能で,文献を参考にしました。

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2024年4月 3日 (水)

“Japan’s Holocaust” が出版された。

櫻井よしこさんが そのXでー
2次大戦まで日本は3,000万人を殺害したというとんでもない大嘘を書いた本が3月に出版予定です。『Japan’s Holocaust』で,ナチスのユダヤ人大虐殺は600万人,3,000万人はなんと5倍です。あまりのでたらめさ。日本政府と日本人全員が徹底的に反論すべきです。」と書いています。
これに対して 作者 リッグ氏は-
はっきり言わせてもらうと,この櫻井という人はバカなのか。彼女はハワイ大学に通っていたということなら,英語を話せる人なので,ワシントンD.C.の国立公文書館に行って,証拠を見てくることをお勧めする。彼女は大日本帝国の犠牲者を否定する偏屈者だ。」と語り,櫻井氏と対談をしたいと申し出ている-
と伝えられています。

Amazon のこの本の広告で,その内容を次のように書いています。
(以下,拙訳します。)
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Japan's Holocaust: History of Imperial Japan's Mass Murder and Rape During World War II
「日本のホロコースト:第二次世界大戦中の大日本帝国による大量殺人と強姦の歴史」
Paperback – March 19, 2024
by Bryan Mark Rigg Ph.D. (Author), Andrew Roberts (Foreword)

001_20240401160901 「日本のホロコースト」は,1927年から 1945年の太平洋戦争およびアジア戦争中の日本の大量殺人と性犯罪を包括的に調査したものである。

「日本のホロコースト」は,5ヶ国の 18以上の研究施設で行われた研究を組み合わせて,1927年から 1945年までの大日本帝国のアジアと太平洋全域での軍拡と無謀な(reckless)作戦中の残虐行為(atrocities)を調査します。 この本は,日本がヒトラーのナチス・ドイツよりもはるかに多くの人々を虐殺して(slaughtering),少なくとも3,000万人の命を奪った(claimed)ことを確認するための,最新の学問と新しい一次研究をまとめたものである。

「日本のホロコースト」は,裕仁天皇が軍団(legions)が犯した残虐行為を知っていただけでなく,実際に彼らに命令したことを示している。南京レイプ(the Rape of Nanking)や他の多くの事件で示されたように,彼らが最も堕落した(depraved)人間の想像の域を超えたとき,彼は彼らを止めるために何もしなかった。「日本のホロコースト」は,南京レイプがアジア戦争中の独立した出来事ではなく,むしろ1927年から1945年までのアジアと太平洋におけるすべての作戦において日本がどのように行動したかを代表するものであったことを,痛ましく詳細に(painful detail)記録する。

この時期,大量殺人(mass murder),強姦,経済搾取(economic exploitation)が日本の手口(modus operandi)であり,ヒトラーの親衛隊 ‘Death’s Head outfits’(頭蓋骨服)がその残虐行為を隠蔽しようとしたのに対し,裕仁の軍団はその残虐行為を大々的に熱狂的に(fanfare and enthusiasm)公然と行った。 さらに,ドイツは第二次世界大戦後,自らの犯罪を償い(atone),その記録を残すために多くのことを行ってきたのに対し,日本は犯罪に対する賠償(reparations)と戦時中の過去について国民に教育する努力において全く恥ずべきこと(disgraceful)を行ってきた。 驚くべきことに(shockingly,日本は概して犯罪者と戦時中の過去を美化(glorify)し続けている。

About the author
ABOUT BRYAN

002_20240401160801 ブライアン・マーク・リッグは『ヒトラーのユダヤ人兵士(Hitler’s Jewish Soldiers)』の著者であり,この作品は軍事史部門でウィリアム・E・コルビー賞(the William E. Colby Award)を受賞し,NBC-TVの‘Dateline’ で特集され,11カ国語に翻訳されている。彼はまた,『ヒトラーのユダヤ人兵士の生涯: 第三帝国のために戦ったユダヤ系男性の語られない物語(Hitler’s Jewish Soldiers: Untold Tales of Men of Jewish Descent Who Fought for the Third Reich)』と『ヒトラーの兵士に救われたラビ(The Rabbi Saved by Hitler's Soldiers)』の著者でもある。

