最近は あまり見かけなくなりましたが,一時は 新幹線の荷物棚に ルイ・ヴィトンのダッフル・バッグが載ってないことは ほぼありませんでした,2,30年前のことです。
ダッフル・バッグは それほど頻繁には見かけなくなりましたが,デパートの1階には ルイ・ヴィトンの店が必ず(?)存在し,その人気は存続しているようです。
‘Gentleman’s Gazette’ のサイト,November 7, 2019 付けに-
“Louis Vuitton Duffle Bag: Is It Worth It? – Luxury LV Keepall Bag Review”
「Louis Vuittonダッフル・バッグ:それだけの価値はあるだろうか?-ラグジュアリー LVキーポル・バッグ 考察」
- の見出し記事がありました。
興味深い分析をしているので,下記,拙訳・転載します。
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ルイ・ヴィトンは,今日の世界で最も価値があり,認知されているファッション&ラグジュアリー・ブランドの1つである。彼らには長く革新的で,時には物議を醸す歴史があり,今日のほとんどの人は,製品全体に貼られている(plastered)LVモノグラム・ロゴのブランドを知っている。しかし,当該の製品(そして,特にそれらのキャリーオール・ダッフル・バッグ)にあなたのお金に見合う価値があるだろうか?
現在,主流の消費者でさえルイ・ヴィトンのアイテムを望んでいるという事実にもかかわらず,それはファッションの素晴らしいステータス・シンボルとして残っている。それ故,彼らの製品はかなり偽造されている(counterfeited)ため,本物の製品であることを保証するために,我々は地元のルイ・ヴィトン店で「キーポル・バンドリエール 55( Keepall BANDOULIÈRE 55)」を購入した。
バッグ自体の話に入る前に,ここに会社とその創設者の歴史を示す。
A Brief History of Louis Vuitton
ルイ・ヴィトンの簡単な歴史
ルイ・ヴィトンは注目に値する人物だった。彼は継母に敵対し,1835年にフランスの小さなスイス国境の町を離れ,次の2年間でパリに向かった。パリの別のトランク・メーカーに17年間見習い(apprenticing)をした後,1854年にようやく自分の店をオープンした。その時までに,彼は王室の顧客にもサービスを提供していた。
当時,旅行したのは金持ちだけであり,スタッフもいたので,彼らが運ぶ荷物は巨大なトランクで構成されていた。ヴィトン氏は,以前のドーム型または丸型のものよりも簡単に積み重ねることができる(stackable)フラット・トップ・トランクを作成することを着想した。彼はまた,キャンバスとレザーを試した結果,トランクが軽量になった。そのレベルの革新のために,ヴィトンのトランクは大きな商業的成功を収めた。残念ながら,1870年に,ヴィトン・アトリエは(パリの他の地域とともに)普仏戦争(the Franco-Prussian War)中に破壊された。
事業の再建に成功した後,彼は特徴的な鮮やかな赤とベージュのストライプ,そしてルイ・ヴィトンのトランクの特徴のいくつかとなったブラウンとベージュのストライプを備えた新しいトランクのラインを立ち上げた。振り返ってみると,それは彼の製品の模倣者と戦うための初期の試みだった。
(1880年頃のブラウンとベージュのストライプのヴィトン・トランク)
競争力を維持するために,ヴィトンは革新を続けた。
1886年に,彼はハリー・フーディーニ(Harry Houdini:奇術師,脱出王)でさえ逃げることができないほど効果的な2つのスプリング・バックルを備えたロック・システムを開発した。
1888年までに,ヴィトンの事業は多くの模倣者に苦しめられたため,彼はダミエ・キャンバス(Damier canvas)と呼ばれる市松模様のキャンバスを思いついた。これは現在も存在している。
1896年,息子のジョルジュは四葉と花で “LV” 模様のキャンバスを作成した。これは偽造を防ぐためのもう1つの試みであり,同じパターンが今日検討している「キーポル」にも当てはまる。
1900年までにヴィトンは約100人の従業員に拡大したため,少なくともある程度は機能していたようである。しかし,ヴィトンが最初のキーポル・バッグを発表するのに1930年までかかった。
第二次世界大戦中,会社(当時はルイの孫であるガストン・ルイ・ヴィトンが経営)は,ビシー政府(Vichy France)のナチス政権との協力を余儀なくされた。彼らはフィリップ・ペタン元帥が運営する傀儡政権(puppet government)を積極的に支援し,ドイツ人のために働くことで自分たちを豊かにした。ヴィトンは,ペタン元帥の胸像を作るための工場さえ設立した。
1959年に早送りすると,人々の移動方法が変わり,ルイ・ヴィトンの製品群に小さな革製品が導入された。
1987年,ルイ・ヴィトンはシャンパン・ブランドのモエエ・シャンドン,コニャック・ブランドのヘネシーと合併し,今日ではLVMH(または ‘Louis Vuitton, Moët, Hennessy’)として知られる大規模な高級コングロマリットを設立した。最近では,コングロマリットの年間収益は約500億ドルに上り,ルイ・ヴィトンは,スニーカー,時計,皮革製品,アクセサリーなどを含む衣料品を製造するファッション性の高いブランドである。フランス,ドイツ,イタリア,スペイン,アメリカに工場を持っているようで、低コスト国には外注していない。ヴィトンは世界で12番目に価値のある高級ブランドとして評価されており,非常に収益性が高い。
What Do We Think About The Louis Vuitton Keepall BANDOULIÈRE 55?
