‘GEAR PATROL’ サイト,May 1, 2023付け
“The Joys of a Cheap American Military Watch”
「安価なアメリカン・ミリタリー・ウォッチの楽しみ」
のタイトル記事を 下記,拙訳・転載します。
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They’re cheap, they’re plentiful, they were issued to genuine badasses — what’s not to like?
安くて,豊富で,本物の「超カッコイイ奴」に支給されたもの-気に入らない点などあるか?
各世代の誰かが軍隊に勤務してきた家族に生まれた私は,長年にわたりかなりの数の軍用装備(military equipment)を使用したり扱ったりしてきたが,支給されたヴィンテージのミリタリー・ウォッチは私にとって特別なモノである。
美観をまったく考慮せずに(no eye toward aesthetics)設計された機械式装置が,それでも何とか(nonetheless)美的に美しく見えることほどクールなものはない。実用的な(no-nonsense)軍用ツール・ウォッチには,民間人でさえ感じる一種の磁力がある - 1つのことだけを行うように設計されたものの美しさを認識し,それをうまく,故障するまで使うのに,兵士である必要はない。
スイスの名高い(storied)ブランドが供給するミリタリー・ウォッチの価格は最近,高騰の一途(stratospheric territory)をたどっているが,これまで何らかの理由でこの上昇傾向(upward trajectory)を逃れてきた,着用しやすい時計が少数ある:1950年代から 1990年代のアメリカン・ミリタリー・ウォッチである。
ケース・サイズが小さいからかもしれないし,何年もの間,しばしば大量に生産されていたため,すぐに入手できるからかもしれない -いずれにせよ,これらの時計は安価で,素晴らしい。
Background Basics/背景の基礎
あまり深く考えずに言うと(without diving too deeply down the rabbit hole),米国における軍事徴用(military requisitioning)は仕様と入札によって行われる:軍は特定の品目の仕様を作成し,その品目にどのような機能が備わっているべきかを詳細に規定し,その時点で,さまざまな製造業者に提案とサンプルの提出を依頼し,軍はどの会社 (または複数の会社) が完成品を製造するかを決定する。
特に,1950年代後半から 1960年代前半の ‘MIL-W-6433A’ と ‘MIL-W-3818A’,および 1962年の ‘MIL-W-3818B’ の 3つの仕様は,非常に注目に値する。(アメリカン・ミリタリー・リスト・ウォッチを探す場合は,難解な(obscure-sounding)仕様と参照番号を記憶することに慣れておく必要がある;また,人前でじろじろ見られたくないのであれば,時計に詳しくない人の前でそれらについて雄弁に語る(waxing poetic)のは控えたほうがよいだろう)。
‘MIL-W-6433A’ 仕様から ‘A-17A’ ウォッチが誕生した (‘MIL-W-3818A’ は非常によく似たウォッチである-詳細は後述。) また ‘MIL-W-3818B’ からは,いくつかの会社がこの仕様に準拠,あるいは この仕様から派生したウォッチを設計した。1962年以来,‘MIL-W-3818B’ のアップデート版が数え切れないほど発表され,それぞれがオリジナル・デザインに多少の微調整(more or less small tweaks)や変更を加えており,その結果,コレクションできる大量生産時計の反復やバリエーションが無数に存在する。
The A-17A and the MIL-W-3818A
第二次世界大戦直後の 10~15年間にいくつかのミリタリー・ウォッチが製造されたが,‘MIL-W-3818A’ と ‘A-17A’ は特によくできており,仕様もほぼ同じだった。どちらのウォッチも,パーカライジング処理された(parkerized)スチール・ケース,ねじ込み式ケース・バック,特大のリューズ(crowns),穴あきラグ,発光(luminescent)文字と針が付いた黒い 24時間表示ダイヤルが特徴である。
針自体は若干異なる (ムーブメントも同様-‘A-17A’ は 15石のハッキング・ムーブメントを使用しているが,‘MIL-W-3818A’ は元々 15石か 17石バージョンのどちらを搭載する予定だったのかについては混乱がある) が,それ以外はほぼ同じウォッチだった。
‘MIL-W-3818A’ と ‘A-17A’ のウォッチは多くの同じ部品を使用しており,軍のサプライ・チェーンの主な指示は,機能しなくなった時計をできるだけ早く戦場に戻すことだったため,技術的には「正しくない」(つまり,オリジナルではない)針または裏蓋が付いた時計の多くは,兵役中に時計に取り付けられたものである(たとえば,メイン画像の ‘Bulova’ のウォッチは,‘MIL-W-3818A’ の裏蓋が付いているが,分針と時針は ‘A-17A’ である)。