(転載了)
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By Wikipedia

ブライアン・マーク・リッグ(1971316日生)は,米国の作家,軍事史家,講演者。
イェール大学で歴史学の学士号を取得,ケンブリッジ大学の大学院で1997年に修士号を,2002年に博士号を取得している。米海兵隊で士官としての勤務した経験もある元軍人。
(略)
リッグ氏は著作に加えて,米国陸軍大学,南メソジスト大学,ウェスト・ポイントの陸軍士官学校など,いくつかの大学で歴史学の教授としても働いている。彼は,CNNNPR,ニューヨーク・タイムズなどのさまざまなメディアに頻繁に寄稿してきた。
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広島と長崎の原子爆弾による死者は 合計 約21万人で,多くは非戦闘員です。
3,000
万人に較べれば 大したことはない,ということでしょう。

日本語版の出版は未定のようですが,現代の日本人は この本(に書かれたこと)をどのように評価すべきでしょうか。
事実が証明された資料に基づく反論が期待されます。

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2024年2月26日 (月)

“AMETORA” という本の名前は “American Traditional” から-

「メンズウェア」と「テーラリング」に関する真相を伝えるサイトSamTalksStyle
REVIEWED – AMETORA: HOW JAPAN SAVED AMERICAN STYLE, BY W. DAVID MARX
「書評AMETORA: 日本はいかにしてアメリカン・スタイルを救ったか,W. デヴィッド・マークス著」
というタイトルの記事がありました。

下記,拙訳・転載します。
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One of the best clothing related reads I’ve had this year.
今年読んだ衣料品関連の読書の中で最高のものの 1 つ。

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 特定のスタイルの称賛と,鋭く(incisive)正確な(accurate)歴史をうまく融合させた本に出会うことはまれである。
通常,どちらか一方のみ得る。
前者は 手に負えず(unwieldy)コーヒー・テーブルの本として終わることが多く,後者は退屈(dull)で陰鬱な(dreary)結果になることがよくある。
AMETORA’ はどちらの結末(fates)にも遭わない。

マルクスは ‘AMETORAの物語を第二次世界大戦後,日本のアイビー・スタイル・ムーブメントがどのように始まったかの歴史を,今はなき ‘VAN Jacketや ‘MEN’S CLUBなどの雑誌に関わった人々のレンズを通して語る。

日本のこのムーブメントの指導者たちが,米国人がそれを採用した方法とは逆の方法で,どのようにしてこのスタイルを広めなければならなかったのかを発見するのは,非常に興味深いものだった。
日本では,それは厳格なルールに基づいて教えられなければならず,米国人は単純に規則の評判の悪い(louche)拒否としてそれを行った。

表紙とタイトルから,特にアイビーに焦点を当てていることがわかるが,すぐにこの本が単なる日本のアイビー・スタイル以上のものを網羅している(encompasses)ことがわかった。
その代わりに,マルクスは日本のアイビーの物語を出発点として,日本のファッションがどのようにしてさらに大きくなったのかを語る。 

ストーリーの残りの部分をネタバレするつもりはないが,取り上げられている他のトピックの概要をいくつか説明しよう:

日本のデニムはいかにして米国の模倣から世界で最も評価されるデニムになったのか
ロックンロール?
この国がどのようにしてコム・デ・ギャルソンや高田賢三などのオール・スター・デザイナーズ・ハウスを輩出するホットスポットになったのか
日本がストリートウェアの中心地(hub)となった経緯 

マルクスの文体と流れはよく考えられており,ストーリーはテンポよく,全体を通して魅力的である。そう,このファッション史はページをめくるようなものなのだ。
200ページを少し超えるくらいで,かなり多くの情報がかなり短い中に詰め込まれている。 

物語は数十年に及び,最後のページでは現在の日本(この本の場合は2015年)のファッションの立ち位置についてコメントしている。

あらゆる時代の素晴らしい写真がいくつか含まれているが,この本がコーヒー・テーブル・ブックになるのではなく,小さな物理的なサイズで出版されたことをうれしく思う。
寝る前に本を読むのが好きな私としては,ベッドで寝ながら読めるのが嬉しい。このジャンルのほとんどの本では,このような贅沢はできない。