ルイ・ヴィトン キーポル・バンドリエール 55について 我々はどう思うか?
歴史について少し知ったところで,今度は「ルイ・ヴィトン キーポル・バンドリエール 55」の詳細なレビューを行う。我々は茶色のモノグラムキャンバスと未染色の牛革レザーのアクセントのクラシックなカラー・コンビネーションを選んだ。基本的に,ショルダー・ストラップなしでバッグを購入することもできるが,その場合は単にキーポル55になる。追加のショルダーストラップ(価格 400ドル)で バンドリエール(BANDOULIÈRE)になる。
Handles
ハンドル
率直に言って,バッグの革のハンドルは非常に小さいので,ショルダー・ストラップがないと,バッグの使用は非常に制限される:肩にかけることすらできない。米国では,ストラップ付きで,税抜きで1,820ドル(またはショルダー・ストラップなしで1,420ドル)で販売されている。税金を追加すると,それぞれ 1500ドル以上または2000ドル近くになる。革製のショルダー・ストラップに400ドルかかるのは間違いなく高価だが,正直なところ,それがないと,役に立たない。
Material
材質
もちろん,我々がバッグを購入する前に,我々はいくつかの調査を行ったが,ヴィトンのウェブサイトは,バッグ,材料の起源,またはそれがどのように作られているかについて,哀れなほど(pathetically)ほとんど情報を提供していない。ほとんどの人にとって不確実な最大のポイントは,バッグが革でできているかキャンバスでできているかである:多くの人が,このルイ・ヴィトン キーポルはロゴ・キャンバスの下が革のような質感があるため,革でできていると考えている。しかし,ウェブサイトでは,彼らはそれを革ではなくキャンバスと呼んでいるので,彼らはそれについてだまそう(deceptive)とはしてない。
(キーポルの内部)
本質的に,それはポリ塩化ビニール(polyvinyl chloride)の略でビニールとしても知られているPVCでコーティングされた未知の生地である。これは世界で最も広く生産されているプラスチック・ポリマーであり,非常に安価な材料である。そのため,PVC部品全体が彼らのウェブサイトで売り込む,または宣伝されていないのは驚きではなかった。裏地を見ると綿のようだが,ナイロンやポリエステル綿の混紡の場合もある。それを解明する(figure out)唯一の現実的な方法は,それを研究室に送るか,おそらく燃焼試験を行うことだが,我々はそうすることを控えた。
結局のところ,このような安価な素材を見つけて,これほど高価なバッグに対しては少しがっかりした。
素材は非常に軽量で旅行に最適だが,「詐欺(con)」リストははるかに長くなります。まず 第一に,それは革よりもはるかに耐久性が低く,表面の艶はきれいに成長しない。一般的に,PVCは非常にありきたりの(pedestrian)の素材であり,安価なバッグやキッチン・タイルの代替品として使用される。
現在,ルイ・ヴィトン キーポルは他のビニール・バッグほど安くはないが,高品質のレザーバッグほど快適ではない。
このビニールは実際には旅行用ではないように見える。私が ヴィトンのウェブサイトに行って彼らのケア・インストラクションをチェックしたとき,彼らはが全く(flat-out)ばかげている(ridiculous)と思った。「製品を研磨面(abrasive surfaces),特に革のトリムを引っかいたりこすったりしないように注意してください。製品を湿気の多い環境から遠ざけ,直射日光にさらさないようにし,ラジエーター,車内,太陽からの熱などの直接的な熱源から遠ざけるようにしください。」
本当に? 私が旅行するとき,バッグを太陽の下に置くことは考えられない?