ケース・サイズは今日の基準ではまったく(downright)小さい(diminutive)(リューズを除いて 約31.5 mm)ため,これらのモデルは状態の良い状態で $300から $500 で入手できることが多く(多くの場合,オリジナルまたは NOS(new old stock:新古品)キャンバス・ストラップ付き),自信を持って小さな時計を着こなせるなら,追求する価値のある信じられないほどのお買い得品である。
The DTU-2A/P and MIL-W-46374D
ベトナム戦争から湾岸戦争までの アメリカン・ミリタリー・ウォッチは,40年の間に数え切れないほどのバリエーションが製造されてきたが,価格と信頼性の点で特に目立つモデルがあり,その最初のモデルが ‘Benrus’社の ‘DTU-2A/P’ である。
1960年代中期から後半にかけて製造された ‘DTU-2A/P’ は,パーカライジング処理されたスチール・ケース,白の数字とインデックスが付いた黒い文字盤,ミリタリー・タイムの内側のリング,緑色の発光塗料 (トリチウム) を施した針,アクリル・クリスタル,同じくトリチウムを塗ったオレンジ色の先端の秒針を備えた 17石のハッキング機能付きリスト・ウォッチを要求した ‘MIL-W-3818B’ 仕様の最初の具現化(manifestation)だった。
ムーブメントは 17石,ハッキング機能,36時間のパワー・リザーブ,1 日あたり +/- 30秒の精度を特徴としていた。これらはよくできた信頼性の高いウォッチで,修理可能である(serviceable)こと (モノブロックケースを使用しているためクリスタルを介してではあるが) を意図しており,今日でも良好な状態で数多く残っており,素晴らしい風格(patina)が付いているものも少なくない。
もう 1つの収集価値のある参考資料であり,私の個人的なお気に入りの 1つは,‘MIL-W-46374D Type 1’ で,これは (私の知る限り) 1988年にのみ製造された。
これはハミルトン製のスチール・ケース,ねじ込み式裏蓋のウォッチで,17石のETAムーブメントを搭載し,文字盤のフォントは細く,文字盤にはトリチウムの存在を示す “H3” と放射性シンボルが刻まれている。この時計は1年間のみ製造されたため,数量は少なく(少し高価だが),見た目も良く,精度も高く,実用性も高いウォッチである。
前述の 2つのモデルは,直径が約34mm (‘DTU-2A/P’ の方がわずかに大きい) で,ラグ幅は 18mm である。もちろん,シングル・パス・ストラップや NATO ストラップとの組み合わせでも見栄えは抜群でだが,薄い 2ピースのレザー・ストラップでも同様に見栄えがよく,フィールドでも完璧にマッチする (今日のフィールド・ウォッチには,より優れた,より現代的な機能セットを備えた時計の方が適していることは確かだが,これらのモデルでも十分である)。
さらに,特に熱心で,もう少しお金を払ってもいいというのであれば,軍に納品されたままの,スペック番号,日付,その他の軍のマークだけが刻まれた,オリジナルの 1ピース・ナイロン・ストラップと段ボール箱が付いたものが見つかることもある。
いつでも,eBay で ‘MIL-W-3818A’,‘A-17A’,‘DTU-2A/P’,または ‘MIL-W-46374D’ をざっと検索するだけで,朝鮮戦争時代から湾岸戦争時代の中古のアメリカン・ミリタリー・ウォッチが無数に見つかる。その多くは機能的な状態で,ほとんどが $500未満で販売または落札されている (検索範囲をさらに広げて ‘MIL-W-46374’ または ‘GG-W-113’ と入力すると,ここで言及されていない他の参考資料も確認できる-ただし,特定のウォッチの機能セットと状態については必ず調べるようにすること)。
これらのウォッチの多くは,機械式ムーブメント,ラジウムまたはトリチウム発光,パーカライジングまたはブラッシュド・スチール・ケース,プラスチック・クリスタルなど - 全て 古典的なツール・ウォッチの特徴を備えている。壊れたら処分することを前提とした,一体型プラスチック・ケースと安価なムーブメントを備えたものもあれば,スチール製のスクリュー・バック・ケースと17石の ETAムーブメントを備え,現在でも完全に機能するものもあった。何を見ているか少し調べるだけで,情報に基づいた決定を下し,数百ドルで軍事史に残る機能的なウォッチを購入することができる。
それで,次回,深夜に eBay で時計探しに夢中(watch-recon binges)になっているときには,ぜひ自分のためにも,時計がすべての条件を満たしていれば,「今すぐ購入」ボタンを押すか,これらの素晴らしい時計に入札してください。これらは米軍の歴史の一部であり,「形状は機能に従う(form-follows-function)」ものであり,時代を超越したサイズで作られており,見た目も素晴らしく,お買い得である・・・。
…oh, and they tell the time, too.
・・・ああ,時間も表示する。
(転載了)
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ミリタリー・ウォッチのデザインに惹かれながら,クオーツ時計に慣れて 機械式はネジ巻き忘れと,秒までの精確さから離れるのが心配で,完全オフの生活を送る私が使っているのは ミリタリー・ウォッチの雰囲気がする “CASIO,OVERLAND” です。「ソーラー電波時計」で 秒針/カレンダー合わせ,電池交換など,一切 メインテナンス・フリーです。
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