この本のプレゼンテーション,編集,物理的な在庫はしっかりしている。表紙は古い本を彷彿とさせる質感があり,良い感じだ。ページの状態は良好で,最も重要なことは,スペルや文法の間違いがどこにも見つからないことである。

AMETORA” には何の欠点も見つからなかった。
素晴らしい本で,一読の価値がある。

(転載了)
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この本の紹介サイトに書かれている文が下記です:

日本と米国のスタイルの相互作用(cross pollination),ヴィンテージ,デニム,アイビー,ロッカー,ミリテリアについてすべてを知りたい人のための完全なオタク・バイブル(nerd bible)。それに加えて,そのすべてを支えている人々,デザイナー,ショップ,メーカー。 『ポパイ』や『メンズ・ファイル』と一緒にぜひお持ちください。 本書は新しいあとがきを加えた新装版である。

 「最近の典型的な『アメリカン』の衣料品をよく見てみると,中に日本のラベルがあることに驚くかもしれない。高級デニムからオックスフォードのボタン・ダウンに至るまで,日本人デザイナーは「アメトラ」,または「アメリカン・トラディショナル」として知られる古典的な米国のスタイルを取り入れている。-そしてそれをユニクロ,鎌倉シャツ,エビス(Evisu),キャピタル(Kapital)などの企業にとって巨大なビジネスに変えた。

この現象は,日本と米国のファッションの間の長い対話の一部であり,実際,現代米国のワードローブの基本的なアイテムや伝統の多くは,米国のファッションを儀式化して(ritualized)保存してきた日本の消費者とファッション専門家(cognoscente)の管理(stewardship)のおかげで,今日も健在である。

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『アメトラ』では,文化史家の W. デヴィッド・マークスが,過去 150年にわたる日本人のアメリカ・ファッションの同化を追跡し,日本の流行の仕掛け人(trendsetters)や起業家がどのようにして米国のスタイルを模倣し,適応し,輸入し,最終的に完成させ,その過程で日本の文化だけでなく,私たち自身のものである文化を劇的に再形成したかを示している。」

(転載了)
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2024年1月14日 (日)

映画「遠い夜明け」のベースになった,伝記 “BIKO”。

先日,NHK BSで 映画『遠い夜明け』(Cry Freedom1987)を観ました。

この映画の基になったのが,南アフリカ共和国の有力紙デイリー・ディスパッチ紙の白人記者だったドナルド・ウッズ(Donald Woods)が英国に亡命して書いた,警察に拘留中に死んだ黒人解放活動家 スティーヴ・ビコ(Steve Biko)の伝記 “BIKO” です。

英文 Wikipedia で この伝記 “BIKO”に関する記述を読みました。

下記,拙訳・転載します。
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001_20240111181201BIKO

Author Donald Woods
Country United Kingdom
Language English
Genre  Biography
PublisherPaddington Press
Publication date1978
Media typePrint
Pages436

『ビコ』は,黒人意識運動(BCMBlack Consciousness Movement)の指導者で反アパルトヘイト(anti-apartheid)活動家のスティーブ・ビコ(Steve Biko)の伝記である。この本は,ビコの個人的な友人であるリベラルな南アフリカの白人ジャーナリスト,ドナルド・ウッズによって書かれた。ドナルド・ウッズはビコの死に関する真実を暴露しようとしたため,追放を余儀なくされた。これが1987年の映画『遠い夜明け(Cry Freedom』のインスピレーションとなった。

Summary/あらすじ

『ビコ』は,南アフリカの反アパルトヘイト活動家スティーブ・ビコの人生を,彼の友人ドナルド・ウッズの視点から取り上げている。この本は南アフリカの白人政府とアパルトヘイト制度にも批判的である。 黒人への虐待や警察がよく行う残虐行為(brutality)を攻撃している。

History/過程

ビコは1977912日に警察の拘留(custody)中に死亡した。警察の公式報告書には,ハンストの結果死亡したと記載されている。しかし,南アフリカのジャーナリスト,ウッズは,最初に遺体を見て,ビコが撲殺された(beaten to death)と確信した。ウッズはビコの遺体の写真を撮らせ,彼の新聞『デイリー・ディスパッチ(the Daily Dispatch)』に掲載させた。ウッズはビコの死を調査しようとして政府の標的となり,命からがらの逃亡(flee)を余儀なくされた。 彼は英国に亡命し,そこでアパルトヘイトに反対する運動を行い,ビコに関する記事を公表した。