つまり,それはどのようにすれば可能? 脂っこい物質,コロン,水,土(dirt),そして旅行するときに自然に起こるすべてのものからバッグを遠ざけることが続く。また,使用しないときは綿のポーチでバッグを保管することが提案されている。これはいいのだが,全体的には,一緒に旅行して忘れてしまうバッグというよりは,甘やかして(pamper)世話をしなければならないバッグだと感じている。
(バッグの下には保護がないため,床に置くことを意図したものではない)
もう1つ驚いたのは,ビニールでコーティングされた生地の端が磨耗するのを防ぐ足や,補強されたコーナーが実際にはないため,床に置くことを目的としたバッグではないことだ(旅行のもう1つの難しさ)。これらの指示に従ってルイ・ヴィトン製品を適切に手入れすることで,何年もの間美しさを保つことができるかもしれないが,それは大きな苦痛(pain)でもある。
私のバッグは,牛革のトリムとハンドルが付いているので,すべてビニールでコーティングされた生地だけではない。バッグの中に見えるベージュ色はすべて,高品質の未染色の植物性なめし牛革のように見えるもので作られている。この半透明の(semi-translucent)バーガンディのエッジ・ペイントが全体に適用されている組み合わせの外観が本当に好きだ。
彼らの技量は非常に詳細志向(detail-oriented)であり,ずさんなもの(sloppy)ではない。しかし,この価格のバッグに対しては,私はそれを期待する。革はオープン・ポアでコーティングされていないため,汚れや傷を拾うが,それは旅行用品の風格(patina)を成長させることの一部だと思う。私にとって,それはマイナス面ではない。一部の人々にとってはマイナス面かも知れない。
Zippers
ジッパー
両側から開閉するダブルジッパーである。頑丈で,射出成形ではなく真ちゅうで機械加工されている。内側には,同様に機械加工され,射出成形されていない小さなジッパーがある。24カラットの金メッキのように見えるが,合金が何であるかを正確に把握するためには,ラボに送る必要がある。よく見ると,ジッパーにはルイ・ヴィトンのロゴが付いている:ほとんどのブランドがYKKジッパーを使っているが,これは非定型である。
ルイ・ヴィトンのジッパーは,お金で買える最高のジッパーである ‘Riri’ 製であり,スイスで作られている。だから あなたはバッグに高い値段を払って,また高品質のジッパーを手に入れる。
(LVキーポルのジッパーは ‘Riri’ 製である)
Workmanship
職人技量
一般的に,ルイ・ヴィトンはフランス,スペイン,米国でキーポル・バッグを製造しているようだ。この特別なものは米国で作られ,技量は非常にきちんとしていて,全体的に高い品質である。黄色のコントラスト・ステッチは見栄えがする:バラバラになることはなく,しばらくは長持ちするだろう。また,ストラップには素敵な革製のラゲッジ・タグが付いており,ステッチ密度は非常に安定していて良好である。ストラップにはもっと良かったと思った部分が1つだけあったが,これはマイナーなものだった。
Hardware
金物類
1970年以前,ルイ・ヴィトンはバッグに真鍮のみを使用していた。今日では,すべてではなく,一部のバッグに真ちゅうを使用している。購入した特定のバッグについては,オンライン・リストに金物類に関する詳細情報が記載されていなかった。暗いモノグラムの帆布の同じスタイルのバッグは,「銀色の金属」を使っていると言ったが,これは,ルイ・ヴィトン以外の情報源によると,真ちゅうではなく金属合金を意味する。一方,ウェブサイトのダミエ・キャンバス・バッグ(the Damier canvas bag)(これも同じスタイル)には,明確にするために調べたところ「光沢のある銀の真ちゅうの金属」が付属していると書かれており,実際には真ちゅうがメッキされている。いずれにせよ,我々が購入した特定のバッグについては,金物類が真ちゅう製なのか合金製なのか正確にはわからない。全体として,私に言わせればそれはかなり悲しいことである,なぜなら,その価格帯では,物がどこから来て,どのように作られているのかを正確に知ることを期待するからである。
(よく調べてみると、金メッキに一貫性がないようだ)
また,ここでは金メッキはかなり一貫性がない。たとえば,Dリングとジッパーを見ると,黄色がかった,緑がかった金色になっている。次にストラップのゴールドを見ると,より赤く,ロックはより濃いイエロー・ゴールドになっている。それらをすべて組み合わせると,3つの異なるゴールド・トーンの2つのジッパー,1つのDリング,1つのロックとなる。異なる施設でメッキしているせいかもしれないが,ルイ・ヴィトンへは均一性を期待する。
Sizing
大きさ
この鞄の長さは55cmで,その名の由来である。また,高さ31cm,幅24cmである。 インチでは,長さ21.7”,高さ12.2”,幅9.4” を意味する。つまり,私の茶色の革のウィークエンド・バッグよりも少し短くてスリムだが,少し背が高く,容量はほぼ同じである。機内持ち込み手荷物としては十分なサイズなので,荷物をチェックする必要がなく,バッグにかなりの量の荷物を入れることができる。

(
LVキーポル 対 スヴェン・ラファエル・シュナイダー(
Sven Raphael Schneider)
/信頼できるウィークエンダー)
THE VERDICT
裁定
それで,ルイ・ヴィトン キーポル・バンドリエール 55・バッグはそれだけの価値があるだろうか? 私の意見は,一言でいえば答えはノーである。その理由は次のとおりである。又,要約すると,LVバッグの利点は次のとおりである。:::
・ジッパーは高品質である。
・非常に良いサイズの ウィークエンダーである,確かに!