Cry Freedom/遠い夜明け

リチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)監督の映画『遠い夜明け(Cry Freedom)』は,『ビコ』やウッズが書いた他の記事に基づいている。デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)がビコを,ケビン・クライン(Kevin Kline)がウッズを演じる。この映画の上映は南アフリカで禁止されなかったが,警察はそのコピーを押収し(confiscated),上映中の劇場は爆破された。

(転載了)
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不勉強ながら “BIKO” も 「遠い夜明け」も知りませんでした。

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2024年1月 1日 (月)

「ニューヨーク・タイムズ」 と 「ニューヨーカー」 に ‘Best Books of 2023’ に選ばれた ノンフィクション “Judgment at Tokyo”

000_20231226162101The New York Times’ と ‘The NEW YORKER’ が発表した “The Best Books of 2023” に ノンフィクション “Judgment at Tokyo” がありました。

著者 Gary J. BassWikipedia は次のように紹介しています。

「ゲイリー・ジョナサン・バス(Gary Jonathan Bass)は米国の作家,学者。プリンストン大学公共国際問題大学院(the Princeton School of Public and International Affairs)の政治と国際関係(politics and international relations)の教授。ハーバード大学を卒業し,学士号(BA)と博士号(PhD.)を取得。 生年月日:1969722日」

下記に 両紙の この本に関する記述を 拙訳・転載します。
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The New York TimesBest Books of 2023

How the World Once Handled War Crimes
「かつて世界は戦争犯罪にどう対処したか」

政治学者ゲイリー・J・バスは『東京裁判』(Judgment at Tokyo)の中で,第二次世界大戦後の,日本軍の残虐行為(atrocities)に対する訴追(prosecution)を検証し,国際法の真の有効性(efficacy)を主張している(makes the case for)。

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By Thomas Meaney(トーマス・ミーニー)
Thomas Meaney is the editor of Granta.
(グランタ(文芸雑誌兼出版社)の編集者。ウォール街占拠運動の開始に貢献した活動家,学者。)
Oct. 21, 2023

JUDGMENT AT TOKYO: World War II on Trial and the Making of Modern Asia,  by Gary J. Bass
東京裁判: 第二次世界大戦の裁判と近代アジアの形成』ゲイリー・J・バス著

焦土攻撃(scorched-earth ground offensives)や病院爆撃(bombed-out hospitals)の時代において,政府が犯す(perpetrated)残虐行為(bombed-out hospitals)を処罰する見通しは 特に遠い(distant)ように思われる。しかし,恒久的な平和を実現するための国際条約や裁判所(tribunals)の可能性を賛美する最近の高く評価された(acclaimed)本に基づいて,別の考えを抱くのも無理はない。外交的な抜け目のない駆け引き(horse-trading)に懐疑的な西側リベラル派の主要な(prominent)一部は,公正な世界という理想を実現する(enact)ための最も有望な(promising)手段として国際法を支持している(champion)。

この動き(pageant)に,プリンストン大学政治学教授ゲイリー・J・バスによる、第二次世界大戦後の日本の戦争犯罪の訴追(prosecution)をスッキリと(elegantly)まとめた総合的な論考「東京裁判(Judgment at Tokyo)」が加わる。バス氏は自身のキャリアの多くを戦争犯罪裁判の研究に捧げており,これが紛争を締めくくる(cap)最も悪くない方法だと示唆している。1990年代,若い記者として,彼はユーゴスラビアで犯された戦争犯罪を調査する国際裁判の取材に最初に取り組んだ(cut his teeth covering)。彼は米国権力の絶頂期に形成された人権派の党派の出身で,「ルールに基づいた(rules-based)」世界秩序は西側諸国の利益にとってベール(veil)以上のものになり得ると主張する。

バス氏は新著の中で,米国の優位性のもう一つの絶頂期(high-water mark):つまり米国が連合国を率いて敗戦したドイツと日本との和平条件をまとめた1940年代後半に回帰する。ニュルンベルク裁判でのナチス戦争犯罪の訴追は,西側諸国の心象の中では今でも成功として捉えられているが,東京裁判は西側諸国ではほとんど忘れられているが,世界のさらに多くの政府が関与し,より分裂的な遺産を残した。

戦後秩序の主要な関心はすべて法廷に集中した:米国,オーストラリア,カナダ,ニュージーランド,英国,フランス,オランダ,ソ連,インド,中国,フィリピンから裁判官が来日した。「東京裁判は政治的な出来事だった」とバスは書いている。「これはアジアの植民地時代の過去の尺度(measure)であり,冷戦時代の未来の前触れ(prelude)だった。」

(以下 略)

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The NEW YORKERTHE BEST BOOKS OF 2023

Judgment at Tokyo
by Gary J. Bass (Knopf)
Nonfiction

極東国際軍事裁判(the International Military Tribunal for the Far East)は正式には東京裁判(the Tokyo trial)と呼ばれ,ニュルンベルク裁判よりも長く続き,はるかに規模が大きかった。 ゲイリー・J・バスがその徹底的で(exhaustive)魅力的な本の中で,この裁判は現代のアジアに展開し続ける深刻な結果をもたらしたと指摘している。何人かの日本の首相は,連合国の宣伝機関員(propagandists)とそれをオウム返しに従う日本の左翼が,日本に過去の「自虐的な(masochistic)」見解を押し付け,日本が侵略戦争(aggressive war)を遂行し,他国よりひどい残虐行為を行ったとして不当に非難していると信じてきた。

バス氏は,この裁判を植民地主義(colonialism),人種問題に対する態度,冷戦,植民地後のアジアの政治という文脈にしっかりと位置づけ,「東京裁判版の歴史(Tokyo-trial version of history)」に関する日本の未解決の問題が今日,この国の最大のジレンマの核心に至っていると主張する。

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翻訳本はまだ出てないようです。原書で読む元気はありません。

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2023年11月17日 (金)

40年近く前の日本のファッション本を米国のサイトが-

米国のサイト‘IVY STYLE THE CLASSICS ARE FOR EVERYONE 1983年に講談社が発行した,くろす・としゆき著「アイビー・スーパー雑学事典」について書いていました。

下記,拙訳・転載します。
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SEPTEMBER 23, 2019付け
Devil In The Details: Japanese Ivy Dictionary
「細部に潜む悪魔: 日本のアイビー事典」

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古典的なアメリカーナに関して,日本人は細心の注意を払って(meticulous)研究し,少なくともほとんどの場合,細部にこだわる(sticklers)。

「エスクァイア(Esquire)」のファッション・ディレクターであるニック・サリバン(Nick Sullivan)が,彼のスタイル・ライブラリーに加えた最新の本を貸してくれた。それは,くろす・としゆき (東京在住の男性によれば,ブランド VAN と関係があるとのこと) による 1983年の『アイビー図鑑(The Ivy Pictorial Dictionary)』である。

このイラスト入りのポケット・ブック(pocket tome)はいくつかの理由で興味深い。 まず、この事典は「アイビー」事典と呼ばれているが,ハーレー・ダビッドソン,ジャック・ダニエル,ユニオン・パシフィック鉄道など,古典的なものやアメリカのものなら何でもリストに含まれている。文字 “I” の項には,この本には「アイビー・リーグ・モデル」のスーツが掲載されており,何がスーツをアイビーたらしめているかが詳細に説明されており,3つボタンが模範的な(exemplary)アイビー・モデルであり,3つボタン中1つがけ(3/2) ではないと述べている。

友人がこの一節を翻訳して,次のように示してくれた:

++++++

我々が「アイビー」と呼んでいる服は,正確には「アイビー・リーグ・モデル」と呼ばれている。あちらでは「アイビー」というとアイビー・リーグの大学を思い浮かべるかもしれないん。 気をつけて。

自然な肩(natural shoulder),間隔の広い3つのボタン(上の2つのボタンのみ使用),袖とポケットの周りのステッチ,フック・ベントなど,いくつかの特徴がある。 スラックスはプリーツ無し(plain front)で,ベルト・ループとバック・ストラップが付いており,シルエットはストーブ・パイプ(stove-pipe)である。これらは必須の(the must-have)特性である。