・革は高品質である。しかし残念ながら,あまり多くの場所では使用されていない。
短所(cons)のリストはずっと長くなっている。まず,PVCビニールコーティング素材,真面目な話?
そのような素材で作られた100ドルのバッグすら買わない。私にとって,それは絶対に no-go!
さて,ルイ・ヴィトンのほとんどのお客様は,ステータス・シンボルであるため,それほど気にしないことを知っている。
「私は金持ちで,バッグに 2,000ドル(two grand)を使う余裕がある」と伝えることができることが,バッグ自体の品質よりも確かに重要な人もいる。これは,現代のルイ・ヴィトンにも当てはまる。
我々は品質と技量に真剣に取り組んでいるため,ルイ・ヴィトンのバッグの完璧なターゲット市場ではない。彼らには革新,職人技(craftsmanship),技量(workmanship)の素晴らしい伝統があったが,今日ではブランドとそのステータスによってすべてがはるかに影が薄くなっていると思う。バッグに2,000ドル近くを費やすと,どこで作られているのか,どのような素材が使われているのか,そしてその理由を知ることができるはずである。でもねえ,ルイ・ヴィトンに何を売るか,何を売らないかを誰に伝えるのか?
彼らは明らかに自分たちの顧客を知っていて,彼らは非常に収益性が高く,そして彼らは非常に高い収入を得ている,彼らに称賛を送る(kudos)!
(最終的に,このルイ・ヴィトンのダッフル・バッグはそれだけの価値があるとは思わなかった(我々にとって))
個人的に,私は彼らのウェブサイトのあいまいな言葉を有難く思わない:言葉としてはいいのだろうが,実際に何が得られるのかはわからない。また,バッグを甘やかして手入れをしなければならないという事実も気に入らないので,ライフスタイルに役立つものというよりも,メンテナンスが必要なオブジェになっている。
バッグの素材と製作にかかる費用を推測するとするなら,価格の5〜10%の範囲,すなわち,バッグのコストの90〜95%がブランド構築,マーケティング,ステータス・シンボルに費やされていることを意味する。
Conclusion
結論
しかし,正直なところ,それは優れたブランドが行っていることである。彼らはあなたに,他のブランドと同等または同じ品質の製品をより高い価格で売ることができる。そこに至るまでには時間がかかり,本当に長期的な戦略が必要である。同時に,真の高級品が欲しければ,ルイ・ヴィトンはその市場への平凡な参入のように思える。
たとえば,ゴヤール(Goyard)の週末用キーポル・バッグを見ると,約6,500ドルで,ルイ・ヴィトンのほぼ3倍の価格である。
エルメスを見れば,バッグの価格は 13,000ドルから14,000ドルである。したがって,真の贅沢が欲しければ,現代のルイ・ヴィトンはそれを満たさない。
また,ルイ・ヴィトンは人気があるため,今でも最も偽造されるバッグ(counterfeited bags)の1つであるため,多くの人があなたを見て,本物であっても偽造バッグを持っていると思うかもしれない。
代替品に関しては,あなたのライフスタイル,あなたのニーズ,そしてあなたの予算に合ったものを手に入れることができる,ロゴなしで,あらゆる種類の異なるサイズの革の,太陽の下でたくさんのオプションを見つけることができる。
(転載了)
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製造原価は 5%から 10% ーと言う記述が,そこまでとは思ってなかったので興味深い。
いずれにせよ,高価なブランド品は,その多くがブランド料であることを知り,納得して購入,使用することが必要です
因みに 日本での 「キーポル・バンドリエール 55」の定価は ¥266,200 です。
家人は ルイ・ヴィトンのバッグを結婚前から一つ持っていますが,結婚後 使ったことは(私が見たことは)一度もありません。理由? 恥ずかしいからでしょう。
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