ばかげた話だが,若い頃は,これらすべてのディテイルを覚えている自分をとても誇りに思っていた。

+++++++++++

明らかに日本人は,アイビー・スタイルに関しては厳格な完璧主義者で,ヴィンテージ・スタイルを丹念に(painstakingly)再現するが,一転して,「アイビー 東京」という曲のように,「アイビー」という用語を非常に大雑把に(loosely)使用する。この歌手(*管理者注:三田明)はフック・ベントや重ね縫いについて歌っていると思うかもしれないが,この曲は実際は女の子を追いかけることについて歌っている。

Men’s fashion wouldn’t exactly make a cool subject for a song,” said my friend. — CC
「メンズ・ファッションは,曲のクールな題材にはならない。」友人は言った。CC

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(転載了)
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米国人と日本人のファッションへの感覚に開きがあるようです。

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2023年6月12日 (月)

トム・ハンクスは小説家でもある。

USA TODAY’,May 9. 2023付けに
You know Tom Hanks the actor. Now meet the gifted novelist with sparkling wit.
「トム・ハンクスという俳優をご存知か? さて,機知に富んだ天才小説家を紹介しよう。」
という見出し記事がありました。
*トム・ハンクス(‘Thomas Jeffrey "Tom" Hanks, 1956~ )

下記,拙訳・転載します。

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格言(adage)にあるように,「知っていることを書け。」 トム・ハンクスが知っていることが一つあるとすれば,それは映画である。オスカー賞を2度受賞したA級(A-list)俳優のキャリアは40年に及び,『プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)』や『トイ・ストーリー(Toy Story)』といった互いに異なる大作映画に主演するなど,映画の詰め物(the cinematic sausage)がどのように作られるのかを知っている。

そして,この俳優の最初の小説『もう一つの主要な映画傑作のメイキング(The Making of Another Major Motion Picture Masterpiece)』(クノップ,448ページ,4つ星中★★★,現在発売中)は,400ページ以上にわたって,ソース素材の開始から,撮影計画作成の苦しみ,そしてポスト・プロダクションの細部重視の退屈な作業までの映画の製作が書かれ,正確なタイトルが示されている(charts)。

当社のリンクを通じて購入すると,当社および当社の出版パートナーに手数料が発生する場合がある。

"The Making of Another Major Motion Picture Masterpiece" at Amazon for $27
"The Making of Another Major Motion Picture Masterpiece" at Bookshop for $30

ハンクスは「キャストのすべての俳優とスタッフのすべてのメンバーに」とこの小説を捧げ,多感な子供の頃、疎遠だった(estranged)第二次世界大戦退役軍人の叔父との出会いによってその影響を強く受けたアーティストが描いた,この時代のインディーズ・コミックのベトナム戦争からインスピレーションを得たマーベルのようなスーパーヒーロー大作の製作についての説明の中で,映画スターの神秘的雰囲気(mystique)を惜しみなく払拭している(dispels)。 ハンクスの物語の主役は,まあ,スターではない。 輝く白い歯,割れた腹筋,メガ・ワット映画スターや10億ドルの大ヒット作のデザイナーズ・アパレルの陰には,ホテルのレセプション・デスクからハリウッドのプロデューサー・チェアへ彼女を昇進させたアリシア・アル・マクティア(Allicia “Al” Mac-Teer)のような粘り強く忍耐強い専門家たちがいる。あるいは,Uber のような会社のギグ・ドライバーであるイネス・ゴンザレス・クルーズさんは,時間厳守と問題解決スキルにより運転手(chauffeur)から協力者に昇格した。

見逃せない5冊:トム・ハンクスの「映画傑作(Motion Picture Masterpiece)」,アンディ・コーエンの「ダディ・ダイアリーズ」

ハンクスは,驚くべきことではないが,キャラクターを創造するのが得意である。

ハンクスのペンは、映画の機械を動かし続ける作家,運転手,コーヒー入れ(coffee-fetchers),問題解決者たちの愛に満ちた裏話を描き出すので,仲間(crewmember)の誰もが目を離すことはできない。“The Making of Another Major Motion Picture Masterpieceは,映画愛好家による,映画愛好家のための本で,監督の解説をオンにして DVD を観たことがある人なら誰でも楽しめる本である。この本には映画制作の専門用語や事実(factoids)が満載である(riddled)。 SPFX が「スペシャル・エフェクト」の略であること,または EPK が ‘electronic press kit’(電子プレス・キット)であることをご存知か?

ハンクスは,テキストの定義,説明,映画史への転用(「カサブランカ」製作に関する思い出に残る逸話(anecdote)を含む)を脚注でわかりやすく解説している。

ページ上のライターは,スクリーン上の俳優によく似ている:愛想がよく(affable),気さくな性格。

2017年の短篇集『変わったタイプ(Uncommon Type)』も執筆したハンクスは,輝かしいウィットと他の人間に対する生来の(innate)好奇心を備えた才能ある作家である(結局のところ,彼はスクリーン上で彼らを演じている)。彼の本は,いつ発売されても楽しい内容だっただろうが,全米脚本家組合(the Writers Guild of America)の組合員が労働条件の改善とストリーミング時代のより公平な賃金を求めて闘う中,作家のストライキでハリウッドが機能不全に陥ってからちょうど1週間が経った今,この本は特に反響(resonance)を呼んでいる。ハンクスの本は,映画は自分自身を作るものではなく,特定の一人の人物,特にスターではなく,クレジットの全員に値することを思い出させるために必要な本だ。

「誰もが一生懸命働いている」とハンクスは書いている。「誰もが映画で最も重要な仕事を持っている。」

(転載了)
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一つの文章が長く 訳に自信がありません。原文の確認をー。

GQ-UK’,June 22023 付けの “The best books of 2023 (so far)” で “The Making of Another Major Motion Picture Masterpiece” が紹介されていました。

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2023年4月10日 (月)

アガサ・クリスティの小説改訂版で原文が修正されている。

The Telegraph’ 電子版,Mar.30,2023付けで
Agatha Christie thrillers lose their teeth
「アガサ・クリスティのスリラーがその歯を失う」
の見出し記事がありました。

下記,拙訳・転載します。
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Passages rehashed to suit modern sensitivities
現代の感性に合わせて再書き直しされた一節

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アガサ・クリスティの小説が現代の感性に合わせて書き直されている,と ‘The Sunday Telegraph’ が明らかにしている。
ポワロとミス・マープルのミステリーで,「ハーパー・コリンズ(HarperCollins)」が発行する新版のために元の文章が作り直されるか,完全に削除された。子供たちのグループに不満をぶつけている英国人観光客のキャラクターは,最近の再発行から削除された。笑顔の人々への言及,および彼らの歯と体格に関するコメントも,新しいバージョンから削除された。

史上最も成功した小説家であり,販売部数でシェイクスピアに次いで 2番目のクリスティは,ロアルド・ダール(Roald Dahl)とイアン・フレミング(Ian Fleming)に続き,古典的な作品が現代の出版社によって死後に(posthumously)編集される最新の作家になった。

クリスティの作品の新版は、ハーパー・コリンズによってリリースされる予定であるか,2020年以降にリリースされた。‘The Telegraph’ が見た新版のデジタル版には,1920年から 1976年までに書かれたさまざまなテキストへの多数の(scores of)変更が含まれており,特にクリスティの主人公(protagonists)が英国外で出会う登場人物について,説明,侮辱,または民族性への言及を含む多数の文章の記述が削除されている。

多くの場合,ミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)またはエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)の内面の独白(monologue)を通して,著者自身のナレーションが変更されている。ミステリー内でしばしば冷淡な登場人物が発する台詞の一部もカットされている。

1937 年の小説「ナイル殺人事件(Death on the Nile)」で,アラートン夫人のキャラクターは,子供たちのグループが彼女を悩ませている(pestering)と不平を言い,次のように述べている。「彼らは戻ってきて,じっと見つめる。彼らの目にはただ嫌悪感を覚え,鼻もそうだ。私が本当に子供が好きだとは思えない。(they come back and stare, and stare, and their eyes are simply disgusting, and so are their noses, and I don’t believe I really like children.)」。

これは新版では削られ,次のように述べられている:「彼らは戻ってきて,じっと見つめる。 そして,私が本当に子供を好きだとは思えない。(They come back and stare, and stare. And I don’t believe I really like children.)」 語彙も変更され、「オリエンタル」という用語が削除された。

物語の他の描写も,場合によっては変更されており,オリジナルでは 事件について黙っていることを理解しているためニヤリ(grinning)とすると記述されていた1人の黒人の使用人は,現在は黒人でも笑顔でもなく,単に「うなずいている(nodding)」と記述されている。

1964年のミス・マープルの小説「カリブ海の秘密(A Caribbean Mystery)」の新版では,彼女に微笑んでいる西インドのホテル従業員が「とても素敵な白い歯(such lovely white teeth)」を持っていると,アマチュア探偵は黙って考えていたが,「美しい歯(beautiful teeth)」への同様の言及とともに削除された。

同じ本は,著名な女性キャラクターを「彫刻家が享受したであろう黒い大理石の胴体(a torso of black marble such as a sculptor would have enjoyed)」を持っていると記述しているが,これは編集版には見られない。他の記述も変更され,ヌビア人 (Nubian people,何千年もの間エジプトに住んでいた民族グループ) への言及が「ナイル殺人事件」から多くの場合 削除され,その結果,「ヌビアの船頭(the Nubian boatman)」は単に「船頭(the boatman)」になっている。

クリスティの 1920年のデビュー小説である「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affair at Styles)」の対話は変更され,ポワロはかつて別の登場人物を「もちろんユダヤ人(a Jew, of course)」と述べていたが,現在はそのようなコメントはしてない。

同じ本で,「ジプシー・タイプ(of gypsy type )」であると説明された若い女性は,現在は単に「若い女性」であり,ジプシーへの他の言及は文章から削除されている。

1979年の短編集,‘Miss Marple's Final Cases’ には,怒って朝食を要求するインド人裁判官のキャラクターが含まれている。元の文章は「彼のインドの気性(his Indian temper)」と述べているが,「彼の気性(his temper)」というフレーズに変更されている。「ネイティブ(natives)」への言及も削除されるか,「ローカル(local)」という言葉に置き換えられた。

改訂された本全体で,人種の記述が変更または削除された。これには,ホテルの部屋に向かって歩いているときに,夜の茂みの中で黒人女性を見ることができなかった「カリブ海の秘密」の一節全体が含まれる。
n-----” という言葉は,クリスティの散文(prose)と彼女の登場人物が話す会話の両方で,改訂版から削除されている。

彼女の小説「Final Cases」と「スリーピング・マーダー(Sleeping Murder)」にも変更が加えられている。 クリスティの作品が変更されたのはこれが初めてではない。 彼女の 1939 年の小説「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」は,人種差別用語(racist term)を含む別のタイトルで以前に出版された。

The Sunday Telegraph, London

(転載了)
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n-----は “negro” でしょうが,新聞に表示することすら避けることになっていることに驚きました。
このような原作の修正に対して 批判,反対の声もあるようです。

代表作である 「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」は 発行して,すぐに改題された歴史があるようでー 英文WikipediaAnd Then There Were None” には次のように書かれています。

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It was first published in the United Kingdom by the Collins Crime Club on 6 November 1939, as Ten Little Niggers, after the children's counting rhyme and minstrel song, which serves as a major plot element.
1939年11月6日に ‘the Collins Crime Club’ によって「10人の小さなニガー(Ten Little Niggers)」として イギリスで最初に刊行された-このタイトルは子供たちの数を数える韻とミンストレルの歌の後,主要なプロット要素として機能した。

The US edition was released in January 1940 with the title And Then There Were None, taken from the last five words of the song.
米国版は 1940年1月に 歌の最後の5語から取られた “And Then There Were None” というタイトルで発行された。

Successive American reprints and adaptations use that title, though Pocket Books paperbacks used the title Ten Little Indians between 1964 and 1986. UK editions continued to use the original title until 1985.
1964年から1986年の間,‘Pocket Books’ のペーパーバックは ‘Ten Little Indians’ というタイトルを使用していたが,米国の連続した再版と改作はそのタイトルを使用している。英国版は1985年まで元のタイトルを使用し続けた。

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日本語訳は 1939年に雑誌 『スタア』で 清水俊二が 「死人島」として連載したのが初出で,19556月に早川書房から 『そして誰もいなくなった』 として刊行されたようです。

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